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農林水産省の「米穀の取引に関する報告」の令和3年度産新米の令和3年9月時点の各県ごとの相対取引価格を調べると、令和3年度産新米は、前年度同月時の新米価格に比して、暴落している。
各県の取引量の多い銘柄の新米価格と、前年度の令和2年の新米価格と比較すると、玄米60kg平均価格は、下記である。
令和3年度産米 13,612円
令和2年度産米 15,353円
下落率は、
13,612円
────── = 0.89
15,353円
▲11%という大幅価格下落率である。
各県の銘柄米の価格一覧は、後記に記す。
銘柄米の最高級品種である新潟魚沼産コシヒカリですら、
令和3年度産米 20,301円
令和2年度産米 20,595円
▲1%下落している。
最も価格下落しているのは、下記の県の2銘柄米である。
千葉県コシヒカリ
令和3年度産米 11,136円
令和2年度産米 14,512円
下落率は、
11,136円
────── = 0.77
14,512円
▲23%の大幅価格下落率である。
もう一つは、下記である。
岡山きぬむすめ
令和3年度産米 11,459円
令和2年度産米 14,872円
下落率は、
11,459円
────── = 0.77
14,872円
▲23%の大幅価格下落率である。
60kg当り3,000円を超える新米価格の下落は、生産者農家にとっては、赤字であり、生産意欲を無くする価格下落である。
政府による生産農家補償と買上が必要となろう。価格下落の原因となっている前年度米の在庫の増加があることから、古米の買上が必要であろう。
令和3年度産新米価格が何故下落したのか。
その大きな原因の一つとして、前年度産米の在庫の増加がある。
農林水産省が発表している「米穀販売事業者における販売数量及び販売価格の動向」がある。
米穀販売事業者における販売量は、小売業者向け販売量と中食・外食事業者向け販売量に分けられている。
令和3年8月値の速報によると下記である。
令和3年8月における小売業者向け販売数量の対前年度同月比は101.1%で販売量の変化はプラスで大きな変動はない。
中食・外食事業者向け販売量は、令和2年8月が、対前年度同月比で84.9%であり、令和3年8月が対前年度同月比で100.1%である。
令和3年8月の販売量は100.1%で増加しているのでは無いのかと思われるであろうが、それは令和2年8月の84.9%に対する比率であり、令和元年8月の販売量から見れば、実質販売量は落ちている。
令和元年8月の販売量から見ると、中食・外食事業者向け販売量は、
0.849×1.001=0.849≒0.85
である。
つまり令和3年8月時点では、令和元年8月(武漢発新型コロナウイルス感染要因が全く無い状態)の販売量の0.85ということである。
米穀販売業者にとって、販売量が落ちる事はそれだけ在庫が残ることを意味する。
令和3年8月時には、在庫米として15%残っている事になる。それは令和2年米の在庫であろう。
在庫米が残っている事は、それを売りさばかなければならない。とすると令和3年度産新米を高く仕入れる事は出来ないと販売業者は判断するであろう。
令和3年度産新米の価格下落は、令和2年度産米の在庫増が原因していると考えられる。
では、令和2年度産米が何故在庫として15%残ったのか。
その原因は、令和2年1月末頃に日本に上陸した武漢発新型コロナウイルス感染によると判断出来る。
そのウイルス感染の拡大に伴い、政府は緊急事態宣言を出し、飲食店の時間短縮、休業要請を行った。
そのことにより、外食する人が大幅に減った。
一般社団法人日本フードサービス協会の発表によれば、令和3年8月時の会員業者の統計データは次のごとくである。
(フアミリーレストラン)
業者数 65社
店舗数 10,305店舗
前年同月客数比 83.1%
前年同月売上高比 79.4%
(デイナーレストラン)
業者数 27社
店舗数 940店舗
前年同月客数比 82.9%
前年同月売上高比 75.5%
一般社団法人日本フードサービス協会会員のフアミリーレストラン、デイナーレストラン業者の対前年同月比の客数比は83.1%〜82.9%であり、売上高は79.4%〜75.5%である。
客数減から売上高減が発生する。客数減から当然お米の消費量は減っていることが充分推定される。
この外食業者が使用するお米の量が減ったことが、お米卸販売業者の米販売量の減少、在庫の増加につながり、そして令和3年度産新米価格の大幅下落ということになった。
令和3年度新米価格対前年比 0.89
─────────────────────────── ≒1.07
令和3年8月レストラン対前年同月客数比 0.83
令和3年度産新米価格対前年比率は、令和3年8月レストラン対前年同月客数比に1.07を乗じた割合と云うことになる。
在庫量比(実質販売量比)で考えると、
令和3年度新米価格対前年比 0.89
─────────────────────────── ≒1.05
令和3年8月実質在庫量比(実質販売量比) 0.85
令和3年度産新米価格対前年比率は、令和3年8月の実質在庫量比(実質販売量比)に1.05を乗じた割合と云うことになる。
上記分析は、農業経済とは全く門外漢である私の令和3年度産新米価格の大幅下落についての分析である。全く違っているというお叱りを受けるかもしれないが、一つの分析として読んで頂ければ。
下記に、農林水産省が発表した「令和3年度米の相対取引価格・数量」(令和3年9月 速報)の内の相対取引価格について一覧記す。単位は円/玄米60kg 税込みである。
県名
|
銘柄
|
令和3年産米(令和3年9月) 円/60s a
|
令和2年産米(;令和2年9月) 円/60s b
|
変動率 a/b
|
北海道
|
ななつぼし
|
12157
|
14971
|
0.81
|
青森
|
まっしぐら
|
13072
|
13691
|
0.95
|
岩手
|
ひとめぼれ
|
13288
|
15100
|
0.88
|
宮城
|
ひとめぼれ
|
13301
|
15007
|
0.89
|
秋田
|
あきたこまち
|
13263
|
15132
|
0.88
|
山形
|
はえぬき
|
12127
|
14336
|
0.85
|
福島
|
コシヒカリ(会津)
|
13447
|
15142
|
0.89
|
茨城
|
コシヒカリ
|
12067
|
14255
|
0.85
|
栃木
|
コシヒカリ
|
12142
|
14647
|
0.83
|
群馬
|
|
|
|
|
埼玉
|
|
|
|
|
千葉
|
コシヒカリ
|
11136
|
14512
|
0.77
|
東京
|
|
|
|
|
神奈川
|
|
|
|
|
新潟
|
コシヒカリ(魚沼)
|
20301
|
20595
|
0.99
|
富山
|
コシヒカリ
|
13555
|
15956
|
0.85
|
石川
|
コシヒカリ
|
14538
|
15619
|
0.93
|
福井
|
コシヒカリ
|
13752
|
15615
|
0.88
|
山梨
|
|
|
|
|
長野
|
コシヒカリ
|
14134
|
15678
|
0.9
|
岐阜
|
コシヒカリ
|
13936
|
15441
|
0.9
|
静岡
|
コシヒカリ
|
14624
|
15430
|
0.95
|
愛知
|
コシヒカリ
|
12503
|
15660
|
0.8
|
三重
|
コシヒカリ
|
14200
|
15306
|
0.93
|
滋賀
|
みずかがみ
|
13732
|
15265
|
0.9
|
京都
|
コシヒカリ
|
13439
|
16074
|
0.84
|
大阪
|
|
|
|
|
兵庫
|
コシヒカリ
|
13893
|
15753
|
0.88
|
奈良
|
|
|
|
|
和歌山
|
|
|
|
|
鳥取
|
コシヒカリ
|
13414
|
14863
|
0.9
|
島根
|
きぬむすめ
|
12898
|
14318
|
0.9
|
岡山
|
きぬむすめ
|
11459
|
14872
|
0.77
|
広島
|
コシヒカリ
|
13888
|
15063
|
0.92
|
山口
|
コシヒカリ
|
13834
|
15173
|
0.91
|
徳島
|
あきさかり
|
11340
|
14580
|
0.78
|
香川
|
|
|
|
|
愛媛
|
コシヒカリ
|
14731
|
15680
|
0.94
|
高知
|
コシヒカリ
|
13470
|
15152
|
0.89
|
福岡
|
夢つくし
|
15553
|
16584
|
0.94
|
佐賀
|
|
|
|
|
長崎
|
コシヒカリ
|
14985
|
15771
|
0.95
|
熊本
|
コシヒカリ
|
14517
|
15729
|
0.92
|
大分
|
つや姫
|
14096
|
15035
|
0.94
|
宮崎
|
|
|
|
|
鹿児島
|
|
|
|
|
沖縄
|
|
|
|
|
平均
|
|
13612
|
15353
|
0.89
|
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