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510)不動産会社の倒産が続く・日本綜合地所倒産

 今年2009年(平成21年)に入って負債額最大の倒産が生じた。
 東証一部上場の不動産会社である日本綜合地所が経営に行き詰まり、負債額2142億円を抱えて2月5日会社更生法の適用申請を東京地裁に行った。

 2008年3月期の売上高は1189.33億円で、営業利益137.99億円稼いでいた好決算の会社が10ヶ月後には倒産してしまった。

 日本綜合地所のホームページのプレスリリースによれば、会社更生法の申立理由の大意は次のごとくである。

 1.平成20年3月期には過去最高益を計上した。
 2.業容拡大のため、マンション用地を銀行からの借り入れ金によって積極的に購入した。
 3.平成20年9月末には1465億円の棚卸資産を持つようになった。
 4.予想に反して平成20年10月ころから資金繰りが逼迫してきた。

 5.平成20年11月11日の社債返済額に困り、銀行への追加担保提供で何とか返済したが、その後の銀行からの新規融資が絶望的な状態になってしまった。
 6.平成21年2月上旬に期限の来る建築代金の返済目途が立たなくなり、会社更生法の申請となった。

 平成20年8月までは、ウハウハの会社経営であった様だ。
 9月から一転奈落の底に落ち込むことになった。

 これから建設会社の建設代金の未収金、銀行の貸し金の焦げ付きが心配される。

 日本綜合地所は、「ヴェレーナ」のマンション名で数多くのマンションを分譲中であった。
 会社更生法の適用申請と同時に裁判所から財産保全命令が出されて、それらマンションの売却等は一時中止となった。
 これからは更生管財人の許可が無ければ財産の処分は一切出来なくなってしまった。

 マンション分譲会社はマンションを売らなければ、金は入ってこない。
 いずれ売却の動きが出てくるであろうが、相当安い価格になるのでは無かろうか。それも一棟処分が前提である。

 現在のマンション状況で、購入すると手を挙げることの出来る業者が居るであろうか。どの会社が手を挙げてスポンサーになるであろうか。

 今年平成21年に入ってから倒産した不動産会社を、帝国データバンクの調査発表データから抜き出してみると、下記のごとくである。負債30億円以上である。

 1月5日 中央興産(大阪市北区)         60億円
 1月7日 日本クリエイト(大阪市北区)   30億円
 1月9日 クリード(東京都千代田区)    650億円
 1月21日 章栄不動産(広島市中区)     292億円

 1月28日 エス・シージャパン(東京都港区) 43億円  1月29日 ミヤビエステックス(東京都千代田区) 205億円  1月29日 栄泉不動産(大阪市中央区) 508億円  2月5日 日本綜合地所(東京都港区) 2142億円

 1ヶ月と少しで8件の不動産会社の倒産である。

 私は平成21年は不動産会社の倒産が増加すると、昨年末に推測していたが、まさか正月明けてこの様に多くの不動産会社の倒産が続くとは思ってもいなかった。
 ありすぎる。

 過日の吉田修平弁護士の講演で、講師の吉田修平氏が不動産会社の全国組織である業者協会からの講演の依頼申し込みが最近多く、それも全て倒産法に付いての講演であると述べておられた。
 上記の不動産会社の倒産の増加を知れば、それも頷ける。

 去年、平成20年に倒産した私の記憶にある不動産会社は、スルガコーポレーション、ゼファー、モリモト、アーバンコーポレーション、ディクスクロキである。

 良いことではないが、今年の平成21年も名のある不動産会社の倒産が生じるであろうか。


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