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801)中部電力10水力発電所を取得、利回りは9.9%

 本コラムの前に、続けて3つの電気に関する記事を書いた。

  鑑定コラム798)「電力会社の売買価格は1kw当り8.2万円(アメリカ)」
  鑑定コラム799)「石炭火力発電所の建設費は1kw当り14.3万円」
  鑑定コラム800)「電気代は1kw当りいくらか」

の3つの記事である。

 それは、本コラムを書くがために書いた導入記事、起承転結で言えば「承」の記事である。
 「転」の記事が、本コラムである。

 中部電力が、10ヶ所の水力発電所を取得したと、中部電力のホームページにプレスリリース(2011年8月2日)した。

 水力発電所の売主は、三重県である。

 三重県が中部電力に売り払った水力発電所は、下記の発電所である。

          発電所名    所在     最大電力kw

青蓮寺 名張市     2,000 比奈知     名張市     1,800  蓮(はちす)  松阪市     4,800 青田      松阪市 2,800 長(なが) 大台町     2,600
宮川第一    紀北町  25,600 宮川第二 紀北町 28,600 宮川第三    大台町     12,000 三瀬谷     大台町     11,400 大和谷 大台町     6,400  計 98,000
 
 売買価格は、105億円という。

 発電力98,000kwの水力発電所を、105億円で中部電力は手に入れた。

      105億円÷9.8万kw=10.7億円/万kw

 1万kwあたりの売買価格は、10.71億円である。
 1kw当りに換算すれば、

               1,071,000,000円
            ───────── ≒ 107,000円/kw                      
                   10,000kw

107,000円である。

 水力発電所の売買価格は、1kw当り107,000円ということである。

 中部電力が、105億円で取得する10ヶ所の水力発電所の投資利回りは、何%になるであろうか。
 以下に勝手に推測分析してみる。

 10の水力発電所の最大発電出力合計は98,000kwである。
 常時発電しているとして、1年間の総発電量を求める。
 (注)水力発電が常時発電は無く、稼働率がある。その実稼働率で計算するのが、正しいのであるが、実稼働率は、部外者には分からないことから、最大発電能力で常時発電しているとして計算する。

      98,000kw×24時間×365日=858,480,000kwh

である。

 中部電力の電気代は、1kw当り16.3円と、先の鑑定コラム800)「電気代は1kw当りいくらか」で求められている。

 10の水力発電所の電力売上高は、

      16.3円×858,480,000kwh=13,993,224,000円≒14,000百万円

となる。140億円である。

 中部電力の売上高・営業利益は、平成23年3月期の決算書によれば、

    売上高      23,482億円
    営業利益      1,742億円

である。

 営業利益率は、

      1,742億円÷23,482億円≒0.074

7.4%である。

 取得する10水力発電所も、中部電力の経営によって、同じ利益率が確保されるとすれば、10水力発電所の電力売上高は140億円であるから、この金額に中部電力の営業利益率を乗ずれば、

      140億円×0.074≒10.36億円

営業利益は、10.36億円である。

 10発電所の売買取得価格は、105億円であるから、

      10.36億円÷105億円=0.0986≒0.099

である。

 発電所の投下資本利回りは9.9%と言うことになる。

      1/0.099=10.1

 10年間での投下資本の回収である。

 購入価格と売上高との関係を見ると、売上高は140億円であるから、

      105億円÷140億円≒0.75

売上高の0.75倍が購入価格である。

 発電所の価格は、その発電所の年間発電売上高の0.75倍の価格と言うことになる。

 2004年東北電力が、4つの水力発電所を購入した。
 4つの水力発電所の合計発電量は、7600kwであった。

 その売買価格は、30億円であった。
 この水力発電所の売買について、私は鑑定コラムに記事を書いた。
 鑑定コラム177)「発電所の売買利回り5%」という記事である。
 この記事は7年前のものであるが、7年経った現在もそこそこアクセスがある。

 東北電力の購入した水力発電所と、中部電力が購入した発電所の1kw当り価格等の比較一覧を、下記に記す。

 
                       東北電力     中部電力
   発電量              7,600kw           98,000kw
   売買価格             30億円           105億円
   1kw当り価格         400,000円         107,000円
   投資利回り            5.0%             9.9%

 東北電力の購入価格が高いというものでは無い。

 東北電力の水力発電所の売買価格から見れば、中部電力は随分とお買い得な買い物をしたと云えよう。


(追記)2011年8月26日
 世の中にはやはり専門家がいます。
 それぞれの分野に専門家が居るのは当然ですが、それら分野の専門家の方々が、この鑑定コラムを読んでおられるようです。その事に私は驚くと共に、感謝しています。不動産鑑定の分野とは全く異なる分野の人々が、鑑定コラムを読んで下さっていることに。

   電力の専門分野で勤務されていると思われるある方から、本件の発電量について「間違っている」の指摘を頂きました。
 それは、水力発電は稼働率があり、発電能力100%の稼働は現実的では無いと言う指摘です。

 ご指摘はその通りです。といって、各発電所の稼働率は私には不明ですので、常時発電していると言う条件を前提にして計算し、本コラムは書いてあります。

 それ故、コラムを読まれる方々は、本鑑定コラムは最大電力100%の常時発電稼働を前提にした計算であり、実際の数値とは異なるものであることをご了承下さい。例えば稼働率50%とすれば、経費も同率で低減するとすれば、還元利回りは9.9%×0.5≒5.0%になると云うことです。もっとも経費が同率で低減する事は考えがたいが。

 ご指摘を頂きましたコラム訪問者に感謝致します。


  鑑定コラム177)
「発電所の売買利回り5%」

  鑑定コラム798)「電力会社の売買価格は1kw当り8.2万円(アメリカ)」

  鑑定コラム799)「石炭火力発電所の建設費は1kw当り14.3万円」

  鑑定コラム800)「電気代は1kw当りいくらか」


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