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694) ショッピングセンターの年間賃料に対する必要諸経費の割合

 都内若しくは周辺の、Jリートに上場されているショッピングセンターの年間賃料に対する必要諸経費の割合を最近調査してみた。最近とは2010年6月現在である。

 必要諸経費である賃貸費用には、減価償却費が含まれている。

   分析結果は下記のごとくである。

       店 名         所 在      年間賃料円    賃貸費用円    割合
                                        a            b       b/a
  1  I杉並桃井店         杉並区   114,000,000    22,000,000   0.193
                                                              
  2  N横浜狩場インター   横浜市   102,000,000    30,988,000   0.304
      店                                                      
                                                              
  3  Mアウトレットパー   入間市   703,000,000   287,000,000   0.408
      ク入間                                                  
                                                              
  4  I東大和店          東大和市  380,000,000   122,000,000   0.321
                                                              
  5  T町田店           町田市    224,567,000    93,266,000   0.415
                                                              
  6  Iモール武蔵村山    東村山市  953,000,000   368,000,000   0.386
                                                              
  7  I横浜西が岡店       横浜市    35,173,000     8,247,000   0.234                                   
     平均                                                  0.323 

 賃料収入に占める賃貸費用(減価償却費を含む必要諸経費である)の割合は0.323である。
 1と7の必要諸経費割合は、やや低すぎることから、この2件を除いた2〜6の5件の平均は0.367である。

 37%程度が、ショッピングセンター等賃貸ビルを健全経営する場合の必要諸経費の割合である。
 この割合が50%を越えた場合には、賃貸ビルの経営は甚だ困難となる。

 必要諸経費率が0.323であることは、支払賃料の純賃料率は、

      1−0.323=0.677

ということである。

 まとめると、

             支払賃料の純賃料割合    0.677
       必要諸経費割合        0.323

が、ショピングセンターの健全な経営状態の賃料と言いえる。
 現実のショピングセンターの賃料は、そうした経営数値下で経営されている。
 あるショピングセンターの賃料鑑定書において、

             支払賃料の純賃料割合    0.45
       必要諸経費割合        0.55

の裁判所の鑑定人の鑑定書が提出された。

 支払賃料の純賃料より必要諸経費が多い金額の賃料鑑定書である。
 果たしてこれで、ショピングセンターの貸主である賃貸人は、健全なビル経営が出来るのであろうか。

 間違いだらけの賃料鑑定書を書いていて、裁判所の鑑定人は自分の出した賃料は適正であると言い張る。

 自由経済社会において自由経済行為を行う商行為者の経験によって、自然に作り上げられた不動産賃貸借経験則を、不動産経営を行ったことのない不動産鑑定士が、それらについてなんの分析もせず、勝手に経済経験則を踏みにじって、自分の評価した賃料が正しいと主張することは、自由経済下における貸ビル経営という経済行為を否定する行為に相当するのでは無いのか。

 裁判官は、自由経済行為の当事者が経済行為として自然に作り上げる経済経験則とはどういうものか、皆目分かっていないし、分かろうとしない。

 自由経済行為の当事者である建物賃貸人と建物賃借人とが経済行為として自然に作り上げる経済経験則というものがどういうものかの知識が全く無い不動産鑑定士と、それをまた知らず理解しょうとしない裁判官とで、適正賃料を決定・判決されてはたまったものでは無い。


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