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518)『おくりびと』フィーバー・アカデミー賞受賞

 映画『おくりびと』が日本全国でフィーバーしている。

 テレビは連日『おくりびと』関係の映像を流す。
 劇場は急遽上映館を増やしている。観客は3倍増という。

 ロケ地は人気沸騰である。
 銭湯シーンのロケされた銭湯は、閉鎖しようかどうしようかと思っていた経営状態であったのが、映画のロケに使われた銭湯と言うことで県外の入浴客が押しかけて来て大賑わい。
 番台のおかみさんはニコニコ顔でテレビのインタビューに応じる。

 納棺師の仕事に就きたいと就職希望の若い人が押しかけて来るという葬儀会社は嬉しい悲鳴を上げている。

 滝田洋二郎監督、本木雅弘主演の映画『おくりびと』が、2009年2月22日アメリカ映画界の賞の最高である第81回アカデミー賞を獲得した。外国語映画部門のアカデミー賞である。
 日本映画始まって以来の出来事である。

 外国語映画部門であると言って軽んずるべからず。

 日本映画の候補作品およそ30本の中より一本が選ばれ、それが『おくりびと』であるが、世界60数ヶ国から同じように選出された各国一本の外国語映画がハリウッドに集められる。

 各国から代表映画として送られてきた60数本(今年は67本)の中から5本の作品に絞り込まれ、この絞り込まれた5本の作品が外国語部門のアカデミー受賞候補作品としてノミネートされる。

 ノミネートされるだけでも、その映画が優秀な立派な作品であると言うことが出来よう。

 ノミネートされた映画は甲乙付けがたい映画である。
 そのノミネートされた作品の中より、最高の作品と判断された一本に外国語映画部門のアカデミー賞が授与される。
 『おくりびと』が、その最高の栄誉に浴したのである。

 良くやった。
 素晴らしいことだ。

 米映画界のアカデミー賞発表の数日前に、日本の映画界が与える日本アカデミー賞の発表があった。
 『おくりびと』は日本アカデミー賞を総なめにした。10部門の最優秀賞を獲得した。

 作品賞、監督賞、脚本賞、撮影賞、主演男優賞、助演男優賞・・・・・等。
 本木雅弘は最優秀主演男優賞を得た。
 山崎努は最優秀助演男優賞を得た。

 私が『おくりびと』を観て、勝手に本木雅弘を最優秀主演男優賞に選出したが、それが現実のものとなった。

 『山桜』の田中麗奈の最優秀主演女優賞の予想は外れてしまった。
 甚だ残念である。

 未だ『おくりびと』を見ていない人は、見る事を勧める。
 これが今迄日本映画界が切望し、実現出来なかったアカデミー賞受賞を果たした映画であるのかと見て知ることも、人生においてマイナスでは無い。

 50数年前、黒沢明の『七人の侍』が封切り上映された時、のちにこの映画が日本を代表する世界的に有名な映画となることを全く知らずに『七人の侍』を劇場で見る事が出来た幸せな気持ちを、『おくりびと』で味わうことが出来よう。

 『おくりびと』のどこが良いのか。
 それは見る人がそれぞれ判断すべきことであるが、私には本木雅弘の納棺師の演技に「美しさ」が感じられる。
 その演技には、能、茶道の様式しぐさに見られるごとくの「様式の美」が感じられる。

 ではその『おくりびと』はどこの映画館で上映されて居るのか。
 それは情報誌で捜されたい。
 くれぐれもハンカチの用意を。


  鑑定コラム481)「映画『おくりびと』」

  鑑定コラム505)「『おくりびと』がアカデミー賞にノミネートされた」

  鑑定コラム1382)「住宅の平均耐用年数は36.2年(2014年)」
 

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