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730) 帝国ホテルは本格的回復に近づいた(平成22年4月〜12月)

 帝国ホテルが、平成23年3月期第3四半期まで(平成22年4月〜12月)の決算を、平成23年(2011年)1月28日に同ホテルのホームページにプレスリリースした。

 昨年は1月26日に発表しているが、今年は2日ほど遅れた。

 日本を代表するホテルの業績状況を知れば、現在の日本のホテル業界はどうなっているのか予測することが出来る。
 帝国ホテルの業績状況のみでなく、そうした別の意味でも帝国ホテルの決算の数値は貴重である。

 帝国ホテルの平成22年4月〜12月までの9ヶ月の売上高は、389億86百万円であった。

 昨年同期と比べると、業績の回復がはっきりと読み取れる。
 下記に比較数値を記す。

 
                           売上高百万円      営業利益百万円
  平成21年4月〜12月     37,371        665
  平成22年4月〜12月     38,986       2,157

 売上高に対する営業利益率は、

         2,157
              ─────  = 0.055                                  
                 38,986

5.5%である。

 過去の同ホテルの各決算期の営業利益率を見ると、下記の通りである。(金額の単位は百万円)

                 売上高a     営業利益b     営業利益率b/a 
 平成16年    53,400         3,231        0.061
 平成17年    53,296         2,872        0.054
 平成18年    55,395         3,877        0.070
 平成19年    57,061         4,214        0.074
 平成20年    58,080         3,539        0.061
 平成21年    55,785         3,091        0.055
 平成22年    50,117           709        0.014

 平成17年、平成21年の営業利益率は、5.4%、5.5%であったから、その水準にもどっていることを考えれば、平成23年3月期22年4月〜12月迄の営業利益率5.5%は、「良し」と見てもよいと思われる。

 帝国ホテルの業績は、本格的回復に近づいたと云ってもよいではなかろうか。

 帝国ホテルの23年3月期第3四半期の決算の経営情報として述べている中で、重要な点を記すと、次の2つである。

 @ 年度前半から中国を中心とするアジアからの訪日客が増えた。
 A 昨年秋以降地域的な緊張感の高まり等もあり鈍化し、厳しい経営環境になった。

と記す。

 「昨年秋以降地域的な緊張感の高まり」とやんわりとオブラートに包まれたごとくの口調で言っているが、このことは、2010年9月7日に生じた尖閣諸島沖の日本領海内での中国船と海上保安庁船との衝突事故そして中国船長の逮捕、それに対抗して中国政府はフジタ社員4人を、「軍事管理区域を許可なく撮影した」という理由によって報復逮捕するという事件を指す。

 この事件は、菅内閣の菅首相、仙谷官房長官、前原国土交通相(その後外相に転出)、岡田外相による、日本政府外交の不手際によって、中国からの訪日客が激減し、ホテル業界・観光業界・商品小売業界・飲食店業界に大変な経済的損失を与えた事実たる影響のことを言っている。
 
 上記事件によって、中国からの訪日客がどれ程減少したのかについては、日を改めて論じたい。


  鑑定コラム637)「帝国ホテルの営業利益は不動産賃貸に助けられている」

  鑑定コラム732)「平成22年(2010年)の訪日外客数は861万人」

  鑑定コラム936)「平成24年4〜6月の帝国ホテルの業績は著しい回復」


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