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287)1坪とは

 1坪とは、縦1間、横1間の面積を云う。畳2畳を横に並べた大きさである。
 1間の「間」は「けん」と読む。「ま」とか「あいだ」とは読まない。

 但し「洋間」とか「居間 」など、長さを表さない時に使用する場合には「ま」と読む。

 不動産に付いての知識が全く無い学生に、まず不動産で使われる単位、尺貫法について基本知識を教えておかねばならない。

 1間とは6尺である。
 ここで1m=3.3尺と決めた。つまり10m=33尺と決めたのである。
 1尺をメートルに換算するには、その逆数となる。
 1尺=(1/3.3)m=(10/33)m=((10×100)/33)cm=(1000/33)cm
 1尺は(1000/33)cmである。
    (1000/33)cm=30.3030303cm
 通常は30.3cmとしている。

 6尺は、
    0.303030303m×6=1.818181818m
となる。通常は1.818mもしくは1.82mとしている。
 1間は、1.818mもしくは1.82mと言うことになる。

 日本家屋の建物で使われる、柱の間隔半間、垂木ピッチ1.5尺、天井高8尺、階段幅半間、長さ1.5間の寸法等がある。それら尺貫法の長さは次の通りである。

 1.5尺=30.3030303cm×1.5≒45.5cm
 2.0尺=30.3030303cm×2 ≒60.6cm
 3.0尺=半間=30.3030303cm×3 ≒91cm
 8.0尺=30.3030303cm×8 ≒242cm=2.42m
 1.5間=1.818181818m×1.5≒2.73m

 1坪は、

    1.818181818m×1.818181818m=3.305785123u 
                 ≒3.30578u
である。更に略して、
    1坪=3.3u
としている。

 但し坪面積を、u面積に換算する場合には、
    1坪=3.30578
の数値で行う。

 例えば、500坪の土地をu換算するには、
    3.30578×500(坪)=1652.89u
と計算する。

 u当り土地を坪面積に換算するもう一つのやり方がある。
 上記で、1坪は3.305785123uと求められた。
 これより1uは何坪になるのか。それは逆数でもとめられる。

 1uは、
 1u=1坪/3.305785123u=0.3025坪
である。

 前記の1652.89uの坪数は、
    0.3025坪×1652.89u=499.999225坪≒500坪
と求められる。

 1u=0.3025坪を使用して、坪数をu面積に換算する場合は、
    坪数÷0.3025=u面積
で求められる。
 例えば500坪をu面積に換算する場合は、
    500坪÷0.3025=1652.892562u≒1652.89u
で求められる。

 1坪=3.30578u
 1u=0.3025坪
のいずれを用いて、坪面積、u面積を互いの面積に換算しても良いが、1u=0.3025を用いるときは、1坪=3.30578の時の換算と乗除が逆であることに充分注意して使用する必要が有る。それは1u=0.3025坪の数値がどの様にして求められたかを理解しておれば、間違うことは無いと思うが。

    1畝=30坪(歩)=3.30578×30(坪)=99.17u≒1a
    1反=10畝
    1町歩=10反=9917.36u≒1ha

 1aは100uで、約1畝である。
 1haの「h」は、100を意味するhundredのhであることから、1haは1aの100倍の面積を意味する。

 1aは100uであるから、1haは、
    100u×100=10,000u
ということになる。日本の尺貫法の面積では1町歩に相当する。

 日本の尺貫法とメートル法との関係を見ると、
    1畝≒1a
    1町歩≒1ha
である。

 農耕規模で考えると、人間の耕作の単位というものは、単位の表現は異なるが、ほぼ同じ面積を基本単位として考えられていると判断される。

 と考えると、日本の「坪」という単位は、日本人が考え出した貴重な生活に密着した面積単位であり、それは一つの文明である。

 メートル法を法律で導入したからといって、uの面積に切り替えて、日本人の先人達が築き上げた「坪」という一つの文明を、あっさりと捨て去って良いというものではない。

 次に不動産の方位について述べる。
 不動産の場所を示す場合、
 「OO駅より東方3km」
というごとく方位を示す。

 この場合、不動産鑑定評価では、「南」・「北」を基軸にして方位を表現する。8つの方位である。

    東、南、西、北、南東、南西、北西、北東

の8方位である。

 東と南の中間を「南東」という。
 西と北の中間を「北西」という。
 中間方位の先に来るのは、必ず南もしくは北である。

 東南とか西北とは云わない。
 日常では「東南の角地」と言うけれども、不動産鑑定では「南東の角地」という。

 また早稲田大学の校歌の「都の西北 早稲田の杜に 聳ゆる甍は われらが母校 ・・・・・」の歌で「西北」と方位が歌われているが、不動産鑑定では「西北」とは云わない。「北西」と表現する。

 南と南東の中間はどう呼ぶのかという質問があるかもしれないが、「南南東」という方位までは使用しない。
 その方位は、南もしくは南東の方位に含めて表現する。
 この辺りは不動産の方位表示はアバウトである。

 次に重要なものとして、価額の計算表示について述べる。
 例えば、坪当り10万円で、300坪の土地があったとする。その土地価額は、下記の算式で一応求められる。

    100,000円×300坪=3000万円     A式
    300坪×100,000円=3000万円     B式
  
 A式・B式いずれの式で求めても、土地価額は3000万円と同じである。
 「それがどうした。A式・B式かと?。価額は同じだから、そんなことはどうでもいいではないか。何を今更。小学生の算数を・・・・」
と小馬鹿にされるかもしれないが、小馬鹿にしていると自身がしっぺ返しを食らうことになる。

   A式・B式の意味することは、
    A式は100,000円を300倍する
        B式は300坪を100,000倍する
ということである。

 こう考えると、B式の求め方が正しいと言えるであろうか。
 B式は300坪を10万倍するのであるから、3000万円の金額になるのでなく、3000万坪になる計算式である。

 3000万円と3000万坪が同じであるとは、まさか言わないであろう。

 現実の不動産鑑定書で、こうしたB式の計算式で求めた鑑定評価額を時々目にする。そういう私も、うっかりして時々行ってしまうことがあるが。

 算式の意味することは何かを、しっかりと身につけて対処しておかないと、その知識を持つている人が不動産鑑定書を見たら、
 「何だ、この不動産鑑定書は・・・・。
 算数の基本も知らないのか。
 間違った計算式の不動産鑑定書を受け取る訳には行かない。
 訂正して貰わないと、鑑定報酬料を支払うことは出来ない。」

と言って、鑑定書を突っ返される羽目に陥るかもしれない。

 そうした状況になった場合、当の不動産鑑定士はせせら笑っていることが出来るであろうか。

 「たかが小学生の算数」と、小馬鹿に考えていた自らの傲慢な姿勢を恥じることになろう。
     (桐蔭横浜大学での不動産鑑定の講義の講義録から一部加筆して)


  鑑定コラム1460)「銀座の土地が坪2億円で取引された」

  鑑定コラム1680)「2017年夏熊谷にて」

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