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18)店舗売上高と家賃割合

 アメリカ人のリートに対する見方、考え方及びリートの現状を分析している 『入門不動産投資信託』 R.E.ブロック著(松原幸生/河邑環訳 プログレス 2002年)の82頁に次の様な文章がある。

 「あるモールリートの賃料は1平方フイート当り約40ドルで、1フイート当りの売上高も400ドルに達する。」

 即ち売上高に対する賃料の割合は、
       40ドル ÷ 400ドル = 0.10
10%である。

 売上高より賃料を捉える考え方は、アメリカではごく普通のようである。

 日本でも飲食店などでは「普通は10〜12%、理想的には8〜10%」(赤土亮二『飲食店の儲けの出し方成功教科書』p39旭屋出版 平成2年)と言われており、売上高より家賃を把握する考え方がある。

 積算賃料(土地建物の価格より求める賃料)や比準賃料(比隣の賃料と比較して求める賃料)で賃料を求める方法が日本では一般的であるが、売上高より賃料を求める方法も無視出来ない方法であり、もっと普及して良いのではないか思われる。

 『Evaluation』創刊号p42(清文社)の「売上高に対する家賃割合」(田原)で店舗売上高に対する家賃割合が分析されている。その分析によれば飲食店は、

       レストラン      11.1%
       中華料理        10.4%
       そばうどん      13.0%
       鮨              10.7%
である。

 前記赤土亮二の説とほぼ一致した結論が得られている。

 肉屋、魚屋、八百屋は一日の売上高が家賃である。

 店舗売上高に対する家賃割合の主なものを記すと、次のごとくである。
      スーパーマーケット           2.7%
            コンビニエンストア           2.0%
            食肉小売                     3.6%
      鮮魚小売                     3.5%
      野菜果実小売                 3.6%
      医薬品小売                   4.0%
      書籍雑誌小売                 4.2%
      花小売                       4.2%
      婦人子供服小売               6.6%
      化粧品小売                  6.8%
      菓子パン小売                 7.0%
      クリーニング                 8.1%
      料亭                         9.3%
      美容                        10.6%
      理容                      11.1%
である。
 15%を超える小売店舗業種はない。

 売上高より家賃を求める方法は、景気の要因を考える必要もあるが、家賃評価の物差しの一つにはなるのでは無かろうか。



(追記) 「店舗売上高と家賃割合の追加」 平成25年2月6日


 鑑定コラム18)「店舗売上高と家賃割合」のコラム記事を以前書いた。
 そのコラム記事発表は、2002年(平成14年)4月20日であり、約13年前である。
 鑑定コラム18)の記事には、未だに多くのアクセスがあり、多くの人々に同コラムは読まれている。

 そのコラム記事は、中小企業庁が発表している『中小企業の経営指標』(同友館)、『中小企業の原価指標』(同友館)の損益計算書、財務諸表の数値を使って、筆者が店舗の売上高に対する家賃割合についての研究論文を発表した(『Evaluation』創刊号p46、「売上高に対する家賃割合」清文社 2000年8月)内容の一部を転載したものである。

 その論文で、

      レストラン      11.1%
      中華料理       10.4%
      そばうどん      13.0%
      鮨               10.7%

の家賃割合を理論的に導き出し、巷間、飲食店の家賃は「売上高の10%〜12%」といわれている経験則の歩合家賃割合を証明した。

 経験則で巷間いわれている「一日の売上高が家賃」(1ヶ月の稼動日を26日とすると1÷26=3.8%)という業種は、肉屋、魚屋、八百屋といった毎日の食生活に欠かせない店舗であるが、これも同上論文で実証した。

 その時、分析したうちで15種の業種の売上高に対する家賃割合を、鑑定コラム18)の記事に載せた。

 発表後、同コラム記事は未だに3ヶ月のアクセス統計集計の20位以内に入るごとくヒット数があることを考え、今回『Evaluation』創刊号に載せた全部の業種の売上高に対する家賃割合を、下記に転載することにする。
 15業種は、重複することは了承していただきたい。

           
         業 種            家賃割合  % 

スーパーマーケット   2.7 コンビニエンスストア  2.0 呉服服地小売 5.1 寝具小売 5.3 男子服小売 8.9
婦人子供服小売 6.6 靴小売 6.4 洋品雑貨小売 6.7 酒小売 2.9 食肉小売 3.6
鮮魚小売 3.5 野菜果実小売 3.6 菓子パン小売 7.0 米穀小売 1.5 自動車小売 2.2
自動二輪車小売 6.9 自転車小売 7.3 家具小売 5.6 家庭用電気器具小売 3.5 医薬品小売 4.0
化粧品小売 6.8 ガソリンスタンド 2.3 書籍雑誌小売 4.2 紙文房具小売 3.3 スポーツ用品小売 6.2
玩具娯楽用品小売 6.0 レコード楽器小売 7.0 カメラ写真材料小売 6.8 時計貴金属小売 8.1 メガネ小売 10.9
花小売 4.2 木材小売 3.6 建築材料小売 1.4 レストラン 11.1 中華料理 10.4
そばうどん 13.0 鮨 10.7 料亭 9.3 クリーニング 8.1 理容 11.1
美容 10.6 写真現像焼付 7.8 旅館 11.8 ホテル 12.3 映画館 11.8 自動車教習所 9.0
              (鑑定コラム1012を転載)



****(追記) 具体的に家賃割合をどの様にして求めるのか 平成28年5月9日

 上記で売上高に対する家賃割合が列記されている。

 ではその割合がどの様にして求めるのかについては述べられていない。

 家賃割合は、具体的にどの様にして求められるのか。

 その具体的求め方について、野菜果実小売の家賃割合の求め方を例にして、その求め方の具体が、鑑定コラム1462)に述べられている。

 そのコラムには、野菜果実小売の売上高に対する家賃割合3.6%が、どの様にして求められるのか、データを使用して立証されている。

 求め方のノウハウが公開されている。

 上記掲載の小売46業種の家賃割合及びその算出過程は、『Evaluation』創刊号p46、「売上高に対する家賃割合」(清文社 2000年8月)の論文で、発表されている。

 魚・野菜・食肉の卸売り業の売上高に対する家賃割合の求め方も、鑑定コラム1419)に、具体的に述べられている。



****追記 平成30年3月24日「店舗の売上高に対する家賃割合の求め方」の論文抜粋 鑑定コラム1462)の転載

 2016年(平成28年)1月22日、東京赤坂見附のホテルニューオータニのこぢんまりした一室で開かれた田原塾の新年会を兼ねた今年初めの講話を加筆して記す。

1.はじめに

 中小企業庁が発表している『中小企業の経営指標』(同友館)、『中小企業の原価指標』(同友館)の損益計算書、財務諸表の数値を使って、私は店舗の売上高に対する家賃割合についての研究論文を発表した(『Evaluation』創刊号p46、「売上高に対する家賃割合」清文社 2000年8月)。

 巷間、飲食店の家賃は「売上高の10%〜12%」といわれているが、その論文で、

      レストラン      11.1%
      中華料理       10.4%
      そばうどん      13.0%
      鮨               10.7%

の家賃割合を理論的に導き出し、経験則の歩合家賃割合を証明した。

 「一日の売上高が家賃」(1ヶ月の稼動日を26日とすると1÷26=3.8%)という業種は、肉屋、魚屋、八百屋といった毎日の食生活に欠かせない店舗であった。これも経験則で巷間いわれている業種と一致した。
 以下で、その求め方を説明する。

2.家賃割合の求め方

 上記店舗の売上高に対する家賃割合をどの様にして求めたのか。

 その求め方を、前記論文の内容を簡略化して説明する。

 代表業種分析として、野菜・果実小売業とした。

 使用したデータは、中小企業庁が調査発表している『中小企業の原価指標』平成12年版(『原価指標』とする。)、『中小企業の経営指標』平成12年版(『経営指標』とする。)(中小企業診断協会、株式会社同友館、平成12年3月)によった。

@ 野菜・果実小売業の損益計算書
 『原価指標』P356の損益計算書(原価及び構成比率表)は次のごとくである。健全企業11社の平均値のデータである。


区分 原価額千円 構成割合%
(売上原価)    
売上原価 94666 73.5
     
(販売費)    
販売員給料手当 9690 7.5
支払運賃 545 0.4
支払荷造費・荷造材料費 418 0.3
支払保険料 0 0
車輌燃料・修理費 453 0.4
販売員旅費・交通費 118 0.1
通信費 254 0.2
広告・宣伝費 799 0.6
その他販売費 1311 1
小計 13588 10.5
     
(管理費)    
     
役員給料手当 5971 4.7
事務員給与手当 1863 1.4
福利厚生費 1732 1.3
減価償却費 1093 0.9
交際・接待費 478 0.4
土地・建物賃借料 2548 2
保険料 295 0.2
修繕費 174 0.1
光熱水道料 979 0.8
支払利息割引料 346 0.3
租税公課 690 0.5
従業員教育費 59 0
その他管理費 1908 1.5
小計 18136 14.1
     
総計 126190 98.1
     
利益 2392 1.9
     
売上高 128582 100


A 選択データ値
 上記損益計算書より、分析に必要な次の数値・割合を選択する。

イ、売上高
 売上高は128,582千円である。

ロ、減価償却費
 建物、設備資産の減価償却費である。建物の減価償却費が必要であるが、それのみの分析は行われていないため、設備資産を含める減価償却費のデータ採用する。あとで設備資産を分離するために一工夫する。
  0.9%

ハ、賃借料
 損益計算書の表示は「土地・建物の貸借料」とあるが「賃借料」と呼ぶことする。

 土地もしくは建物の賃借料あるいは機械装置のリース料の金額である。
 個々別々の企業の損益計算書では、賃借料は何の賃借料であるか分かるが、『原価指標』では何の賃借料であるか分からない。

 ある企業は地代であったり、ある企業は家賃であったり、ある企業は設備リース料であったりする。

 データ企業の全てが借地の企業ばかりとは考えにくい。また設備のリースばかりとも考え難い。賃借料の中心は家賃であろうと思われる。

 しかし、データ企業の全てが借家企業であるとは考え難い。借家企業もあろうが、過半以上は自用企業であろうと思われる。賃借料は借家企業が負担する家賃であろう。

 借家の場合、建物の減価償却費は生じない。それ故、借家の場合、賃借料を減価償却費相当及び借家企業の固定資産税・都市計画税と考える。
    2.0%

ニ、保険料
 建物の火災保険料とみなす。  0.2%

ホ、租税公課
 土地・建物の固定資産税・都市計画税である。

 利益が出ている場合には事業税が入っている可能性があることから、健全企業で計上されている租税公課の額は採用せず赤字企業の租税公課の額を採用る。その額を健全企業の売上高で除して、租税公課の売上高に対する割合を求める。
 モデル業種の欠損企業の租税公課は1,066千円である。(『原価指標』P356)

   租税公課の割合は、

              1,066
           ──────     = 0.8%                                
              128,582
である。

B 必要諸経費
 減価償却、賃借料、保険料、租税公課を野菜・果実小売業の土地・建物の「必要諸経費」とする。

     0.9%+2.0%+0.2%+0.8%=3.9%

 金額は

   128,582千円×0.039=5,014千円
 
である。

C 原価・管理費割合
 野菜・果実小売業の原価と、商売を行っていくための管理費の売上高に対する割合である。

      73.5%+14.1%=87.6%

D 家賃
 野菜・果実小売店舗の場合、128,582千円の売上高を得るためには、原価・管理費として、それの87.6%の金額を使っている。

 その売上高を生み出すために使われている土地・建物の必要諸経費は、5,014千円の金額である。

 野菜・果実小売の原価・管理費は、売上高の87.6%であり、その売上高を得るために使われている土地・建物も、その業種に使われているからには、その種の原価・管理費割合の中で売上高に貢献していると考えられる。

 その貢献額が家賃であり、必要諸経費5,014千円を0.876で除せば、貢献する額即ち家賃が求められる。

       5,014千円÷0.876=5,723千円

 この家賃は、償却資産も含めた店舗の家賃である。そのため償却資産を控除する必要がある。

 前記『経営指標』のP635に、野菜・果実小売の貸借対照表がある。健全企業1社の資産の部の固定資産の項に次の数字がある。

     土地・建物    23,946千円
     設備資産           6,190千円

 設備資産とは償却資産である。

 土地・建物と設備資産を合計した金額に対して占める土地・建物の割合は、

               23,946
                ────────    =0.795                         
            23,946+6,190
である。

 先に求められた償却資産を含む家賃に、土地・建物の占める割合を乗ずる。

        5,723千円×0.795=4,550千円

 求める家賃は4,550千円である。

E 家賃割合
 求められた家賃は4,550,000円である。
 売上高は128,582,000円である。

 家賃割合は

           4,550,000
           ────────  =0.0354≒0.036                        
         128,582,000
3.6%である。

 野菜・果実小売店舗の売上高に対する家賃割合は、上記分析によって3.6%と求められた。

3.家賃割合の一覧表

 上記と同じ分析によって求められた他の業種の売上高に対する家賃割合の分析結果を、『Evaluation』創刊号より以下に転記する。

                 業 種       家賃割合 %
スーパーマーケット   2.7 コンビニエンスストア  2.0 呉服服地小売 5.1 寝具小売 5.3 男子服小売 8.9 婦人子供服小売 6.6 靴小売 6.4 洋品雑貨小売 6.7 酒小売 2.9 食肉小売 3.6 鮮魚小売 3.5 野菜果実小売 3.6 菓子パン小売 7.0 米穀小売 1.5 自動車小売 2.2 自動二輪車小売 6.9 自転車小売 7.3 家具小売 5.6 家庭用電気器具小売 3.5 医薬品小売 4.0 化粧品小売 6.8 ガソリンスタンド 2.3 書籍雑誌小売 4.2 紙文房具小売 3.3 スポーツ用品小売 6.2 玩具娯楽用品小売 6.0 レコード楽器小売 7.0 カメラ写真材料小売 6.8 時計貴金属小売 8.1 メガネ小売 10.9 花小売 4.2 木材小売 3.6 建築材料小売 1.4 レストラン 11.1 中華料理 10.4 そばうどん 13.0 鮨 10.7 料亭 9.3 クリーニング 8.1 理容 11.1 美容 10.6 写真現像焼付 7.8 旅館 11.8 ホテル 12.3 映画館 11.8

4.小売店舗の家賃割合は5%

 小売店の家賃割合は、平均何%であろうか。

 上記分析の家賃割合のうち、小売店を抜き出して平均を求めると、5%となる。下記である。

               コンビニエンスストア       2.0
               呉服服地小売               5.1
               寝具小売                   5.3
               男子服小売                 8.9
               婦人子供服小売             6.6
               靴小売                     6.4
               洋品雑貨小売               6.7
               酒小売                     2.9
               食肉小売                   3.6
               鮮魚小売                   3.5
               野菜果実小売               3.6
               菓子パン小売               7.0
               米穀小売                   1.5
               自動車小売                 2.2
               自動二輪車小売             6.9
               自転車小売                 7.3
               家具小売                   5.6
               家庭用電気器具小売         3.5
               医薬品小売                 4.0
               化粧品小売                 6.8
               ガソリンスタンド           2.3
               書籍雑誌小売               4.2
               紙文房具小売               3.3
               スポーツ用品小売           6.2
               玩具娯楽用品小売           6.0
               レコード楽器小売           7.0
               カメラ写真材料小売         6.8
               時計貴金属小売             8.1
               メガネ小売                10.9
               花小売                     4.2
               木材小売                   3.6
               建築材料小売               1.4
               平均                       5.0

        (2016年1月22日開催の田原塾講話テキストに加筆して) 鑑定コラム1462の転載
        

 売上高に対する家賃割合について、下記の鑑定コラムがあります。

  鑑定コラム273)百貨店の家賃割合は10.6%か

  鑑定コラム25)牛どん吉野家の家賃6%

  鑑定コラム144)レンタルビデオ店の家賃は6%か

  鑑定コラム206)病院の家賃は売上の8%か

  鑑定コラム27)インターネットショップの家賃割合


  鑑定コラム811)「シヨッピングセンターの出店舗の家賃は売上高の10%」

  鑑定コラム976)「ゼンショーの店舗家賃は売上高の10%」

  鑑定コラム984)「京都府のショッピングセンターの店舗家賃」

  鑑定コラム1012)「店舗売上高と家賃割合の追加」

  鑑定コラム1171)「小売店舗の売上高に対する家賃割合は5.0%」

  鑑定コラム1233)「たかが賃料、されど賃料」

  鑑定コラム1404)「牛丼「すき家」の家賃は売上高の9.6%」

  鑑定コラム1419)「魚・野菜・肉卸店舗の家賃割合」

  鑑定コラム1462)「店舗の売上高に対する家賃割合の求め方」

  鑑定コラム1481)「600億円のホテル売買」

  鑑定コラム1663)「ある不動産鑑定の書籍から」

  鑑定コラム1687)「小売売上高8280億円の企業も出店しくじる」


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