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2012)2019年10月小売業売上高前年同月比▲7.0%減

 2019年10月1日より消費税が2%アップした。

 それまでは消費税率は8%であったが10%になった。

 消費税2%のアップが、商業の売上高にどの様に影響したのか。

 前年(2018年)と今年(2019年)の9月と10月の売上高を比較することによって、消費税2%アップによる売上高への影響を知ることが出来るのでは無いのかと私は判断する。

 経済産業省が、2019年12月13日に、「商業動態統計」調査の2019年10月の確定数値を発表したことから、その数値より消費税2%アップの影響を見る。

 経済産業省の商業動態統計の発表数値(確定値)を2018年1月より記すと、下記である。


商業動態統計   確定値 10億円
       
  商業計 卸売業 小売業
       
2016年 442283 302406 139877
2017年 455954 313439 142514
2018年 471550 326585 144965
       
       
2018年1月 36636 24878 11759
2018年2月 36548 25572 10976
2018年3月 42308 29637 12671
2018年4月 38831 26842 11990
2018年5月 37899 26062 11837
2018年6月 38981 27215 11766
2018年7月 39635 27220 12415
2018年8月 38299 26486 11813
2018年9月 38318 26776 11543
2018年10月 40189 28246 11943
2018年11月 40251 28127 12124
2018年12月 43654 29526 14129
2019年1月 36384 24553 11831
2019年2月 36254 25217 11037
2019年3月 41606 28808 12798
2019年4月 38745 26710 12035
2019年5月 37044 25056 11988
2019年6月 37899 26072 11827
2019年7月 39041 26879 12163
2019年8月 37268 25239 12029
2019年9月 40100 27497 12603
2019年10月 36661 25573 11108


 消費税2%アップ前の売上高である2018年9月、2019年9月の売上高は、下記である。

 (卸売業)

     2018年9月    26兆7760億円
          2019年9月        27兆4970億円

27.4970 ──────= 1.027 26.7760
 2.7%の売上高アップである。

 (小売業)
     2018年9月    11兆5430億円
          2019年9月        12兆6030億円

12.6030 ──────= 1.092 11.5430
 9.2%の売上高アップである。

 卸売業・小売業ともに、2019年9月の前年同月比売上高アップは、殆どが、消費税実施前の駆け込み購入による売上高アップである。

 消費税2%アップ前の2018年10月の売上高と、消費税2%アップ後の2019年10月の売上高は、下記である。

 (卸売業)
     2018年10月    28兆2460億円
          2019年10月        25兆5730億円

25.5730 ──────= 0.905 28.2460

 ▲9.5%の売上高ダウンである。

 (小売業)
     2018年10月    11兆9430億円
          2019年10月        11兆1080億円

11.1080 ──────= 0.930 11.9430

 ▲7.0%の売上高ダウンである。

 この売上高ダウンは、消費税2%アップの要因と9月の消費税実施前の駆け込み購入による反動による売上高ダウンである。

 小売業の▲7.0%を、大きい率と見るか小さい率と見るかは、人それぞれの考え方によるが、私には小さい率には見えない。

 統計母集団の月額売上高は12兆円である。その売上高での1兆円の減少である。先食いの要因が含まれるとは云え、12兆円の中の1兆円の減少の事実は、2019年11月以降の小売業の売上高に少なからずの影響を与えると私は思う。

 消費税2%アップの影響は、景気にかなりの影響を与える数値と私は思う。

 この影響を打ち消すには、消費者収入の2%以上のアップが必要と私は判断する。即ちGDPの民間消費部門の金額の2%以上のアップである。

 具体的には、2018年度のGDPの支出側の民間消費の金額は305兆5795億円であったから、

       305兆5795億円×1.02=311兆6911億円

311兆6911億円を越える状態になれば、消費税2%アップの影響は払拭されるであろう。

 経済産業省の「商業動態統計」調査は、「全国の商業を営む事業所及び企業の販売活動などの動向を明らかにすることを目的としている」ものである。

 その調査は標本調査であり、個別標本、地域標本にわかれ、日本全国より約20,000の事業所及び企業を対象にしてデータを集めて分析している。2019年3月分の調査では回収率は83.9%であると云う。


  鑑定コラム2010)
「民間消費は国内総生産の60%程度」
 
  鑑定コラム2016)「 国内総生産の最高は、2019年9月直前1年間の554兆円か」

  鑑定コラム2041)「2019年の卸売業・小売業の売上高は460兆円 対前年比▲2.4%減」
 

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