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956)直近年間不動産業への新規貸出額8兆円

 日本銀行の調査・発表によると、2011年(平成23年)7月〜2012年(平成24年)6月までの直近1年間の国内銀行の不動産業新規貸出額は、8.08兆円となった。

 日本銀行の発表数値は、下記の通りである。(注 数値は発表時のものであり、その後確定数値として訂正があるかもしれない。以下同じ) 単位億円。

                            全産業a      不動産業b     b/a
   2011年07月〜09月   88,041    19,925   0.226
   2011年10月〜12月   83,638    18,603   0.222
   2012年01月〜03月   112,905    25,762   0.228
   2012年04月〜06月    82,503    16,566   0.201
            計             367,087        80,856      0.220

 国内銀行の不動産業への新規貸出額が、直近1年間で8兆円となった。

 過去の不動産業への新規貸出額を見れば、

     2006年    9.1兆円
     2007年    10.0兆円
     2008年    8.4兆円
     2009年    6.9兆円
          2010年    7.7兆円
     2011年    7.6兆円

である。

 昨年1〜12月の1年間で7.6兆円である。
 半年経って年間8.0兆円である。

 今年の前半の半年(1〜6月)の不動産業新規貸出額が、甚だ大きいということである。

 各年の1〜6月の新規貸出額を見ると、

     2006年    4.66兆円
     2007年     5.19兆円
     2008年    4.84兆円
     2009年    3.71兆円
          2010年    3.99兆円
     2011年    3.82兆円
     2012年    4.23兆円

である。

 2012年1〜6月期の金額は、2011年1月〜6月期の、

        4.23兆円
             ──────= 1.107                                  
        3.82兆円

10.7%アップである。

 この猛烈な貸出額アップが、鑑定コラム944)「商業地価は底(2012年7月)」で記した商業地の地価が底を打ったという原因の一つではなかろうかと推測する。

 2007年の10.0兆円は、不動産ファンドバブルである。

 直近1年間の8.0兆円は、不動産ファンドバブルには及ばないまでも、その前兆の貸出額増加状況である。

 平成バブル、不動産ファンドバブルと2度の不動産バブルを味わい、それによる日本経済の大不況を身にしみて経験している。

 不動産価格の上昇には、その裏に巨額の融資額が存在しており、それが焦げ付いた時には、銀行は勿論企業の倒産が待ち構えていることを強く再認識するべきである。

 不動産価格は、日本経済に非常に大きな影響を及ぼすということを、もうそろそろ多くの人々は分かってくれないだろうか。

 特に日本銀行、金融庁、財務省の人々である。
 日本の行政のトップのエリート集団を自負している人々である。

 不動産業への新規貸出額を、これ以上増やす政策は止めて欲しい。

 全産業新規貸出額のうち、不動産業への貸出額が22.0%も占めることは異常である。

 他の産業への新規投資に振り替えて、日本経済の回復に向けて欲しい。

 貸出先が無いという言い訳など、銀行の怠慢以外何者でも無い。


  鑑定コラム944)
「商業地価は底(2012年7月)」

  鑑定コラム407)「2007年不動産業への国内銀行新規貸出額10兆円」

  鑑定コラム388)「日本は不動産業国家ではない」

  鑑定コラム871)「新規融資割合21.7%、銀行よ! 不動産業以外に融資先を見つけよ」

  鑑定コラム700) 「銀行ょ、もっと儲けよ」

  鑑定コラム1049)「不動産業への新規融資8.2兆円 要注意だ」


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