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2595) 東京一ツ橋 如水会館での鵜野和夫先生お別れ会

 2023年5月25日(木)午後6時から、東京一ツ橋の鵜野和夫先生の母校の一橋大学ゆかりの如水会館3階富士の間で故鵜野和夫先生お別れ会が開かれた。

 木曜日は午後2時55分から始まる4限目に、横浜青葉台にある大学の講義が始まる。

 鵜野和夫先生お別れ会開催の連絡を受けた時、主催者の一人に、木曜日は講義時間とぶっかることから夕方6時開催にはとても間に合わないが、40分位遅れても良いですかと電話で聞いたところ、「大丈夫です。是非出席して下さい。」との返事をもらったので、遅刻を前提に鵜野先生お別れ会に出る事にした。

 大学の前期講義は全13回あり、そのうち5月25日(木)は5回目の講義である。

 教科書として使っている著書『考論 不動産鑑定評価』(プログレス)の考論4編の適正な時価、適正な対価、そして正常価格についての途中からと5編の不動産の価格形成要因について講義しているところである。

 最高裁の判例の固定資産税の適正な時価、東京高裁の相続税の客観的な時価、地方自治法の公有地売却の適正な対価、そして不動産鑑定評価における「正常価格」について学生に説明する。

 公有地の適正な対価については、現在東京高裁で争っている東京オリンピック晴海選手村都有地売却の鑑定評価額を例にして話する。

 晴海選手村土地の話をし始めると1時間では時間が足りなくなり、不動産の価格形成要因について話す時間が無くなることから、簡単に話した。

 いずれ開発法価格の求め方の講義があることから、その時に、開発法の悪い使い方の見本として晴海選手村土地価格の開発法を例にして詳しく話すつもりである。

 実社会に出て、開発法を使用してその金額を決定価格していた不動産鑑定書に出会ったら、その不動産鑑定書は100%信用するなと学生に云うつもりである。

 事実としての具体的な話を始めると、学生はほぼ全員、それまで眠たそうにして机にうつぶせになっていた学生も、目を輝かして私の話に耳を傾ける。不思議なものである。

 学生に、税理士で不動産鑑定士である鵜野和夫先生という著名な先生が亡くなり、そのお別れ会に出席しなければならないから、講義は少し早めに終えたいが、よろしいかと学生の了解を得る。

 学生に、君達が大学を卒業して、社会人になり、不動産会社に入って、マンションの等価交換の案件に遭遇したら、ほぼ鵜野和夫先生の著書の世話になるであろうと話する。

 講義時間は105分、1時間45分である。立ちっぱなしで1時間45分の講義は疲れるが、目を輝かして新しい知識を得ようとする学生の姿を見ていると疲れも忘れる。

 講義は、5分程度短く終えて、桐蔭学園と青葉台駅間を頻繁に運行している東急バスに乗り、青葉台駅に到着する。

 東急田園都市線は、地下鉄半蔵門線そして東武鉄道にも乗り入れしていることから、青葉台駅で、東武押上駅行の電車に乗る。

 半蔵門線の神保町駅で下車して、如水会館まで歩く。

 如水会館3階の富士の間に行く。

 富士の間の前に設けられた臨時の受付で、遅れてくる人を一人で待っている女性に、名前を告げ、会費を払い名札をもらい、富士の間に入った。

 鵜野和夫先生お別れ会は既に始まっており、遅刻者は私ひとりであった。会の途中に入るのも気が引けるものである。

 空いているテーブル席に案内されて、着席する。

 祭壇には、鵜野先生が桜の花が咲き誇る六義園で、桜の花を見あげる姿を映した大きな写真が飾られてあった。

 その写真の脇には、頁数1096頁の名著の『不動産の評価・権利調整と税務 』(清文社)が立てかけられており、その前には、酒好きであった鵜野先生を想い出させるごとく、サントリーの黒ラベルのウイスキー瓶、通称「達磨」が置かれていた。

 鵜野和夫先生お別れ会の主催者は、40数年「都市法研究会」と云う勉強会を開いてきた共同主宰者である丸山英気千葉大名誉教授であった。

 司会者は、「都市法研究会」という勉強会が、渋谷の東急本社の会議室で開かれていた関係からか、東急不動産から子会社に行っている板坂氏が行っていた。
 
 お別れ会の出席者は50名程度であろうか。鵜野先生の名著を発行し続けてきた清文社の編集者も数人出席されていた。

 顔なじみの不動産鑑定士も数人出席されていた。

 デーブルのビールを注ぎながら、臨席の人との挨拶と談笑が始まったが、両隣の人はいずれも不動産鑑定士の方々で、私は初めてであった。

 しかし、両隣の不動産鑑定士の方々は、私の名前を知っており、私の最初の著書を買っておられ、又、鑑定コラムを良く見ていると云われた。

 これには私は驚いた。

 著書の購入への御礼と、鑑定コラムの訪問への感謝の言葉を述べるが、そうであれば、私がどういう人間かは知っておられることから、気楽に話が弾んだ。

 参加者一人づつの鵜野先生との繋がりと思い出話をするということになった。

 私の番になり、私の一番最初の著書『賃料<家賃>評価の実際』(清文社)の書評を書いてもらったことと、その御礼に事務所にお伺いして、鵜野先生とのやりとりの話の中で、還元利回りの求め方の合理的な算式を作りあげたことは、不動産鑑定業界において、画期的なことであると鵜野先生から褒められたことを話していると、司会者から、時間オーバの声がかかってしまった。

 話は途中で終えることとなった。余り長い話は嫌われる。しかし、短く話を終えるのは難しい。

 出席者全員の思い出話も終わり、鵜野和夫先生お別れ会の終了も近づいた。

 六義園の桜の花を仰ぎ見る鵜野和夫先生の写真の前で、一輪の花を献花して、哀悼の意を込めながら手を合わせ、ゆっくりと深く別れの礼をして、如水会館の富士の間を出た。



  鑑定コラム2573)
「鵜野和夫(税理士・不動産鑑定士)先生の死を悼む」

  鑑定コラム14)「著書 『賃料<家賃>評価の実際』」

  「書評『賃料【家賃】評価の実際』」

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  鑑定コラム2618)「鵜野和夫先生の訃報、お別れ会への記事アクセスが上位に 令和5年7月1日アクセス統計」



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