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三菱地所の各年3月期発表の丸の内地区貸ビルのデータより分析した丸の内地区の平均事務所賃料をベースにして、丸ビルの立地の稀少性を正規分布の出現率を利用して求めた丸ビルの賃料は、鑑定コラム2597)で記した。2023年3月の賃料は、坪当り6.66万円である。
一方、国土交通省は、丸ビルの土地を地価公示地千代田5-2に選定し、その土地上に鉄骨造36階の店舗事務所ビルを想定し、地価公示地の収益還元法による収益価格を求めている。
その収益価格算出の為のビル賃料の平均は、坪当り4.67万円である。そのことについては、鑑定コラム2598)に記した。
日本経済新聞社が、毎年春と秋に、主要都市の中心地の事務所賃料を調査し、日本経済新聞に「オフィス賃貸料(本社調査)」として5月と11月に発表している。
2023年5月に発表された「東京大手町〜丸の内」の既存ビルの賃料は、坪当り3.3万円〜5.8万円である。
地価公示価格の鑑定書が公開発表された平成31年(2019年)以降の上記3つの丸ビルの賃料を記すと、下記である。
但し、日経のオフィス賃貸料については、ゾーン高値の賃料を丸ビルの賃料相当とみなす。
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万円/坪
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元号
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西暦
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田原分析丸ビル賃料
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地価公示丸ビル賃料
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日経大手町〜丸の内賃料
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平成31年
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2019年
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6.15
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4.87
|
6.0
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令和2年
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2020年
|
6.29
|
4.91
|
6.0
|
令和3年
|
2021年
|
6.43
|
4.88
|
5.5
|
令和4年
|
2022年
|
6.55
|
4.75
|
5.8
|
令和5年
|
2023年
|
6.66
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4.67
|
5.8
|
上記3つの賃料をグラフに示したのが、下記グラフである。
丸ビル土地上に設定された地価公示価格千代田5-2地価公示地の収益還元法採用の丸ビル賃料が最低の賃料である。
地価公示採用の賃料は安すぎると指摘すると、国交省や地価公示鑑定評価担当の不動産鑑定士が、「地価公示鑑定評価に採用した賃料は適正である」と当然主張するであろう。
しかし「適正である」と云ったからといって、賃料が言葉通りに適正となるものでは無い。
丸の内地区の平均賃料から、丸ビルの丸の内地区での立地を十分反映して論理的に求められている6.66万円/坪という賃料、市場が形成する賃料を反映している日経オフイス賃料の5.8万円/坪、それ等賃料より、1.99万円/坪〜1.13万円/坪安い賃料、率で云えば▲30%〜▲20%安い賃料を、適正な賃料ということは出来ないであろう。
公示価格の賃料が適正であるとしたら、6.66万円/坪及び5.8万円/坪は不適正な賃料と云うことになる。
6.66万円/坪とか、5.8万円/坪が不適正賃料であるという主張に対して、果たして多くの人が納得するであろうか。
地価公示地の収益価格採用のビル賃料に低すぎるという疑念が生じれば、求められている地価公示地の土地価格にも同じごとくの安すぎるのでは無かろうかという疑念が生じることになろう。
市場が形成する適正な賃料、適正な価格とかけ離れた賃料及び価格を求めないように。そしてその賃料・価格を適正であると余り主張しないように。
それが度重なり、常態化すると、地価公示価格不用論に繋がることになる。
地価公示価格不用論に結びつくような行為、判断、鑑定を専門職業家としてしないように。
鑑定コラム2593)「丸の内地区のビル賃料はu当り12,358円(2023年3月)、過去最高」
鑑定コラム2598)「地価公示千代田5-2丸ビル土地上設定のビル賃料は 坪当り4.67万円」
鑑定コラム2597)「丸ビルの賃料は坪6万6千円 2023年3月」
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