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183)綜合ユニコムのゴルフ場鑑定評価の講演

 私の講演セミナーの宣伝を少し。

 「月刊レジャー産業」、「月刊プロパティマネジメント」の雑誌を発行している綜合ユニコムという出版社が有る。
 レジャー産業の経営の実例に基づく経営企画分析の内容の雑誌・書籍の発行、そして最近は不動産の投資・管理経営の分野にも内容を広げてきた。
 その一方、レジャー産業、不動産の投資・管理経営等に関するセミナー事業も行っている。

 雑誌の企画テーマ、セミナーの企画テーマは時宜を得たものが多く、綜合ユニコムのこれらの企画テーマをじっくり見ていると、多くある産業の中の少ない産業の分野では有るが、取り上げられている産業の現在の動きがどういう状況にあり、どちらの方向に行こうとしているか推定することが出来る。

 その綜合ユニコム社より、ゴルフ場の鑑定評価についての講演を前から頼まれていた。
 ゴルフ場の鑑定評価などは一般向けする内容では無く、また不動産鑑定士を主とした対象として、今迄10回程度のゴルフ場の鑑定評価のセミナーを行ってきていたこともあり、講演を断ってきた。

 しかし、
 「綜合ユニコム社のセミナー対象は、不動産鑑定士では無く、ゴルフ場事業経営者やゴルフ場所有会社を対象にしたものである。
 それらの人々にとつても減損会計を行うに当たって、ゴルフ場の価値は一体どの様にして専門家は求めるのか知っておく必要性がある。
 その為には、不動産鑑定士として、ゴルフ場の価格の求め方はこのように求めますよ、と知らせる社会的責任が有るのではないでしょうか。」
というセミナー企画担当者の言葉巧みな「不動産鑑定士の社会的責任」の言葉の説得に折れた。
 又、セミナーは朝10時半から夕方5時まで3人の人が、それぞれのゴルフ場の経営・価値把握について述べ、その中の鑑定評価について私に担当して欲しいという内容のものであったこともあり、セミナー講師を引き受けることにした。

 日時・場所は、
    日時  2004年10月13日 10時半から17時まで
    場所  鉄鋼会館 東京・日本橋茅場町3-2-10
である。詳細については綜合ユニコム(電話03-3563-0099) に問い合わせて頂きたい。
 ただ依頼されて講演する講師が云うのは、依頼者に対して大変失礼であるが、これが私の性格で有るから許して頂くとして、綜合ユニコムのセミナー料は安くない。それ故にセミナーを引き受ける私としては、それに報いるだけの内容のものを、話上手ではないが、セミナー参加者になんとかお返ししたいと思う。

 とはいえ、ゴルフ場の鑑定評価のDCF法を詳しく説明しても、初めて聞く人にとっては、内容を理解するのは困難であろう。まして借入金を考えてのDCF法には、借入金利、借入金額の割合は購入者若しくは投資家が考えるのであって、不動産鑑定士が勝手にそれらを決めて価格決定する事に対して、未だ多くの抵抗と誤解が存在する。これら難しい内容を含んでいるが、出来るだけかみ砕いて分かり易く話したい。

 投資家や不動産購入者が、借入金を考えて求めるDCF法を理解し難いためか、或いは不動産鑑定士の分析力不足なのか、不動産鑑定士の中には借入金を考えず、キャッシュフローの純収益を資本還元して求めるDCF法を行う人が未だかなりいる。公認会計士のDCF法の求め方はそのやり方である。

 この求め方でもDCF法の収益価格は求められる。しかし、その価格では投資家は逆に、価格の透明性が全く分からなくなる。価格の透明性の無さから云えば、土地の取引事例比較法から求めた価格と同じである。

 その価格からどれ程の収益が得られるかは分かる。しかし、その収益が分かって還元利回り・割引率で得られた価格が分かっても、投資した金額が確実に回収されるか否かはさっぱり分からない。それでは投資家は困る。

 純収益のうちどれ程が借入金(投資金額)の返済にまわされ、尚かつそうした状況にあって、どれ程が借入先(投資先)の手許に残り、投資した会社の倒産が避けられ、事業の安全性が確保されているのかが投資家に取って最も知りたいところである。それを知ることによって投資金額の回収がどれ程確実性が有るのかがわかる。
 そうしたことがわかって求められたDCF法の価格であるならば、価格の信頼性が増す。

 例えば、比準価格11億円、積算価格12億円、純収益を単純に資本還元して求めた収益価格10億円と価格が分かったとしても、その価格がどうした。その10億円で資本投下して不動産を購入したとして、それで投資採算が合い、投下資本が確実に回収出来るのかという疑問が残ってしまう。
 投資採算性と投下資本の回収の疑問が残る価格の求め方では、それはバブル時期の不動産投資と同じことでは無いかと言うことになってしまう。

 DCF法の借入金採用の手法を採用する事は、この投下資本回収の透明性、そして、それはまた鑑定評価額に透明性を持たせるために行われる手法で有る。

 私が、現実に民事再生法申請や売買或いは減損会計で評価したゴルフ場の評価実例を元にして、分かり易く話して見ようと思う。ものごとを分かり易く話すことは大変難しいことで、果たして私に出来るものか不安があるが。

 そしてゴルフ場の固定資産税が高すぎることも話して見ようと思う。
 ゴルフ場が所在する地方自治体にとっては、ゴルフ場の固定資産税は高すぎると指摘されることは、大変イヤなことであろう。
 「高くない。
 適正価格による課税である。
 文句云われる筋合いはない。」
と主張する役所が大半であろう。

 そう言う役所の人も、家に帰れば一人の普通のただの日本人にすぎないのに、役所という器か組織に入ってしまうと、自分でも気づかずに、考え方・発言が国家権力をバックにしたものとなる。不思議なことである。

 しかしその強弁が、果たして、いつまでどこまで通用するものか。バブル経済崩壊でゴルフ場の経営は大変苦しいのである。

 一人地方自治体のみバブル経済崩壊とは関係なく、不労所得に近いバブル経済時とほとんど同じゴルフ場からの高い固定資産税の利益を享受していることは許されるものではない。
 企業は倒産の危機、人員の整理、経費の節減に努め、必死になって事業の継続に汗水を流している。

 役所とて、いつまでもバブル経済時の感覚で行政していて良いものではない。
 バブル経済崩壊後15年をして、役所にも民間企業・民間人が味わっているバブル経済崩壊の苦しさ・厳しさがどれ程のものか味わって、自覚してもらっても良いであろう。
 

 ゴルフ場について本鑑定コラムには多くの記事があります。
 2つ程の記事の所在を載せます。下記をクリックすれば記事に繋がります。
  鑑定コラム29)川奈ゴルフ場の価格
  鑑定コラム174)ゴルフ場の固定資産税は高すぎる

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