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2521) 東京会会報2023年新年号に掲載の著書紹介文

 だいぶ前に、私が所属する東京都不動産鑑定士協会に、同協会の図書室の書棚に並べて頂ければと思い、著書『[考論]不動産鑑定評価』を寄贈した。

 そうしたところ、東京会の広報委員会の事務局から、2023年東京会会報新年号の著書紹介欄に寄贈図書を載せるから、300字程度の紹介文を書いてくれという連絡が入った。

 会報新年号に著書紹介と云うことを聞いて驚いたが、それ以上に自分で著書の紹介文を書く事の照れくささがあり、弱ってしまった。

 著書発行したプログレス社(電話03-3341-6573)の編集長に話したら、「田原さん、300字程度でしょう。書きなさいょ。」という。

 300字程度とは云っても、自分で自分の著書が優れている等と吹聴することは、書けるものでは無く、そもそも照れくさい。

 プログレスの編集長は、著書の「はじめに」と書いてあることを縮め、著書の内容の特色を書けば良いとアドバイスしてくれたが、編集長が書いてくれるとは言ってくれなかった。

 文章提出の締め切りも有り、仕方無く、意を決して、照れくさいが自分で書くことにした。下記である。

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 新型コロナウイルスの感染により、大学はインターネットによる遠隔講義の採用となった。本書は、大学のオンライン講義のために作成した講義レジュメをまとめたものである。不動産鑑定評価は科学であるという考え方から、証拠に基づき論理的に適正な不動産の価格及び賃料を求めるという姿勢が貫かれている。内容は、不動産鑑定評価とはどういうものかという総論の説明と専門用語の説明を行い、その後は不動産鑑定評価の実践論である。実践論には、最新の不動産鑑定評価理論を取り入れ、価格、家賃、地代の求め方が具体的に説明されている。借地権、借家権、使用貸借権価格の求め方、DCF法の求め方、回帰分析による求め方等も記述されている。

****


 「不動産鑑定評価は科学である」というのが、私の基本的な考え方である。

 著書購入者から、時々著書にサインを求められる時は、上記の文言を書いて署名している。

 それ故、賃料の期待利回りの記述としてよく見かける、「対象不動産の有する投資対象としての危険性・流動性・管理の困難性・資産としての安全性を考慮し期待利回りを4.3%と査定した。」という類の文言の羅列のみによって決定されている期待利回り或いは還元利回りの鑑定書は、文言の羅列からどうして4.3%の利回りが求められるのか、4.3%を裏づける証拠の論証性が全く欠如していると指摘して、私は不動産鑑定評価として失格であると批判する。

 著書『[考論]不動産鑑定評価』について、ネットの「ある不動産鑑定士」というホームページに、「個人的な感想」として次の様な書評が載っていた。少し長いが引用する。アドレスは下記である。

   https://kanteishi.info/kouron/

 (アドレスをドラッグコピーして、自分宛のメールにアドレスをコピー貼り付けして、自分宛にメールを送信して、自分宛に来たメールの中の青字等カラー文字のアドレスをクリックすれば、繋がります。)

 「不動産鑑定評価基準への問題提起は良いのですが、一方で少し無茶な論証もちらほら。

 不動産鑑定士として働くようになってから読むと良くも悪くも考えさせられる本です。(受験生や実務修習生がこの本の全てを鵜呑みにするのはキケンです)

【基準への問題提起】
・賃料評価の必要諸経費における「空室等による損失相当額」「貸倒準備費」計上の適否
・賃料評価の必要諸経費における「減価償却費」計上の適否

 また、還元利回りについて抽象的な説明の本が多い中、この本では極めて具体的に還元利回りの求め方が再三にわたり書かれています。

 この還元利回り求め方についても賛否あるところだと思います(管理人の意見は否です)。

 とはいっても、ここまで具体的に書いてある本は見たことがありませんのでその点はすごいと思います。

 賛否別れる本かと思いますが、学ぶべき箇所は必ずあると思います。田原先生の真剣さが伝わります。」

 そしてオススメ度の評点が次のごとくつけられている。

 「オススメ度
  調べたいことがある方 ☆5      部分的にでも読む価値があります
  不動産鑑定に興味あり  ☆4      少し癖が強いので入り口にはイマイチ
  不動産鑑定士受験生  ☆3   受験の役に立ちません
    実務修習生            ☆7      批判的な観点で読むと吉
    不動産鑑定士          ☆7      良くも悪くも勉強になります」


 「良くも悪くも勉強になります」の文言を見た時には、私は笑ってしまった。

 「ある不動産鑑定士」氏様、著書の書評有り難うございました。

 著書『[考論]不動産鑑定評価』は、そういう本の様です。


  鑑定コラム2296)
「著書『「考論」不動産鑑定評価』を発行」

  鑑定コラム2297)「アマゾン売れ筋ランキング不動産ビジネスの法律部門1位 『「考論」不動産鑑定評価』」

  鑑定コラム2585)「著書『考論 不動産鑑定評価』がアマゾン販売の不動産鑑定士の資格等本ランキング6位(2023年5月3日時点)」


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