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695) ツイッターの仰天なつぶやき

 2010年5月25日に発行されたある雑誌の「編集後記」に、下記の様な記事が載せられていた。

 「ツイッターが面白い。特にフリージャーナリストのものが。今何を追っかけているのかが、つぶやきでわかる。そしてそれをまとめたブログが現れる。次に週刊紙はその事件の特集記事を組む。「さて、ぼちぼち検察のもう一つの悪質な冤罪事件、村木厚子元局長の冤罪事件について、レポートしていくことにしましょう・・・」で始まったツイッターのつぶやきには驚いた。大新聞、テレビは、真実を伝えていないとツイッターの情報に負けて沈み行く産業になろう。」

 上記雑誌の編集後記氏と同じく、私もツイッターのつぶやきを目にしたのは、2010年2月26日午前11時29分発であった。

 そのツイッターは、下記のごとくのつぶやきから始まった。

 「さて、ぼちぼち検察のもう一つの悪質な冤罪事件、村木厚子元局長の冤罪事件(世間では第三者郵便不正事件)について、レポートしていくことにしましょう。すでに、裁判では、検察側証人が、検察尋問に対して供述調書の内容をことごとく否定し、公判維持すら不可能になりつつあるのは周知の事実。」
 そして次のごとく続く。

 「検察側証人として法廷に立ったS氏は、自分の犯行がすでに時効になったことを前提に、公判では証言をひるがえして「村木さんは無実」と供述を完全に翻しました。これだけなら、おバカの大阪地検が犯人に騙された冤罪事件ですが、実はこの事件にはもう一人の「重要な共犯者」がいます。」

 ツイッターは自分を「どらえもん」と呼び、「あの男」が仕組んだデッチあげの事件であると、そのやり方を述べてゆく。

 そして大阪地検の特捜部については、次のごとく云う。

 「大阪地検特捜部は、どらえもんが昔所属した大阪司法クラブの記者の間では「トイチ」と呼ばれていました。10年に1度しかまともな大事件をあげられないということで、検事も東京では使えないレベルだと。タイガースの優勝と特捜部の活躍は、どちらが次に来るかと話題になるのが大阪。」

 ツイッターでつぶやく「どらえもん」とはどういう経歴を持つ人であるのかが、上のつぶやきから分かる。

 そして、つぶやきは続く。サスペンス小説よりも面白い内容である。

 つぶやきを全部載せることは、著作権のこともあり、書くことは出来なく、差し控える。
 興味のある人或いは知りたい人は、ネットでどらえもんのつぶやき2010年2月26日のツイッターの記事を捜して下さい。読んでいて怖くなります。

 2月26日午後11時35分に次のつぶやきをしたのち、ツイッターのつぶやきはぷつりと切れてしまった。

 「あの男の先兵として、郵政利権の引きはがしに動いたのは、TとSだった。Aは、あまり利権あさりに興味がなく役に立たないという評価だったので、本人の言うとおり郵政民営化のメインストリームから外されていた」。

 つぶやきの内容は、甚だ危険な内容のものである。
 つぶやきが突然切れた後、次の日も次の日も無い。

 私は、
 「何かあったに違いない。まさか・・・・・」
と危惧していた。

 ツイッターが途絶えて9日目の2010年3月7日午後5時28分に、どらえもんのツイッターに文字が出た。

 「生きてます。つぶやき続けます。」

の文言だった。

 それを見た時、私はホッとした。

   「よかった。生きていたのだ。」

 どらえもんのツイッターのつぶやきは、3月7日には、次のごとく云う。

 「真犯人のあの男が指差した方向を捜査して、無理やりでっちあげた供述で、村木さんを「犯人」に仕立て上げようとした大阪地検特捜部は、公判が進んで裁判が維持できなくなるまで、自分たちが騙されたことに気付かなかったのかもしれません。事実は、小説よりもサスペンスドラマよりも奇なりです。」

 大阪地裁(横田信之裁判長)は、2010年9月10日検事調書をことごとく否認し、村木厚労省局長は無罪という判決を下した。

 2010年9月21日深夜、村木厚労省局長事件を捜査した大阪地検特捜部主任検事を証拠偽装で、最高検は逮捕した。
 そして、村木厚労省局長の控訴断念を発表し、村木局長の無罪が確定した。

 どらえもんのツイッターのつぶやきは、間違いでなかった。

 2010年9月21日、私は東京地裁に借地非訟の東京地裁の鑑定委員としての用事があり、地下鉄丸の内線の霞ヶ関駅地裁口より地上に出た。

 出口の道路に、朝日のテレビ用の大型中継車輌と、アンテナ車が止まっていた。
 私は報道車が止まってアンテナ車までいることを見ると、今日東京地裁で著名な判決の裁判があるのかなと思った。
 地裁のホールの掲示板には、本日の主要事件の公判が書いてあるが、特別気にするような事件は無かった。

 霞ヶ関の東京地裁から家に帰り、ネットを見て驚いた。
 東京地裁前の道路上で、朝日のテレビ中継車、アンテナ車が駐車していた理由が分かった。

 朝日新聞asahi.comの特ダネなのか、「村木厚労省局長事件で大阪地検特捜部主任検事が証拠偽装か」というニュースを伝えていた。

 ネットで、朝日のニュースを追っかけてみた。下記の通りである。

   2010年9月21日3時31分 「検事、押収資料改ざんか 捜査見立て通りに郵便不正 」
 
と第一報がある。朝の3時の発信である。そのニュースも記者の署名記事のものである。記者独自の調査によるものであるというコメントがついている。記者の名前は、板橋洋佳、野上英文氏である。

 朝日が検察の悪事を暴くとは、「なんだこれは?」と私は思った。
 それまでさんざん検察からの情報リークによって、小沢一郎を「政治と金」で、極悪人のごとく扱い非難し、政治家の政治生命を失う様な記事を書いていて、一転今度は検察攻撃とは? 検察と何かあったのかと半信半疑であった。
 記者クラブ出入り禁止覚悟の記事発信かと思った。

 ニュースは次々と続く。

 2010年9月21日12時44分  最高検伊藤鉄男次席検事記者会見
        〃     15時00分  最高検関係検事から事情聴取始める
        〃   21時51分  最高検M検事逮捕
        〃   23時24分  最高検・大阪地検は上訴権放棄の手続をとり、村木氏の
              無罪判決の確定を発表  
        〃               厚生労働省は、村木厚子氏は21日付けで復職したと発表

 朝日新聞の特ダネである。記者の板橋洋佳、野上英文氏の名前は覚えておいて良いと思われる。

 しかし、朝日新聞社内で何が起こっているのか。

 週刊朝日の山口一臣編集長は、「週刊朝日」に、小沢一郎は「政治と金について真っ白である」というトップ記事を載せた。

 そして朝日新聞は、2010年8月29日の記事で、反小沢の旗頭の仙谷官房長官の政治資金報告書に疑惑があるという記事を載せた。

 朝日新聞と仙谷は手を携えて、反小沢のネガキャンをしていたのでは無かったのか。それが仙谷の政治資金報告書に疑惑があると書き立てるのである。

 これで仙谷官房長官は、小沢一郎の「政治と金」について云々いうことが出来なくなってしまった。

 そして今回の検察の証拠偽装工作の特報報道である。
 検察の信頼・信用を根底からぶちこわす大スクープである。

 検察の信頼は地に落ちた。同じ様なことを検察はやっているに違いないと国民は、今後検察を見ることになる。今回は特別だと云う形で言い訳しょうが、今迄「検察一体」ということで正当性を主張していたことが、今回は特別であるということは、今迄主張していたことの論理の矛盾を自らひきおこすことになり、国民はその言い訳を100%信用しないであろう。

 特捜の捜査は、デッチあげがあり胡散くさいという疑念が国民に生じた。
 過去の捜査はどうだったかにも疑われてくる。
 こうした検察への信頼の失墜を引き起こした今回の不祥事は、検察庁史において、大汚点として記録されることになろう。

 朝日新聞社の中で何かが生じている。

 ツイッターのどらえもんのつぶやきは、今も続いている。
 村木局長無罪確定について、2010年9月23日に次のごとくつぶやく。

 「ツイッターを2月に始めて以来、ずっと村木さん事件は冤罪であり、真犯人は別にいると書いてきた。村木さんの無罪が確定し、今日復職されたことは喜ばしいが、問題は何も解決していない。真犯人は、枕を高くして眠っている。」

 そして、それに続いてかなり際どいことをつぶやいている。

 「検察の威信回復を図りたいガッツのある検事がいるなら、・・・・・・・」
 ・・・・・・どらえもんのツイッターでどうぞ。

 冤罪人を犯人にして、真犯人を見逃している特捜検事など必要無かろう。
 本事件の真犯人を見つけ、逮捕し裁判にかけるのが、検察の今回の事件の汚名挽回であろう。

 玉石混交、デマと虚実入り混じったネットの情報であるかもしれないが、ネットを侮ってはいけない。
 ネットは怖い。


(追記)2010年10月1日午後10時20分
 最高検察庁は、村木厚労省局長冤罪事件を扱った大阪地検特捜部の逮捕されたM特捜主任検事の当時の同地検の上司であったS副部長検事(現神戸地検特別刑事部長)と同じく同地検の上司であったO部長検事(現京都地検次席検事)を、2010年10月1日午後10時07分(asahi.com逮捕記事配信)に犯人隠避の罪で逮捕したと発表した。

 「検察一体」の原則からすれば、冤罪事件を引き起こしたことに対する上司の監督責任は当然発生し、2人の上司の逮捕は正当である。
 但し、関係上司の検事を逮捕すればそれでことは終わりでは無い。

 この検察の不祥事の名誉を回復するのは、検察自身が本件村木厚労省局長デッチ上げ事件の真犯人を逮捕することである。それをしなかったら検察の名誉は永久に回復しない。
 このことを検察、マスコミそして国民ははき違えないように。
 

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