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1732)不動産業の倒産 前年比10件増

 焼酎のお湯割りを飲み過ぎて、体が暑いと云って布団を蹴っ飛ばして寐ていたようである。体温調節が上手く行かず、ついに風邪を引いてしまい、ここ数日床に臥していた。何とか体のだるさも取れ、動けるようになった。

 帝国データバンクが、2017年『全国企業倒産統計』を2018年1月16日に発表した。負債額1000万円以上の企業の倒産件数である。

 倒産件数は、8,376件で、負債総額は1兆5551億円である。

 2017年の負債トップの倒産企業は、タカタ株式会社で、1826億円である。

 過去の倒産件数を記せば、
 

            2008年   12,681件
            2009年   13,306件
            2010年   11,658件
            2011年   11,369件
            2012年   11,129件
            2013年   10,332件
            2014年       9,180件
            2015年    8,517件
            2016年    8,164件
            2017年    8,376件

である。

 上記倒産件数を見ていると、2009年が近年の倒産のピークで、それ以後倒産件数は減ってきた。

 2016年までピークより36%減となった。

 2017年は、2016年より件数で212件増え、倒産件数が増加し始めた。

 大幅な金融緩和で有りながら、倒産件数が増え出した。

 不動産鑑定と密接な関係のある不動産業の倒産を見ると、不動産業は、金融の超緩和資金が流れ込み、我が世の春を謳歌しているが、その不動産業にも倒産の増加の気配が出て来つつある。

                年              件数  (月間)

     2006年(平成18年)   368  (31)        2007年(平成19年)   375  (31)        2008年(平成20年)   429  (36)        2009年(平成21年)   488  (41)        2010年(平成22年)   353  (29)        2011年(平成23年)   336  (28)        2012年(平成24年)   348  (29)        2013年(平成25年)   300  (25)   2014年(平成26年)   319 (27) 2015年(平成27年)   270 (23) 2016年(平成28年) 261 (22)  2017年(平成29年) 271 (23)

 不動産業の倒産も2009年(平成21年)をピークにして、その後減少に転じた。

 2016年は、ピークよりも46%減の216件と倒産件数は減じたが、2017年は僅か年間10件であるが、前年より増加した。

 倒産ピークの2009年(平成21年)の正月明けの激しい不動産業者の倒産を想い出してみよ。

 その状況は、鑑定コラム510)「不動産会社の倒産が続く・日本綜合地所倒産」で記してある。転載すると、下記である。

 「今年平成21年に入ってから倒産した不動産会社を、帝国データバンクの調査発表データから抜き出してみると、下記のごとくである。負債30億円以上である。

 1月5日 中央興産(大阪市北区)         60億円
 1月7日 日本クリエイト(大阪市北区)   30億円
 1月9日 クリード(東京都千代田区)    650億円
 1月21日 章栄不動産(広島市中区)     292億円

 1月28日 エス・シージャパン(東京都港区) 43億円  1月29日 ミヤビエステックス(東京都千代田区) 205億円  1月29日 栄泉不動産(大阪市中央区) 508億円  2月5日 日本綜合地所(東京都港区) 2142億円 」

 平成20年3月期の売上高は、1189.33億円で、営業利益137.99億円稼いでいた好決算のマンション業者の日本総合地所が、平成21年2月に、2142億円の負債を抱えて倒産してしまった。

 この日本総合地所の倒産までの経過が、上記鑑定コラム510)に記されている。転記すると下記である。

 「1.平成20年3月期には過去最高益を計上した。
  2.業容拡大のため、マンション用地を銀行からの借り入れ金によって積極的に購入した。
  3.平成20年9月末には1465億円の棚卸資産を持つようになった。
  4.予想に反して平成20年10月ころから資金繰りが逼迫してきた。

 5.平成20年11月11日の社債返済額に困り、銀行への追加担保提供で何とか返済したが、その後の銀行からの新規融資が絶望的な状態になってしまった。  6.平成21年2月上旬に期限の来る建築代金の返済目途が立たなくなり、会社更生法の申請となった。
 平成20年8月までは、ウハウハの会社経営であった様だ。  9月から一転奈落の底に落ち込むことになった。」

 近い将来にも、上と同じ光景が出現することになるか。

 先のことは分からないが、いつまでも「我が世の春」は続かないであろう。

 2017年12月7日に、北海道小樽の株式会社小樽ベイシティ開発が倒産したと、帝国データバンクは報じる。負債総額は280億円という。

 株式会社小樽ベイシティ開発は、かって国内最大級の大型複合商業施設としてオープンした「マイカル小樽」である。

 2001年株式会社マイカルが倒産し、それに伴いマイカル小樽も倒産し、民事再生の手続をとり、「ウイングベイ小樽」として企業再生していたが、今回ついに息切れして倒産した。

 倒産マイカルの店舗は、イオンが引き継いたと認識していたが、小樽の店舗は、イオンが引き継いでいなかったようである。


  鑑定コラム510)
「不動産会社の倒産が続く・日本綜合地所倒産」

  鑑定コラム1206)「バブル崩壊2年後に不動産業倒産の最高が来る」

  鑑定コラム1743)「平成29年の不動産業年間貸出額は11.7兆円」

  鑑定コラム1782)「不動産業への貸出減は続く」

  鑑定コラム1812)「不動産業への貸出減は続く(2018年6月)」

  鑑定コラム2011)「2019年の不動産業の倒産は2018年を上回るのでは無かろうか」


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