札幌の不動産鑑定の仕事を終えた。
東京へ帰るために千歳空港に向かい、帰りの便を待つ。
帰りの便を待つ間のひととき、空港ビルのレストランの窓際に座り、ご当地のサッポロビールを飲む時が、最も心安まる時である。
ボケッと広い飛行場と離着陸する飛行機を見ながら飲む、ジョッキーの冷えた生ビールの喉越しを通る苦い味わいは、疲れを癒してくれる。
チーズとクラッカーのビールのつまみが、またひときわビールのおいしさを引き立ててくれる。
不動産鑑定で札幌を訪れたのは2009年11月であったため、下記の写真もその頃の写真である。今(2010年3月)は空港には白い雪が見えると思う。
座ったレストランからは、駐機しているJALの機体がすぐ近くに見えた。(写真1)
この頃はJALの再建が騒がれていた頃である。会社更生法の適用が噂されていた時である。
11月の千歳空港のロビーは空いていた。
以前来た時は、土産物店は観光客でごった返していた。
花畑牧場の生キャラメルを購入するために、長い行列が出来ていた。
今は、その様な行列などどの店にも無い。
土産物店内には観光客は少なく、店員が店の前に出て来て、客の呼び込みをしている状態である。
ロビー中央の待合広場には、いつもは団体客やビジネスマン、家族連れの観光客があふれているのが多いが、広場には人は少ない。(写真2)
(写真の人はぼやかしてあります)
観光シーズンの端境期であるのか。
それとも航空利用者そのものが少なくなっているのか。
羽田空港に着いたのは夜であった。
空港より自宅に帰るのは、以前はモノレールと電車を利用していたが、モノレール・電車を3つも乗り換えなくてはならず、乗り換え毎の手荷物運び、階段の上がり降りそして乗り換え電車を待つ時間のロスを考えると、労力が大幅に減り、座って帰れることより、リムジンバスの方が良いと考える様になった。そうしたことから7,8年前頃より行きも帰りもリムジンバスを利用することにしている。(写真3)
(写真の人はぼやかしてあります)
空港から座って帰れるし、荷物の持ち運びの苦労が無い、つまり便利であるからである。
料金は少し高いが便利で楽であることの方を選ぶ。
夜の羽田空港の午後7時から9時半ころは、羽田空港に到着する飛行機も多く、それに伴いリムジンバスも多く出ている。
羽田空港より65方面に向かってリムジンバスの路線がでている。
リムジンバスの乗り場には、次々とリムジンが到着し、待っている客を乗せてすぐ出発する。停車している時間は2〜3分である。
都内への路線は勿論のこと、静岡は富士宮、栃木は黒磯、群馬は渋川、伊香保温泉、桐生、山梨は竜王・甲府、茨城は日立、筑波、鹿島神宮、千葉は館山、大網、神奈川は箱根仙石原まで行く路線がある。
これだけの多方面に行くバスが、多くない乗り場に次々と到着し発車するのであるから、その混雑は激しい。
私がいつも利用する乗り場は5番乗り場で、調布・府中・国分寺方面行きのリムジンバスである。
同じ5番乗り場からは、新宿駅ヒルトンホテル行きと大泉・和光行きのリムジンバスが発車している。
座って行けることと高速道路を利用する為に、意外に早く帰れるという利便性があるためか利用者も多く、この利用客増を見込んで羽田空港への路線を持とうとする地方のバス会社も多い。それは良いことである。伸び悩みの地方のバス会社にとって、新しい事業展開が出来ることになるのであるから。
羽田空港のリムジンバス利用者の増加現象を、国土交通省は直視して、対策を講じる必要があると思う。
一度、夜の羽田空港のリムジンバスの混雑と利用の状況を現地に立って見てみることだ。
しかし、羽田空港から調布・府中・国分寺方面に行くのに、何故都心の霞ヶ関まで行かねばならないのか。
細長い2等辺三角形の2等辺を走るごとくである。底辺の一辺を走ればより近いのに。
底辺を走る高速道路が無い。
東京駅を中心にした鉄道、日本橋を中心にした道路の体系はそれはそれで良い。
しかし何時までもその考えで、交通体系を考えて行くべきでは無かろう。
羽田空港を中心にした交通網、高速道路網をこれからは考える必要があるのでは無かろうか。
羽田空港から、環状8号線上、或いは多摩川沿いに、世田谷、調布、国分寺、所沢方面への高速道路は必要では無かろうか。
ついでに言えば、JR東海が考えている東京・名古屋間のリニア中央新幹線は、JR東日本が東京〜成田空港への延伸工事を引き受けて成田空港までのばすことを進言する。東京・成田空港間が15分程度で結ばれることになる。
鑑定コラム553)「鳥羽の相差の宿は遠かった」
鑑定コラム534)「羽田空港から」
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