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1940)還元利回り=標準粗利回り×(1−必要諸経費率)の証明

 鑑定コラム1939)「三菱地所の賃貸不動産の還元利回りはどれ程か」で、還元利回りを求める算式は、下記であると述べた。

      還元利回り=標準粗利回り×(1−必要諸経費率)

 上記算式は、どの様にして算出されるのか。その証明を行う。

1.還元利回りの求める算式

(1) 粗利回り・標準粗利回り

 年間賃料収入を、その収入を生み出す土地・建物の不動産の価格で除した利回りを粗利回りと呼ぶ。必要諸経費を含んだ賃料を土地・建物の価格で除した利回りである。

 土地に建つ建物が、その土地に許容される容積の建築面積を持つ建物の場合の粗利回りを「標準粗利回り」と呼ぶこととする。

 下記算式である。

    
                              年間賃料総収入
     標準粗利回り= ───────────      ・・・@式  
                            土地価格+建物価格

(2) 必要諸経費率

 必要諸経費率とは、年間賃料総収入に占める必要諸経費の割合である。

                              必要諸経費
            必要諸経費率= ─────────            ・・・A式 
                             年間賃料総収入

(3) 純収益

 純収益とは、年間賃料総収入から必要諸経費を差し引いた金額を云う。

             年間賃料総収入−必要諸経費=純収益     ・・・B式

(4) 還元利回り

 還元利回りとは、純収益を土地建物価格で除した割合をいう。

                                 純収益
      還元利回り =───────────      ・・・C式  
                          土地価格+建物価格

(5) 還元利回りと標準粗利回り、必要諸経費率の関係

 C式にB式を代入する。

                           年間賃料総収入−必要諸経費
      還元利回り =──────────────  ・・・D式  
                               土地価格+建物価格

 A式を変型する。

            必要諸経費=   年間賃料総収入×必要諸経費率 ・・・E式

 D式にE式を代入する。

                     年間賃料総収入−年間賃料総収入×必要諸経費率
    還元利回り =────────────────────       
                               土地価格+建物価格

年間賃料総収入      年間賃料総収入 = ────────  − ────────  × 必要諸経費率 土地価格+建物価格    土地価格+建物価格       ・・・F式


       年間賃料総収入
      ───────────  
      土地価格+建物価格

は、標準粗利回りであることから、F式は、

     還元利回り=標準粗利回り−標準粗利回り×必要諸経費率  ・・・G式

となる。

 G式を変型する

         還元利回り=標準粗利回り(1−必要諸経費率)      ・・・H式

となる。

 即ち、還元利回りは、

        還元利回り=標準粗利回り×(1−必要諸経費率)
 
の算式で求められる。

2.算式の批判について

 上記還元利回り(期待利回り)の求め方は、不動産鑑定評価基準が還元利回りの求める方法として挙げている4つの方法のうち(ア)の「類似の不動産の取引事例との比較から求める方法」(26年改正鑑定基準国交省版P30)を、より論理的に、科学的に算式化させたものである。

 上記算式は、比準賃料を採用していることから、次のごとくの批判が、過去になされた。

 「積算法と賃貸事例比較法は、各手法の適用において共通する価格形成要因に係る判断に整合性に留意しながら、それぞれ独立して新規賃料を求めるものであるから、積算法の適用過程において賃貸事例比較法の適用結果である比準賃料を用いることは明らかに鑑定評価手法における誤りである。」と。

 しかし、その批判は、平成26年5月1日に鑑定基準の改正により、退けられることになった。

 平成26年5月1日に鑑定基準の改正の重要方針の1つとして「不動産市場の国際化への対応」の項目が掲げられた。

 その項目の中の1つとして、次のごとく鑑定基準の考え方が変更となった。

 「鑑定評価手法に関し、原則として「3方式」を併用することを求めてい る改正前規定について、市場分析により把握した市場の特性を適正に反映した「複数の手法」を適用することを求める規定に変更」することになった。(『要説 不動産鑑定評価基準と価格等調査ガイドライン』P29(公益社団法人日本不動産鑑定士協会連合会監修、鑑定評価基準委員会編著、住宅新報社、2015年10月発行))

 この「複数の手法」を適用する規程の変更の解釈として同著P150で次のごとく解説する。

 「鑑定評価の方式は、価格を求める手法と賃料を求める手法に分類され、三方式それぞれの考え方を中心とした鑑定評価の三手法が規定されている が、これら各方式と各手法とは必ずしも一対一の関係にあるものではなく、一つの手法の中にそれぞれ三方式の考え方が輻輳して取り入れられて適用されるものであることに留意する必要がある。

 そのほかに、鑑定評価の三手法の考え方を活用した手法が、価格を求める手法と賃料を求める手法のそれぞれに固有の手法として規定されている。

 このように、鑑定評価の各手法を適用して求められた価格又は賃料は、それぞれの手法に共通する要因を反映したものであり、いずれもそれぞれ最終的に求めようとする価格又は賃料を指向するものであるから、これら共通する要因に係る判断の整合性について再吟味することによって適正な鑑定評価額を最終的に導き出すことができる。」


  鑑定コラム1939)
「三菱地所の賃貸不動産の還元利回りはどれ程か」

  鑑定コラム19)「還元利回りの求め方」

  鑑定コラム1755)「還元利回り、期待利回りの求め方」




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