「A社、四国で工場新設。設備投資額65億円、完成後売上高100億円」と新聞(日経2001年11月17日)は報じる。
いつもの多くある企業の工場増設の記事と思い、読み流そうとしたが数字にひっかかるものを感じた。
「設備投資の売上高に対する比率が、20%を超えると過剰投資になりやすい」(三和総合研究所)という経験則がある。
私の工場分析では、土地購入費も設備投資と考えれば、「売上高の23%が工場のおおよその価格」である。(『民事再生法と資産評価』p218 田原・平澤・松原著 清文社 2001年)
これらのことは何を意味するかといえば、土地・建物価格(投資額となる)の 5倍程度の製品売上高が無ければ、工場経営は成り立たないということである。
これを不動産鑑定で考えれば、立派な工場で積算価格が高く求められても、売上が伴わなければその工場の交換価値は市場で決まるわけであるから、積算価格は大きく減額されるということである。
これは工場を評価するときの重要な鑑定スタンスである。
A社の設備投資額と完成後売上高の 2つの金額の間には、どうも違和感が感じられる。
鑑定コラム2005)「2019年度の設備投資は30.3兆円」
鑑定コラム2006)「GDP民間企業設備額に対する日経調査設備投資額の割合は32.3%」
鑑定コラム2009)「民間企業設備投資はGDPの16%を占める」
鑑定コラム2010)「民間消費は国内総生産の60%程度」
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