2345) 公示地の土地公租公課は評価する人に拠って違うのか
地価公示地の鑑定書が公開され、多くの人々の目に触れるようになって来た。
公示鑑定書の公開に伴い、内容の記述には充分注意を払われているものと思っているし、審査も何ヶ所もあり厳しくチェツクされていると思っている。
少なくとも国土交通省が直轄で、不動産鑑定士に頼んで鑑定する訳であるから、間違いがあっては、言い訳が立たない。
しかし、人間のやることに間違いは必ずある。それは仕方ない。私も間違いやミスをすることもある。出来る限り間違いは小さく、少なくする以外方法は無い。
地価公示価格は、2人の不動産鑑定士に拠って、同じ土地が評価される。
つまり相鑑(あいかん)である。
評価額が違うことは当然であり、採用する事例も違い、事例と評価公示地との比較格差が異なる事は当然有である。
しかし、相鑑の2人の不動産鑑定士の金額が違っていてはいけないものがある。
それは、公示地土地の公租公課である。
商業地の公示地の場合、土地の取引事例比較法の外に、収益還元法による収益価格を求めている。
評価公示地の上に最有効使用の賃貸建物を想定し、その賃料収入より、土地に帰属する純収益を求めて、収益価格を求める手法である。
その際、賃料とか、建物工事費や必要諸経費の中の1つを除いては、担当不動産鑑定士の調査及び経験と判断であり、相鑑2人の不動産鑑定士作成の鑑定書記載は違っていても良い。
ただ1つ違っていてはいけないものがある。それは公示地の土地公租公課の金額である。
同じ土地を評価するのに、その公租公課の金額が相鑑、A不動産鑑定士とB不動産鑑定士とで異なる事はあり得ない。
同じ土地の同じ年度の土地の固定資産税、都市計画税の金額が、評価する人に拠って異なって良いはずが無く、そもそも異ならない。
土地の固定資産税、都市計画税は、当該地方自治体が決めるものであり、不動産鑑定士だからと云って勝手に決められるものでは無い。
最近、同じ公示地の同一時点の地価公示価格の相鑑の鑑定書で、土地の公租公課が倍近くも違う公示鑑定書に遭遇した。
その金額は記述ミスであろうと思いたいが、令和4年の地価公示鑑定書にはその様なミスが無いように、充分見直して提出して欲しい。
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