鋼材価格の指標である19ミリ異形棒鋼の価格が下がり始めてきた。
日経商品指数主要相場(日本経済新聞)で、長い間1トン113,000円(東京 高値)の価格水準を付けていた19ミリ異形棒鋼が、2008年10月末に1トン111,000円を付けた。
1週間もせずに1トン11万円を切り、2008年11月7日には1トン105,000円の価格になった。
棒鋼の価格下落がはっきりしてきた。
19ミリ異形棒鋼の価格は、東京市場より大阪市場の方が1トン当り2〜3千円高いのが普通であるが、11月7日の市場は、大阪の価格は1トン10万円台を素通りして、1トン97,000円である。
東京の価格よりも低く、かつ値下がりは東京よりも大きい。
棒鋼メーカーはここ1年強気の価格設定で市場形成し、かつ減産という手段も使い価格の高値維持を図って来た。
しかし北京オリンピック以後の中国経済は予想された通り経済不振が訪れ、鋼材需要の著しい減少が生じた。
国内では、地価高騰とマンション価格高騰によってマンション需要の減少が生じ、それに伴いマンション建設が激減した。
19ミリ異形棒鋼を最も多く使うマンション建設の激減が続けば、19ミリ異形棒鋼の価格が下落するのは当然であろう。
一方、棒鋼の原料であるスクラップ鋼材価格も高い時には、1トン7万円の価格にもなったが、現在では1トン1万円を切るまでの価格大暴落を引き起こしている。
これらより、市場の価格形成の力関係が崩れ、鋼材価格の下落が生じてきた。
19ミリ異形棒鋼は1年前には1トン7万円台の価格であった。
現在の1トン105,000円の価格も依然高い価格水準にあると思われる。
土地の価格は去年(2007年 平成19年)7月をピークにして下落した。
現在の都心商業地、住宅地の地価は激しい下落状態である。
2008年11月を鋼材価格の値下がり時期と見れば、地価下落より1年4ヶ月遅れで鋼材の価格下落が生じた。
地価暴落を起こした前回の平成バブルの時を振り返って見ると、地価上昇の後を追うごとく鋼材価格は上昇した。
そして地価が暴落し始めると、鋼材も後追いで下落し始めた。
今回も全く同じ現象をを引き起こしている。
地価下落より遅れること1年4ヶ月を経て、鋼材価格が下落し始めた。
地価変動に対して、鋼材価格は、ある一定のタイムラグを持って価格変動するという経済経験則があると言える。
19ミリ異形棒鋼の価格変動についての記事には、下記の鑑定コラムがあります。
鑑定コラム391) 「鉄筋鋼材の値上がりが激しい」
鑑定コラム437) 「19ミリ異形棒鋼トン11万円に(2008年6月12日)」
鑑定コラム1947)「19ミリ異形棒鋼価格がトン7.4万円に下がった」
鑑定コラム1993)「19ミリ異形棒鋼▲4%値下がり(2019年9月)」