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1997)関東甲信住宅地定期借地権の地代利回りは1.81%

 事業用定期借地権の地代鑑定の仕事があり、定期借地権の地代利回りについてある団体が調査発表していた調査結果を使わしてもらった。

 良い資料であった。

 その御礼と云う訳では無いが、その定期借地権の地代利回りの実態調査を紹介したい。

 それは、不動産鑑定士の団体の1つである関東甲信不動産鑑定士協会連合会(会長 今西芳夫氏)が発表している『定期借地権の地代利回りに関する実態調査報告』(第3回 平成28年3月) というデータである。

 会長の今西氏が「発刊のことば」として述べられているが、発刊の第1回は平成7年、第2回は平成16年であったという。

 そして調査の目的として次のごとく述べられている。

 「不動産鑑定とは、不動産の価値を把握し、貨幣額に置き変えることです。
 取引市場において、それぞれの不動産がどのように扱われ、取引対象とされているのか、収益はどうなのか、何%で利回りは回っているのか等々、市場の実態を収集、整理分析し、取引傾向や平均値がどうなっているのかを不動産鑑定士が具体的に知らなければ実証的な評価とは言い得ません。言い換えると、信頼出来る調査結果を裏付け資料とした評価であれば、その信頼性、説得力も大いに高まるということになります。」

 多くのデータが集まった1つは、調査に特定非営利法人「首都圏定期借地借家権推進機構」の協力があったことを報告されている。

 調査を行った調査委員会の各県の不動産鑑定士協会の代表担当者は、下記の不動産鑑定士の方々である。

        岩淵 隆氏    神奈川県 委員長
        勝木雅治氏    神奈川県 
        佐藤ぱうろ氏      茨城県
        森田信也氏    栃木県
        海老沼宏次氏   群馬県
        小林正矩氏    埼玉県
        佐藤佳恵氏    千葉県
        鶴田郁哉氏    山梨県
        真子 浩氏    長野県

 調査は4区分に分かれている。

          ・住宅地系一般定期借地権
          ・民間事業用定期借地権
          ・自治体系事業用定期借地権
          ・自治体系一般定期借地権

 その調査結果は下記である。自治体系の2つについては省略する(以下同じ)。

 地代は、下記である。

          ・住宅地系一般定期借地権           123円/u・月
          ・民間事業用定期借地権             368円/u・月

 住宅地の定期借地権の地代は、u当り123円である。坪当り換算では、

              123円×3.30578≒407円

である。

 民間事業用の定期借地権の地代は、u当り368円である。坪当り換算では、

              368円×3.30578≒1217円

である。

 民間事業用定期借地権の地代は、住宅地の一般定期借地権の地代に比して、

                    368
               ───── =2.991≒3.0                              
                    123

単価は3倍ということである。

 更地価格に対する実質地代の利回りは、下記である。

          ・住宅地系一般定期借地権           1.81%
          ・民間事業用定期借地権             4.89%

 実質地代利回りとは、定期借地権設定時に敷金、保証金或いは権利金の授受がなされている場合、その運用益、償却額を支払い地代に加算して求められた地代利回りである。

 それら一時金が全く授受されていなければ、実質地代利回りが支払い地代利回りとなる。

 一時金が授受されている場合の支払い地代利回りは、下記である。

          ・住宅地系一般定期借地権           1.59%
          ・民間事業用定期借地権             4.79%

 同実態調査報告書の最後に、『定期借地権の地代に関する実態調査報告』の表がある。

 NPO法人首都圏定期借地借家権推進機構の不動産鑑定士勝木雅治氏の調査報告書である。この調査は、住宅地の定期借地権の地代の調査と思われる。

 95例の分析である。結果は下記である。

  
    支払地代     u当り164円 
        実質地代利回り  1.79% (0.0179)

 実質地代利回りの標準偏差も記されている。標準偏差は0.0033である。

 標準偏差を利用すれば、データの領域がわかる。

 平均値1.79%に標準偏差の1倍を加減算すると、

            0.0146〜0.0212 (1.46%〜2.12%)

の範囲に、住宅地の定期借地権の地代は、出現確率68%の割合で存在することになる。

 つまり7割近くの住宅地の定期借地権の地代利回りは、上記の地代割合の範囲にある。

 その範囲外にある定期借地権の地代は、甚だ安い地代か、甚だ高い地代であることになり、見直しが必要ということになる。

 変動係数は、

                    0.0033
                  ───── =0.184                                
                    0.0179

0.184である。

 関東甲信不動産鑑定士協会連合会は標準偏差を発表していないが、上記変動係数を使用して求めれば、下記である。

 住宅地系一般定期借地権     0.0181×0.184=0.0033
 民間事業用定期借地権       0.0489×0.184=0.0090

 求められた標準偏差の1倍を加減算して、確率68%の領域を求めれば、下記である。

 住宅地系一般定期借地権       0.0148〜0.0214  (1.48%〜2.14%)
 民間事業用定期借地権         0.0399〜0.0579  (3.99%〜5.79%)

 関東甲信の地域の定期借地権の地代割合で、上記割合外の地代は、異常に低い地代もしくは異常に高い地代と推定され、見直しが必要と云える。

 今回、『定期借地権の地代利回りに関する実態調査報告』(第3回 平成28年3月)の調査結果の割合を利用することにより、実態を反映した説得力があるであろうと、勝手に自分本位で思っている定期借地権の地代の鑑定書を作成することが出来た。

 定期借地権の実態調査を行い、その結果を発表された関東甲信不動産鑑定士協会連合会の不動産鑑定士の方々に感謝したい。


  鑑定コラム1984)
「第4回定期借地権実態調査立ち上げの集いへの参加の誘い」


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