一つの企業が経営に行き詰まり、民事再生法適用会社になると、当該企業が所有している不動産が、企業再生計画において大きな要因になることがある。
そして、所有不動産の適正な価格の把握が、再建計画に必要になってくる。
所有不動産が全くゼロという民事再生法適用企業はまずない。
小さい規模の会社であっても所有不動産はある。
本社事務所ビル、支店土地建物、工場、倉庫、社員寮、駐車場等が一般的な製造会社の所有地であるが、この他に工場予定地、マンション、山林、別荘地、会員制リゾートホテル等がある。
なんでこんなに当該企業が不動産を所有する必要があるのかと思う時もある。
不動産価格評価の依頼者は、同一人によって全財産を見て、評価してもらう事をどちらかと言えば好む。それは同じ考え、見方という同一尺度を以て評価することによって、価格のブレを防ぎたいためではなかろうかと思う。
そうした要因もあってか、一つの企業の民事再生法適用の場合、10数件の不動産の不動産鑑定を一人で行うことになる。 企業再生は、ある面では時間との戦いという面を持つため、不動産鑑定評価に対してあまり時間を与えられない。
東京都内若しくは東京周辺の物件のみということはまれで、地方の案件も必ず入っている。
不動産鑑定書提出までの時間の節約ということもあって、飛行機を利用して、地方の案件の調査に行かざるを得ない。
早朝、羽田空港にリムジンバスで駆けつける。
羽田に向かうリムジンバスで、レインボーブリッジから見る東京のウオーターフロントに建ち並ぶ高層建物群を見る事が、羽田空港に向かう一つの楽しみになっている。
人工構造の美と云って良いかもしれないが、レインボーブリッジから北方向を見た東京湾に面する朝日に映える高層建物群の景色が、私が最も美しいと思う東京の景色の一つである。(写真は左クリックすれば大きくなります)
ANAを利用する時は、羽田空港第2ターミナルビルで、千住博の2つの作品を見て調査の旅に発つ。
一つは、羽田空港第2ターミナルビルの天井を飾る「空」であるが、私には「銀河」の絵に見える。
もう一つは、天井から吊り下げられている千住博を有名にしたモチーフの「ウォーターフォール」であるが、私にはそれは「オーロラ」に見える。
今回のフライトは西に向かった。
飛行機の窓から、頂上の残雪が朝日に照らされる富士山を右下に見る。
愛知の知多半島が遠くに見えた。中部国際空港が沖合に小さく見える。
三重の鈴鹿、亀山の上空であろうか。眼下にゴルフ場が見える。ゴルフ銀座と呼ばれる地域である。
そのうちの2つを評価したことがあるが、それがどれかは飛行機の窓からは認識出来ない。評価した2つのゴルフ場は、眼下に見えるゴルフ場の中のいずれかであろう。
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