鑑定コラム1850)(発表2018年11月19日)で、19ミリ異形棒鋼の平成30年10月現在の価格が、トン当り75,000円(東京高値 以下同じ)で、1年前よりトン当り1.2万円上がり、率にすると18%上昇していると記した。
その後の19ミリ異形棒鋼の価格がどうなっているか。
価格情報を発表し記している日刊鉄鋼新聞のホームページを訪れて見た。
19ミリ異形棒鋼は、2019年5月までトン当り75,000円の市場価格をつけて取引されていた。
19ミリ異形棒鋼がトン当り75,000円となったのは、2018年9月であった。その価格が2019年5月まで続いた。
そして2019年6月にトン当り74,000円となった。
トン当り1,000円値下がりした。
8ヶ月ほどトン当り75,000円を付けていて、1,000円とはいえトン当り価格が下がったと云うことは、鋼材価格は天井を打ったと判断してよいでは無かろうか。
大量の鋼材需要を囁かれていた東京オリンピックの建物施設等の建設工事は、そろそろ完成に近づきつつある。
東京オリンピック関係の鋼材需要は、峠を越えて終わっていると考えれば、鋼材の価格は下がっても良いと判断できる。
マンション、ホテル建設ブームとはいえ、オリンピックの建物施設の建設需要が無くなれば、鋼材の価格は影響を受けるであろう。
いよいよ、「景気は東京オリンビックまで」と云われていた噂が、東京オリンピック開催の1年前に、鋼材価格に具体的に現れてきた。
これから建設業関係の景気後退が囁かれ始めるであろう。
棒鋼価格の値下がりと土地価格の値下がりとは無関係ではない。
2008年6月にトン当り11万円という価格をつけた19ミリ異形棒鋼の価格は、その後大暴落する。
2008年11月6日発表の鑑定コラム480)「19ミリ棒鋼が値下がり始めた」の記事の中で、次のごとく述べている。
「土地の価格は去年(2007年 平成19年)7月をピークにして下落した。
現在の都心商業地、住宅地の地価は激しい下落状態である。
2008年11月を鋼材価格の値下がり時期と見れば、地価下落より1年4ヶ月遅れで鋼材の価格下落が生じた。
地価暴落を起こした前回の平成バブルの時を振り返って見ると、地価上昇の後を追うごとく鋼材価格は上昇した。
そして地価が暴落し始めると、鋼材も後追いで下落し始めた。
今回も全く同じ現象をを引き起こしている。
地価下落より遅れること1年4ヶ月を経て、鋼材価格が下落し始めた。
地価変動に対して、鋼材価格は、ある一定のタイムラグを持って価格変動するという経済経験則があると言える。」
2018年1月以降の、19ミリ異形棒鋼のトン当り価格の推移を、下記に記す。日刊鉄鋼新聞の調査によるものである。
2018年01月 70,000円 2018年02月 71,000円 2018年03月 72,000円 2018年04月 74,000円 2018年05月 74,000円 2018年06月 74,000円 2018年07月 74,000円 2018年08月 74,000円 2018年09月 75,000円 2018年10月 75,000円 2018年11月 75,000円 2018年12月 75,000円 2019年01月 75,000円 2019年02月 75,000円 2019年03月 75,000円 2019年04月 75,000円 2019年05月 75,000円 2019年06月 74,000円 2019年07月 −