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862)小売業の勝ち組と負け組

 日本経済新聞社が、小売業の売上高500位までの売上高を毎年調査して、『日経MJトレンド情報源』(日本経済新聞出版社)で発表している。

 2012年版は2011年10月24日に発売された。

 それによると、2011年の小売業上位500社の売上高は54.7兆円である。

 経済産業省の調査による2011年の1月〜12月までの小売業の売上高は、134.0兆円であることから、小売業上位500社で小売業売上高全体の40%を占めることになる。

 日本の小売業上位500社の過去の売上高は、下記の通りである。

        2009年  56.7兆円
       2010年  55.4兆円
        2011年  54.7兆円

 2009年を100として、評点を求めると、

        2009年   100.0
        2010年    97.7
        2011年    96.6
 
である。

 2年間の平均単純売上高減は△1.7%程度である。

 しかし、これは全体的な売上高減の状況である。
 売上高順位での売上高を見ると、意外なことが分かる。

 売上高1位は、セブン&アイ・ホールディングであり、2位はイオンである。
 この2社のみ年間売上高が5兆円を越えている。
 いわゆる5兆円企業である。

 小売業1位の売上高の推移を見る。単位百万円。評点は2009年の売上高を100とする。以下同じ。

                    売上高           評点          増減率
    2009年         5,649,948        1.00       −
    2010年         5,111,297        0.905          △9.5%
    2011年         5,119,739        0.906          △9.4%

 2009年を1.0とすると、2011年は△9.4%の売上高減である。

 売上高1位から8位まで、1社を除き2009年に比し売上高減である。

 9位から65位までは売上高増となる。
 66位から500位までは売上高減である。

 売上高8位と9位の売上高は下記の通りである。

             売上高         評点
 8位    901,010         92.3
  9位    869,475        108.3

 売上高65位と66位の売上高を記す。

             売上高          評点
 65位    182,194        106.1
  66位    170,183         99.9

 売上高200位、300位、400位、500位の売上高を示す。

              売上高       評点
 200位    42,179        86.9
 300位    26,000        87.4
 400位    15,317        77.9
 500位     7,757        65.3

 売上高1位から8位までは売上高減である。
 この順位の企業の売上高は、5.1兆円から9000億円である。

 売上高9位から65位までは売上高増である。
 この順位の企業の売上高は、9000億円から1700億円である。

 売上高66位から500位までは売上高減である。
 この順位の企業の売上高は、1700億円から77億円である。

 小売業の勝ち組と負け組がはっきりと分かれている。

 勝ち組は、売上高9000億円から1700億円の企業であり、負け組は売上高9000億円以上と1700億円以下の企業である。

 分かり安く書けば、売上高で、

   勝ち組     1700億円〜9000億円   
      負け組          9000億円以上
                      1700億円以下

の企業である。

 売上高順位500位の企業の2009年以降の売上高を記すと、下記である。

      2009年   11,886百万円     −
      2010年   10,602                89.2 (△10.8)
      2011年    7,757                65.3  (△34.7)

 2009年では118億円の売上高で上位500位だったのが、2011年では77億円で上位500位に入ることになったのである。
 それだけ売上高が減っているということになる。

 1位から8位までの上位社の売上高減は△10%内である。
 中位の会社は0〜+20%の売上高増である。
 売上高1700億円以下の下位の会社は、売上高が少なくなるにつれて売上高の減少率は△10%以上と大きくなる。
 順位500位社に至っては売上高△35%減という現象を引き起こしている。

 小売業全体では売上高は大きく下がっていないが、売上高の金額の少ない小売業企業の売上高が、大幅に減っている様だ。

 売上高の増減率と売上高順位の関係グラフは、逆にしたフライパンを横から見たごとくの形をしている。


 売上高1700億円以下の小売店の売上高が激減している状況を知れば、日本チェーンストア協会の清水信二会長が、ある会合で、

 「・・・・・・・この不景気でデフレの時に、消費税を上げるという。
 何を考えているのか。
 日本経済を潰す気か・・・・・・・・」

と怒る気持ちも分かろう。


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