○鑑定コラム


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800)電気代は1kw当りいくらか

 すこし興味があったから調べて見た。
 日本の電力会社が販売している電気代の実際は如何ほどであろうか。

 裁判所へ提出の不動産鑑定評価を4件抱えており、提出期限も迫りつつある。
 その様な時、この様なことをやっていると、不動産鑑定の依頼者から、

 「田原さん、鑑定書はいつ出来ますか。
 期限に間に合いますか。」

という問い合わせが、いつものごとく来そうである。

 「忙中閑あり」と自分で勝手に決めて、分析してみた。

 日本の地域独占・販売独占の電力会社の平成23年3月期の決算書より数値を拾ってみた。
 平成22年4月1日〜平成23年3月31日までの1年間の事業実績による数値である。

 電気事業の売上高トップは、東京電力で5.1兆円である。
 ついで関西電力2.4兆円、中部電力2.1兆円と続く。
 1兆円台は、九州電力1.35兆円、東北電力1.32兆円である。

 販売電力はどれぐらいかと言うと、

                東京電力    2933億kwh
                関西電力    1511億kwh
                中部電力    1309億kwh

である。

    電気事業売上高÷電力販売量=1kw当り電気代

の算式より、1kw当り電気代を求めると、下記のとおりである。

           東京電力         17.54円
               関西電力         15.92円
               中部電力         16.30円
               北海道電力    16.86円 
               東北電力         16.11円

北陸電力 16.28円         中国電力  16.02円 四国電力 15.22円         九州電力 15.51円         沖縄電力  20.06円

 東京電力の電気代は、1kw当り17.54円で、関西電力、中部電力と較べて高い。

 沖縄電力の20.06円は特別として、東京電力が沖縄電力を除いた電力会社の中で、電気代が一番高いのは何故か。

 その原因・理由について、もっともらしい言い訳的な説明が縷々されるであろう。

 しかし、一企業が大量生産する製品は、大量生産であるが故に、単価が安くなるのが、資本主義経済市場原則ではないのか。

 その考えに立てば、最大の電力販売量を誇り、最大の電力売上高を示す東京電力の1kw当り電気代が最も高いという現象は、私には理解しがたい。

 水力発電、火力発電、原子力発電で発電単価が違うから、1kwいくらという事は間違いであるという反論が必ずなされるであろうが、その考えは電力を売る側の発想であろう。

 電力には色がついていない。
 水力発電の電力でも火力発電の電力でも、また原子力発電の電力でも電力としては同じである。

 それとも、水力発電の電力は青色、火力発電の電力は赤色、原子力発電の電力は黒色の色がついているとでもいうのであろうか。

 消費者にとって現在使っているのが水力発電の電力で、電気代は高いとか、今使っているのは原子力発電の電力であると言うことなど分からない。

 水力発電、火力発電、原子力発電で発電単価が違うからという発言は、発電側の「為」にする理屈である。

 発電側の言う、

 「原子力発電は安全で、電気代は最も安く、炭酸ガス排出削減にも最も貢献している電力です」

という電力業界の宣伝、通産省の巧みな目くらましの安全保安監督という行政、御用学者の原子力発電安全擁護の発言、電力業界の巨額な広告宣伝費に欲ボケして批判精神を置き忘れた大新聞・テレビのマスコミによって、国民は見事に欺されてきた。

 下記に数値一覧表を記す。


23年3月期電力会社1kw当り電気代      
       
  電気事業売上高 電力販売量 1kw当り電気代
  百万円 百万kwh
       
東京電力 5146318 293386 17.54
関西電力 2405100 151100 15.92
中部電力 2134500 130911 16.30
北海道電力 544700 32302 16.86
東北電力 1332200 82706 16.11
北陸電力 480976 29543 16.28
中国電力 999596 62400 16.02
四国電力 520954 34223 15.22
九州電力 1356300 87474 15.51
沖縄電力 150896 7521 20.06


 なお日本とアメリカ、フランス等各国との電気代の比較は、少しデータは古いが、下記鑑定コラム177)に記してある。
 日本の電気代が甚だ高い事がわかる。
 小泉・竹中内閣は規制緩和の行政を行ったが、それは金融業や製造業の労働派遣等のやりやすいところで、それもおかしな規制緩和で、電力業については全く手を付けなかった。


  鑑定コラム177)
「発電所の売買利回り5%」

  鑑定コラム747) 「田中美知太郎教授はどう云うであろうか(福島第一原子力発電所事故) 」


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