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481)映画『おくりびと』

 暇ではない。
 時間にゆとりが無く、不動産鑑定評価の仕事に追いまくられている。
 但し、それは仕事が多くあるのでなく、仕事のスピードが甚だ遅くなったために、仕事に追いまくられているだけである。

 こうした状態を「忙中」と言って良いか分からないが、「忙中閑あり」と、勝手に「閑」と付けて、映画を見に行ってきた。

 勧める人がいて見に行ってきたと言った方が良いかもしれない。

 『おくりびと』という映画である。

 納棺師という職業があるとは知らなかったが、あの世に旅立つ人への最後の化粧を行う人を描いた映画である。

 それぞれの人生を歩んで来た人が、美しく化粧されて、この世の人と涙の別れをする。

 映画の中にはチェロの奏でるクラッシック音楽が生演奏され、第九の合唱も登場する。

 主人公を演じる本木雅弘の演技が甚だ良い。
 笑いあり、失敗あり、涙あり、別れあり。

 納棺師として人生を生きて行く姿を、悩みながらも、立派な職業であるという自覚に目覚めて見事に演じて居る。

 『シコふんじゃつた』以来の本木雅弘の好演技である。
 今年2008年の日本映画での最優秀主演男優賞と私は推す。

 『おくりびと』の本木雅弘が、今年2008年の日本映画での最優秀主演男優賞とすれば、最優秀主演女優賞は『山桜』の田中麗奈である。

 私の今年見た映画ばかりによる勝手な選出であるが。

 山崎努の演技も良かった。
 山崎努が映画デビューした黒沢明監督の『天国と地獄』の若い誘拐犯の演技は素晴らしかった。みずみずしい強烈な鮮烈さを受けた。黒沢明は、物語の重要な存在の役に新人の山崎努を抜擢した訳であるから、若い天性の演技力を見抜く人かなと思った。

 その後、数10年を経て、役者としての演技に磨きが益々かかり、「山崎努の世界」を造りあげている。

 見る前はさほど期待していなかったが、見終わって、『おくりびと』という映画は良い映画と思った。映画評論家的に言えば、五つ星☆☆☆☆☆の映画といえる。

 観に行く時には、ハンカチの用意をして行かれたい。

 
 プロデューサー   間瀬泰宏・中澤敏明
 監督        滝田洋二郎
 脚本        小山菫堂
 音楽        久石 譲

    『おくりびと』の公式ウエブサイトは、下記のアドレスです。

      http://www.okuribito.jp/statics/
   
  鑑定コラム434)「山桜は美しかった」
  鑑定コラム505)「『おくりびと』がアカデミー賞にノミネートされた」
  鑑定コラム518)「『おくりびと』フィーバー・アカデミー賞受賞」

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