○鑑定コラム


フレーム表示されていない場合はこちらへ トップページ

田原都市鑑定の最新の鑑定コラムへはトップページへ

前のページへ
次のページへ
鑑定コラム全目次へ

2529) 地価公示価格評価担当の不動産鑑定士に2つのお願い

 地価公示価格評価担当の不動産鑑定士の方々に2つのお願いがあります。

 現在、令和5年1月1日時点の地価公示価格の鑑定書作成の真っ最中であると思います。

 その忙しい時に、鑑定コラムなぞ読んでいる暇は無いと怒られそうですが、不動産鑑定評価は、情報産業の一つであり、情報を自らシャットアウトしていては、時代に取り残され、敗者の道を歩むことになるかもしれないと云うことを考えて見て欲しい。

 耳の痛い情報など見たくも聞きたくも無いという気持ちは十分推測出来ますが、私の2つのお願いを受け入れて欲しい。

 1つは、地価公示地の土地の固定資産税・都市計画税の金額についてです。

 地価公示価格は、2人の不動産鑑定士が別々に評価します。いわゆるA鑑定、B鑑定と呼ばれるものです。

 収益性の要因のある公示地は、土地取引事例比較法の比準価格のほかに、収益還元法による収益価格を求めます。

 公示地の上に最有効使用の賃貸建物を想定し、周辺の建物賃貸事例と比較して想定建物の賃料を求めます。賃料総収入より想定建物の必要諸経費を控除して純収益を求め、建物に配分する純収益を控除して土地に配分する純収益を求めます。その土地の純収益を土地還元利回りで除して収益価格を求めます。

 建物価格、必要諸経費の内、土地の公租公課以外は、不動産鑑定士の判断ですから、A鑑定、B鑑定で数値が違っても良いです。

 必要諸経費の中で1つだけ違ってはいけない金額があります。

 それは土地の公租公課(固定資産税・都市計画税)です。

 同じ価格時点で同じ土地を評価するのに、A鑑定、B鑑定で土地の公租公課の金額が違う筈がありません。違っても良いという反論、理論は通りません。

 東京都の地価公示価格のA鑑定、B鑑定の土地公租公課は同額であり、東京都の不動産鑑定士に対しては、このことについてはお願いする必要が有りませんが、それ以外の道府県においては、今迄のA鑑定、B鑑定の土地公租公課が異なる地価公示価格が数えられない位あります。

 それは、鑑定コラム2510)「地価公示価格鑑定書の土地公租公課がA・B鑑定書で違うのはおかしい」で、調査して述べてあります。

 昨年の2022年1月13日に発表した鑑定コラム2345)「公示地の土地公租公課は評価する人に拠って違うのか」で、やんわりと警告を出しましたが、その鑑定コラムを読む人が少なかったのか、2022年(令和4年)1月1日の地価公示価格の A鑑定、B鑑定の土地公租公課が異なる地価公示価格が沢山見られました。

 A鑑定、B鑑定で土地公租公課が倍以上も違うにも係わらず、決定されている地価公示価格が同じ価格というものもあるようです。

 ある人曰く、「何だ! そんな土地価格など有り得るのか!。地価公示価格の信頼性など全く無い!」と。

 2023年(令和5年)の地価公示価格には、A鑑定、B鑑定の土地公租公課が異なる地価公示価格が無いことを望みます。



 もう一つのお願いは、地価公示価格の比準価格と収益価格との価格開差についてです。

 土地価格は、不動産の持つ特性から、原価性、市場性、収益性の3つの面から分析し、積算価格、比準価格、収益価格を求めます。

 3つの価格は、理論的には一致すると云われています。現実には資料等の不足によって一致することはありません。

 しかし、無制限に3つの価格に開差があって良いと云うものではありません。

 価格の専門家の評価であれば、自ずから合理的に3つの価格(既成市街地では原価法の適用は出来ませんから比準価格と収益価格の2つの価格になります。)の均衡する価格の範囲はある筈です。

 一つの考え方を示せば、自然現象、社会現象、人間の行動現象は、原因理由は未解決ですが、何故か正規分布に従うと云われています。

 比準価格/収益価格の割合は、人間の行う一つの現象であることから、正規分布に従うと考えて分析すれば、平均値と標準偏差によって、現象の出現率が求められます。統計学で許容される出現率の最小は5%です。専門家であれば最小の出現率の価格で無く、10人の内7人が求める価格を求めるべきです。

 令和4年地価公示価格で、東京都の地価公示価格について調査分析したところ、統計学でデータとして否定される出現率5%以下の地価公示価格が存在することを知り、私は唖然としました。専門家として求められるべき地価公示の価格ではありません。このことについても鑑定コラムに記してあります。

 地価公示価格を担当している不動産鑑定士は、収益価格を蔑ろにしているのでは無いのかと思われます。

 土地価格は収益(不動産鑑定にあっては不動産の収益は賃料を云います)の裏づけあって存在するものです。そのことを十分考えて欲しいのです。

 以上2つのことをお願いします。



 このことは、本来代表幹事、分科会幹事、各県士会長、連合会担当委員会長、連合会会長が指示すべきことですが、昨年までの地価公示価格の結果の事実から分析して、それ等が行われていないと認められ、その役職の不動産鑑定士は何もやっていないと判断出来たので、私が鑑定コラムを利用して云わざるを得ないと思い、お願いの記事アップを致しました。

 我が県、分科会は行っているという事実があればお知らせ下さい。その県、分科会及び幹事の名前を公表致します。



 私の提案を大した事無いと解釈していたら、それは大間違いです。

 政権党の国会議員や政策秘書の中から、地価公示価格不用論が出ております。私の耳にもそれが届いています。

 現実の地価公示価格の体(てい)たらくが続けば、地価公示価格廃止も有り得る事になります。

 加えて、地価公示価格を完全に無視して土地鑑定評価された東京晴海オリンピック選手村土地価格評価を知れば、地価公示法があるにもかかわらず、それを守らず土地鑑定評価した不動産鑑定評価書が提出されていることから、地価公示価格の必要性を不産産鑑定士自ら認めていないのであり、地価公示価格を存続させる必要性は無く、廃止も有り得る事になります。

 固定資産税の標準価格鑑定評価不用論も政権党の国会議員や政策秘書の中から出ております。


  鑑定コラム2345)
「公示地の土地公租公課は評価する人に拠って違うのか」

  鑑定コラム2510)「地価公示価格鑑定書の土地公租公課がA・B鑑定書で違うのはおかしい」

  鑑定コラム2459)「千代田区商業地地価公示価格の鑑定書に見る比準価格/収益価格の関係」

  鑑定コラム2460)「中央区商業地地価公示価格の鑑定書に見る比準価格と収益価格の関係」

  鑑定コラム2489)「比準価格÷収益価格の割合は4.0倍 少しおかしいでは無いか 立川・国立・国分寺市住宅地地価公示価格」

  鑑定コラム2576) 「2023年地価公示価格 札幌周辺都市の商業地・住宅地価の上昇率が、全国上位10位を占める」

  鑑定コラム2627) 「地価公示価格A鑑定、B鑑定の土地公租公課の金額は同一にせょ 」

  鑑定コラム2669) 「自ら不動産鑑定評価を知らない事を自白していることになる 」


フレーム表示されていない場合はこちらへ トップページ

前のページへ
次のページへ
鑑定コラム全目次へ