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700) 銀行ょ、もっと儲けよ

 低金利政策、金融緩和政策でお金が余っている時代とはいえ、銀行の貸出金利は安すぎ無いか。

 リスクを取りたくない。安全第一主義で、確実に少しでも良いから利益を得られる得意先の選別をしすぎていないのか。

 そうした偏った得意先に甚だ安い低金利で貸しすぎではないのか。

 貸出金利が低い為に利益は薄い。利益が薄い為に銀行はやりたいことも出来ない。これでは日本経済に活力はでて来ない。

 銀行はもっと儲けて、税金を納める経営を行えといいたくなる。

 銀行の融資があれば、事業拡大出来る中小企業は多くある。
 少々高い金利でもそうした中小企業に渇望しているお金を回せ。
 そして銀行の利益を拡大せよ。

 貸出金利4〜5%でも、事業経営が出来、大きい企業に発展する中小企業は必ずある。

 Jリート上場の投資法人への銀行の貸出金利を調べてみた。
 銀行側の融資への安全性の考えが強いのか極めて低い貸出金利である。
 以下にその一部を記す。

  銀行名        貸出金額      利率          貸出日           期間
    S金庫     30億円   0.74636%   平成22年2月   3ヶ月
    J銀行     10億円   0.74636%   平成22年2月   3ヶ月
    S銀行     10億円   0.74636%   平成22年2月   3ヶ月
    N保険     20億円   1.44%      平成22年4月   5年
    G銀行     20億円   0.70300%   平成22年4月   3ヶ月
    S金庫     10億円   0.70308%   平成22年4月   3ヶ月
    K銀行     10億円   0.70308%   平成22年4月   3ヶ月
    S銀行     50億円   0.70308%   平成22年4月   6ヶ月
    Y銀行     10億円   0.81769%   平成22年4月   6ヶ月
    S金庫     30億円   0.69%      平成22年5月   3ヶ月
    J銀行     10億円   0.69%      平成22年5月   3ヶ月
    S銀行     10億円   0.69%      平成22年5月   3ヶ月
    C銀行     10億円   0.8%       平成22年6月   6ヶ月
    G銀行     20億円   0.68%      平成22年7月   3ヶ月
    S金庫     10億円   0.68%      平成22年7月   3ヶ月
    K銀行     10億円   0.68%      平成22年7月   3ヶ月
    J銀行     10億円   0.67154%   平成22年8月   3ヶ月
    S銀行     10億円   0.67154%   平成22年8月   3ヶ月

 長期も一部含めた短期の借り換えでの企業の資金繰りである。
 不動産はリスク業種である。安全性の高い業種では無い。

 いくら貸出先が一流の不動産会社であるとはいえ、0.6%とか0.7%という1%以下の貸出金利は、異常な安さといえるのではなかろうか。

 不動産鑑定評価では、還元利回りを求める一つの手法として、「積み上げ利回り方式」のやり方がある。私はこの求め方には批判的であるが。

 その「積み上げ利回り方式」では、不動産のリスクとして2%とか1.5パーセントの利率(その他にも最もらしい名称を付けたリスクを加算している)を国債利回りに加算して求めている。

 現在の国債利回りを1.1%とすると、0.7%の貸出金利であるから、不動産リスクは、

       1.1%-0.7%=0.4%

でしかない。

 還元利回りを求める一つの手法の「積み上げ利回り方式」の求め方は、実態とかけ離れた机上での空理空論の理論で信頼性が無いといえる。

 話は横道にそれた。元に戻す。

 不動産には大きなリスクが伴うものである。
 リスクの大きい不動産業者に、0.7%程度の金利でお金を融資していては、銀行はいつまで経っても利益を得られない。日本経済も良くならない。

 こんな融資をしていては、銀行経営は苦しいという言い訳は通らない。

 0.7%の金利で借りている不動産会社は、4%〜8%の賃料純収益を得ているのである。
 銀行はもっと儲けょ。


  鑑定コラム149)「積み上げ方式の割引率に実証性はあるのか」

  鑑定コラム871)「新規融資割合21.7%、銀行よ! 不動産業以外に融資先を見つけよ」

  鑑定コラム956)「直近年間不動産業への新規貸出額8兆円」


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