過日、東京地裁の鑑定委員会の研修会が開かれた。
弁護士、不動産鑑定士、学識経験者の鑑定委員の多くが出席した。
研修会は課題が前もって出されており、それについて討論して行く。
部統括判事が議長兼司会を行い、歯切れのいいコメントと意見の要約を行って議論を進めてゆく。
法廷の優れた訴訟指揮のごとくである。
立て板に水のごとくの弁護士の意見に対しては、
「法律家の法律家らしい模範的な見事な理論展開です」
と軽妙に発言者を持ち上げながら、模範的でない違った意見の出現を促そうとする。
最後に裁判所の考え方が示される。
裁判所も判断に迷っているケースもある。
裁判所から一つの課題が出された。
不良債権処理の競売に伴う借地権譲渡承諾料の問題で、最近特に多いケースである。
課題は以下の通りである。
「競売手続で借地権付建物を買い受けた者が、譲受事件を申し立て、賃借権譲渡許可の裁判を得て裁判が確定し、承諾料も払った後、再譲渡先が決まったため、改めて譲渡事件を申し立てた。この場合の譲渡承諾料はどの様に考えるべきか。」
この課題については、討議の時間がなく、討議されることなく研修会は終わってしまった。
どの様に譲渡承諾料を考えるべきか。私は正解を知らないが、一考に値する問題である。
借地権の譲渡承諾料は、借地権価格の10%という記事が、下記の鑑定コラムに有ります。
鑑定コラム54)「田原ホームページ検索語句」
鑑定コラム233)「名儀書換料」
鑑定コラム966)「名儀書替料を地主が借地人に支払うというおかしな鑑定」
鑑定コラム1260)「寺の貸地の地代は公租公課の3倍以下」
鑑定コラム1321)「借地非訟の決定例に見る収益地代」
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