○鑑定コラム
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帝国ホテルが、平成22年3月期第3四半期の決算(平成21年4月1日〜平成21年12月31日)を発表した。
心配していたごとく、ホテルの売上高減、大幅な営業利益減である。
その発表したデータによる売上高、営業利益を対前年比で記すと、下記の通りである。
売上高百万円 営業利益百万円
平成22年3月期第3四半期 37,371 665
平成21年3月期第3四半期 42,292 2,448
平成22年3月期の予想業績は、
売上高 55,000百万円
営業利益 1,700百万円
である。
果たして550億円の売上高が実現出来るか。
平成21年後半より、東京の主要ホテルの客室稼働率はかなり回復してきている。しかし、一方、客室単価は下落してきている。
帝国ホテルの営業利益は黒字になっている。平成22年3月期の予想業績でも黒字を予想している。
しかし、セグメントで見ると、下記の通りである。単位百万円
ホテル事業 不動産賃貸業 消去又は全社 連結
売上高 32,904 4,486 37,371
営業利益 ▲549 2,919 (1,703) 665
ホテル事業は▲549百万円の赤字であり、不動産賃貸業は2,919百万円の黒字である。
連結として、665百万円の黒字であるが、この黒字は上記のごとく、不動産賃貸業によって助けられたことによるものである。
不動産賃貸業とは何かというと、ホテルの1階や地階に有名ブランド店が入居している。それらに貸している店舗の賃料収入である。
そして、帝国ホテルの場合、ホテル棟の他に事務所棟を持っており、その事務所棟の賃貸収入がある。
これらが不動産賃貸業の売上高である。
不動産賃貸業の営業利益率は、
2,919
───── = 0.651
4,486
65.1%である。信じがたいほどのものすごい高率の利益率である。
以前、と云ってもそれ程古くない以前であるが、ある不動産鑑定書を見た。
良くできた鑑定書であった。
不動産鑑定士の名前は知らない名前だった。
しかし鑑定業者の所在を見てびっくりした。仰天の境地であった。
鑑定書発行の鑑定事務所の所在は、帝国ホテルの事務所棟であったのだ。
「エッ 不動産鑑定士の中にも帝国ホテルに事務所を構える人がいるのか。
これは凄い・・・・・。
とても私など足元にも及ばない。そんな人が不動産鑑定士にもいるんだなぁ・・・・」。
と驚き、驚嘆したことを想い出す。
その不動産鑑定士が、今でも帝国ホテルに事務所を構えて居るのか知らないが。
帝国ホテルの売上高減の原因として、「外国人宿泊者の減少と法人宴会需要の低迷の影響」と第3四半期の決算報告書は述べている。
その分析は正しいであろうが、ホテル事業が赤字に落ち込んだのを助けてくれたのは、従来はあまり収益への寄与を期待していなかった不動産賃貸料収入であったと云うことである。
このことは、水商売に近いホテル事業という経営の難しさを再認識することになるのではなかろうか。
鑑定コラム564)「2009年ホテル業界に何が起こっているのか」
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