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780)イエロー・アイロン?

 イエロー・アイロン?
 イエロー・アイロンって何?

 2011年6月24日(金)、25日(土)、26日(日)の3日間、東京三鷹にある国際基督教大学(ICU)の国際会議場教室において、ASA国際資産評価士養成講座が開かれた。

 今回は4回開催の内の2回目で、メソッド202(以下「M202」とする)の段階での養成講座である。

 朝9時〜午後6時までの講義で、3人の女性の通訳がかわりばんこに通訳する日本語をイヤホンから聞き、第一回と同じリチャード・バークメイヤーASA上級鑑定士である講師の英語を片方の耳から聞く。

 リチャード・バークメイヤー氏は、数日前まで、欧州で開かれていた国際会計基準の改定検討会議に出ていて、その帰りに日本に立ち寄っての講義である。
 同氏は、国際会計基準の改定検討委員会の作業部会の一つの長をしている様である。

 参加者の職種は、前回と同じで不動産鑑定士が多く、公認会計士、銀行員、会社員、中古機械の販売会社社長等である。在日のアメリカ人も参加されていた。

 前回のM201の講義に参加出来なかった人も、アメリカのASAが、今回特別にM202の講義の前にM201の講義をすることを許可してくれたため、M201とM202と2つの講義を引き続いて受ける人もいた。

 その人達は、6月22日からの連続5日間の講義である。
 参加者は体力的にも、精神的にも大変であったろうと想像する。
 大学の集中講義並の過密スケジュールである。
 参加者は日本全国から来ており、宿泊費も考えると莫大な費用となる。

 M202の講義内容は、M201よりもかなりレベルが高くなっており、具体的なケースの演習も多くなっていた。

 価格の種類も多く、覚えるのに苦労する。またその価格がどの様に違うのか理解するのに戸惑った。講義を聞いた現在でも、未だはっきりと分からないものもある。
 価格の種類は下記のごとくである。

   ・新規再生産コスト
   ・新規再調達原価
   ・公正市場価値
   ・清算価値
   ・スクラップ価値

 そして、公正市場価値にも、次の価格がある。

   ・公正市場価値−継続使用
   ・公正市場価値−設置
   ・公正市場価値−撤去
   ・取引公正市場価値
   ・収益公正市場価値

 清算価値にも、次の3つがある。

   ・現状設置下の清算価値
   ・任意清算価値
   ・強制清算価値

 求める価格の出発点である新規再生産コストと新規再調達原価とは、不動産鑑定評価の建物の評価で使用する再調達原価のうち、直接法の価格が新規再生産コストであり、間接法の価格が新規再調達原価に相当するものか。

 その対比が果たして正しくあっているか分からないが、講義を聞いていて私は、その様に理解した。

 アメリカ文化と日本文化の違いを実感しながら、アメリカの資格取得のやり方を実体験した。

 やたらに演習問題が多い。
 そして指名されて、解答を説明しなければならない。
 それ故、一所懸命に演習問題に取り組まねばならない。

 多数のケースメソッドをこなす事によって、それらの解き方を考え間違えつつ正しい求め方を知り、理論と実務を会得し、理解させるというのか。

 ラスパイレス方式、パーシェ方式による指数を、自分が多くのデータより作り出し、その指数から変動率を求めるということを実際にやってみると、成るほどと、それら指数の性質が理解出来る。

 ケーススタディで、講師は「イエロー・アイロン」の言葉を発した。
 そしてそう呼ばれるものの価格分析をすることになった。

 130馬力のクローラー・ローダの新規再生産コスト、新規再調達原価、公正市場価値−継続使用、 取引公正市場価値、任意清算価値、強制清算価値を求めよというものであった。

 価格算出のデータは提示されていた。
 キャツト社、フィァットアリス社の製造のクローラー・ローダの価格が示されていた。

 キャット社とは、キャタビラー社の略称という。
 「イエロー・アイロン」とは、大型建設機械は黄色の塗料が塗られていることからイエロー・アイロンと呼ばれているという。

 日本製のコマツの建設機械も「イエロー・アイロン」と呼ばれていると、講師のリチャード・バークメイヤー氏は言う。

 第一日目のASA国際資産評価士養成講座の講義終了後、受講者の懇親会がICUの食堂の一部を間仕切って開かれた。

 飲み物のアルコールに、ビールの他にICUワインが出された。

 私は大学が大学名を付けてワインを販売しているのかと思い、それを味わった。
 白ワインと赤ワインがあった。
 どちらも美味しかった。

 食堂の人に聞けば、南アフリカ産で「ムサシノ・クロス」という名前という。
 
 「どうして南アフリカ産ワインが置いてあるのか。」

と聞けば、

 「南アフリカからICUに留学していた学生がおり、卒業後祖国に帰りました。
 祖国ではワイン農場を経営しており、そこで作ったワインを「ムサシノ・クロス」という名前を付けて大学に送って来ました。このワインがそれです。」

と食堂の人は言う。

 「ムサシノ」は、大学が武蔵野と呼ばれる地域にあり、その地域名を取ったものと思われる。

 「クロス」は、南アフリカの夜空に輝くサザンクロス即ち南十字星のクロスと、大学名の基督教の「十字架」を掛け合わせた意味ではなかろうかと私は推測する。

 ワインは美味しかったから、食堂関係者に購入したいと言ったところ、

 「大学の購買部は、酒類販売の免許を持っていないことから売ることが出来ない。しかし大学の近くの酒屋で売っています。
 大学を出て右に行くと人見街道と交差します。「大沢」という交差点です。
 その交差点の角に酒屋はあります。「カド」という名前です。
 そちらで買って下さい。」

と教えてくれた。

 大沢と言えば、三鷹の天文台のあるところだ。

 そこまでは行かないが、いつか人見街道の「大沢」の交差点の「カド」という酒屋に行き、買って飲んでみょうと思う。


 鑑定コラム760)
「ASA(米国鑑定士協会)機械・設備装置の国際資格研修」

 鑑定コラム727)「ASA(米国鑑定士協会)の機械・設備評価の講座の開催について 」

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