1年が経つのは早い。この間のごとく思っていたムッシュソーマ主催の新酒会(2010年ボージョレ・ヌーヴォー)が今年もやって来た。
2010年11月18日は、フランスワインの2010年新酒飲酒解禁の日である。
ムッシュソーマ主催のボージョレ・ヌーヴォーは、ホテルニューオータニの地階レストラン「トム・キャット」等2店舗を借り切って、昨年と同様に行われた。
ムッシュソーマは、今年も私を誘って下さった。
誘いを待っていたのであるから、勿論喜び勇んで出席した。
会場には、ドメンヌ・デュ・ペンロア農園から送られてきた1500ミリリットルの大きなボトルがずらりと並ぶ。
赤い色したワインがグラスに注がれた。
今年の新ワインはどんな味か。
今年の味は、少し苦み、酸っぱさがあった。
ムッシュソーマの挨拶があった。
22年間続けてきたボージョレ新酒会も、今年を最後にすると云うことであった。
産元のペンロア農園の葡萄の樹も年老い、植え替えの必要になった。そして土壌改良も必要になった。ついてはムッシュソーマに農園改良の少しの時間を戴きたいという要望があり、ムッシュソーマのボージョレ・ヌーヴォーは今年限りで止めることになった。
今宵はゆっくりと味わって、楽しんで下さいという挨拶であった。
来年はもう「相馬ヌーヴォー」は無くなるのかと思うと、少し寂しくなって来た。
昨今の日本の11月の一大イベントになったフランスワインの新酒飲酒の「ボージョレ・ヌーヴォー」のきっかけを作ったのは、ムッシュソーマこと「相馬計二」氏である。
もし22年前(昭和63年−1988年)、男気あるムッシュソーマという一人の男の「人徳」が無かったら、現在の日本のボージョレ・ヌーヴォーは存在していないであろう。
来賓の元最高裁判所裁判官の香川保一氏の話は、アナトール・フランスの名言「もし私が神だったら、 私は青春を人生の終わりにおいただろう」という言葉を引用して、「青春の老成」の話であった。
ムッシュソーマに感謝しながら、苦みの中にほのかな甘みのあるペンロア農園の最後のワインを味わった。
鑑定コラム248)「ボージョレ・ヌーヴォー 2005年」
鑑定コラム2503)「ボージヨレ・ヌーヴォーとムッシュ相馬」
▲