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公益社団法人日本不動産鑑定士協会連合会が発行している最新の第19回実務修習指導要領テキストの「地代の鑑定評価(評価書編)」(2024年11月1日発行 以下「地代指導テキスト」と呼ぶ)の基礎価格を、底地価格にしており、それについては間違っているということを、鑑定コラム2868)に記した。
そして、期待利回り3.5%について、どの様に3.5%を求めたかの具体的説明が全く無く、3.5%の信頼性は無いと鑑定コラム2869)で記した。
次いで、鑑定コラム2870)では、対象借地は、権利金が更地価格の85%を投じて売買取得された借地権というが、その様な高い権利金を支払って地代が公租公課の3倍であることの疑問について論じた。
今回は、継続賃料の賃貸事例比較法の地代事例は、権利金が更地価格の85%を投じて取得された借地権の地代事例であるかどうかについて論じる。
1.地代指導テキストの賃貸事例比較法の記述
地代指導テキストのP334で、継続地代の賃貸事例比較法の概要が以下のごとく述べられている。
「同一需給圏内の類似地域等における対象不動産と類似性を有する継続賃貸事例に係わる実際実質賃料について、必要に応じて事情補正及び時点修正を行い、かつ、地域要因・個別的要因の比較を行って求めた賃料は、別表○のとおりの、7,000円/u〜8,700円/uとなった。
これらを相互に比較検討して、1uあたりの単価を7,800円/uと査定し、以下のとおり賃貸事例比較法による月額実質賃料(比準賃料)を試算した。
単価 面積 試算月額実質賃料
7,800円 × 280.00u ≒ 2,180,000円
別表5D 賃貸事例比較法による賃料 −省略−」
2.地代の賃貸事例は、権利金として借地権割合85%を支払った事例なのか
地代指導テキストの評価対象地の借地権は、信じがたいことであるが、更地価格の85%の権利金を支払って取得した借地権(前掲同書P328)であるようである。
継続賃料の賃貸事例比較法は、近隣地域或いは類似地域に所在し、契約内容が類似する継続賃料と比較する手法である。
その求められた賃料を比準賃料(比準地代)という。
対象地の地代が妥当かどうか、地代の賃貸事例と比較して求めるには、近隣地域もしくは類似地域にある地代事例が、更地価格の85%の権利金を支払った借地権の事例で無ければならない。いわゆる契約内容の類似性である。
85%の権利金の授受の地代例は難しくとも、80%程度の権利金を支払った借地権の地代事例で無ければ、賃貸事例としての類似性は無い。
この権利金80%〜85%を授受した借地権の地代事例と言うことは、本件賃貸事例比較法で最も重要な内容の類似性である事から、それについて言及しなければいけないにも係わらず、地代指導テキストは一言も触れず、素っ飛ばしている。
比準地代を7,000円/u〜8,700円/uと記している事から、少なくとも2つの地代事例と比較していることになる。
この採用事例は、権利金80%〜85%の権利金を支払った借地権の地代事例なのであろうか。
繰り返すが、本評価の地代の賃貸事例として採用出来る事例は、権利金80%〜85%の権利金を支払った借地権の地代事例で無ければならない。
不動産鑑定士会連合会は、実務修習受講者から対象地の権利金の金額の授受について質問があった場合は、講師は説明する義務が生じることは当然であるが、賃貸事例の採用事例にも対象地と同じく権利金85%の権利金が支払われている事例であるかの質問があった場合は、講師は説明する義務が生じるのは、対象地の場合と同じである。
採用地代事例は、権利金80%〜85%の権利金を支払った借地権の地代事例であるのか。
権利金が支払われていない借地権の地代の事例とか、権利金が20%程度しか支払われていない地代の事例であったとしたら、比準地代の正当性は全く無い。
地代減額請求訴訟であったならば、代理人弁護士は、不動産鑑定書を書いた不動産鑑定士を法廷に証人喚問して、猛烈にこの点を証人尋問される事になるであろう。
法廷で証人尋問された不動産鑑定士が、「権利金の授受の額は知りません」と答弁すれば、この鑑定書の信用は吹っ飛び敗訴となろう。
もし偽証したならば、偽証罪に問われる。
鑑定コラム2868)「不動産鑑定士協会連合会の2025年実務修習テキストの地代評価の求め方は間違っている」
鑑定コラム2869)「2025年不動産鑑定士実務修習テキストの地代評価の期待利回りの求め方について」
鑑定コラム2870)「借地権割合85%で取得した借地の地代評価なのか 2025年実務修習地代鑑定評価例」
鑑定コラム2872)「相当地代と6%について」
鑑定コラム2873)「地代の基礎価格は更地価格か底地価格か AIの回答」
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