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2023年5月18日、日本銀行は、2023年第1四半期(2023年1月〜3月)の銀行の貸出先貸出額を発表した。
それによると2023年1月〜3月の国内銀行の不動産業への新規貸出額は、4兆4440億円である。
前年同期は、3兆6089億円(発表時の金額、以下同じ。発表後に金額が変更されている場合が多々あるため)であったから、前年同期比では
4兆4440億円
──────── = 1.231
3兆6089億円
23.1%アップである。
3ヶ月で前年貸出額に加えて8300億円プラスの貸出を行うのである。
不動産業は、ウハウハである。
四半期の対前年同期比の増加率は、下記である。
2021年7月〜9月 前年同期比 + 4.3%
2021年10月〜12月 前年同期比 +26.3%
2022年1月〜3月 前年同期比 + 9.6%
2022年4月〜6月 前年同期比 +10.4%
2022年7月〜9月 前年同期比 +17.7%
2022年10月〜12月 前年同期比 + 2.2%
2023年1月〜3月 前年同期比 +23.1%
である。
貸出額の大巾増加である。
2023年第1四半期末直前1年間の貸出額を記すと、下記である。金額は発表時の金額である。
2022年第2四半期 2兆3907億円
2022年第3四半期 3兆0553億円
2022年第4四半期 3兆1430億円
2023年第1四半期 4兆4440億円
計 13兆0330億円
各四半期末直前1年間不動産業貸出額は、下記である。
2016年12月 12兆3388億円
2017年3月 12兆3580億円
2017年6月 12兆1569億円
2017年9月 11兆7927億円
2017年12月 11兆7070億円
2018年3月 11兆3894億円
2018年6月 11兆3064億円
2018年9月 11兆2219億円
2018年12月 11兆0434億円
2019年3月 10兆9189億円
2019年6月 10兆7439億円
2018年9月 10兆8577億円
2019年12月 11兆0715億円
2020年3月 11兆2599億円
2020年6月 11兆3390億円
2020年9月 10兆8391億円
2020年12月 10兆6697億円
2021年3月 10兆4344億円
2021年6月 10兆3828億円
2021年9月 10兆4889億円
2021年12月 11兆1311億円
2022年3月 11兆4459億円
2022年6月 11兆6710億円
2022年9月 12兆1305億円
2022年12月 12兆1979億円
2023年3月 13兆0330億円
13兆0330億円である。 遂に13兆円を突破して過去最高年間貸出額となった。
今迄の過去最高は、2017年3月の12兆3580億円である。6年前である。
これが黒田東彦日銀総裁が残した仕事である。
国内総生産はさっぱり伸びない。国内総生産の約60%は賃金が占める。
国内総生産が伸びなければ賃金の増加は無い。
賃金は、国税庁の『民間給与実態統計調査』によれば、民間給与者の年間平均給与額は、
平成10年(1998年) 4,646千円
令和3年(2021年) 4,433千円
である。
現在(2021年)の給与は、平成10年の給与よりも下がっているのである。
黒田日銀総裁一人の責任では無いことから、今年4月に辞めた黒田総裁を責めることは酷かも知れないが、金融超緩和政策が良政策であったかは、私には甚だ疑問に思われる。
日銀は金融超緩和政策を行うことによって、産業の活性化を計り、国内総生産を高めようとしたのであろうが、結果、金融超緩和の金は、株式と不動産に回り、株価高騰、地価高騰現象を引きおこしてしまった。
不動産業に対する国内銀行新規総貸出額に占める割合は、2023年第1四半期の割合は26%である。
国内銀行総貸出額 50兆1339億円
不動産業貸出額 13兆0330億円
13兆0330億円÷50兆1339億円=0.26
不動産業の国内総生産に占める割合は、私の計算によれば、4.2%(鑑定コラム1556)である。
国内総生産に占める割合4.2%の不動産業に対して、国内銀行が全貸出額の26%を貸し出す現象は、いささか異常な銀行貸出状況では無かろうか。
その様な政策をしていては、国内総生産が伸びる筈が無かろう。民間給与が増加することは無かろう。
金の使い道を大間違いしている。
不動産業国内銀行年間新規貸出額13兆円という貸出額過去最高額という歴史的数字を残して、黒田東彦総裁は日銀を去った。後は野となれ、山となれ、わしゃ知らぬと云うことか。
上記四半期末直前1年間の貸出額をグラフにしたのが、下図である。
鑑定コラム2326)「日銀はいつまで許すのか 不動産業への年間10兆円超の貸出額」
鑑定コラム2295)「不動産業への新規貸出額2021年6月期 対前年同期比▲2.4%減」
鑑定コラム2223)「最近20年間の国内銀行の不動産業貸出額の推移グラフ2020年」
鑑定コラム2232)「日本最高値地価▲7.1%ダウン 2021年地価公示価格」
鑑定コラム2083)「日本最高地価と不動産業貸出額」
鑑定コラム1542)「東京の最高地価と推移」
鑑定コラム1556)「帰属家賃を控除した不動産業の国内総生産はどれ程か」
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鑑定コラム2443)「国内銀行不動産業新規貸出額 2022年第2四半期直前1年間11.6兆円」
鑑定コラム2506)「最高額に近づく国内銀行年間不動産業新規貸出額 2022年第3四半期12.1兆円」
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鑑定コラム2630)「不動産業年間貸出額過去最高13.6兆円 国内銀行2023年6月末 もう止めよ」
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