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1154)車返団地事件が判例時報、判例タイムズに掲載

 2014年新年最初のコラム記事です。

 昨年2013年7月の最高裁の車返団地事件(平成24年(行ヒ)第79号)の判決が、判例時報、判例タイムズの2誌に取りあげられた。

   判例時報 平成25年12月21日号  2201-37

判例タイムズ 2014年01   1394-124

 上記2誌には、判決の全文の他に、判決評論として、その判決の云わんとするところ、その判決が過去の判決とどう違うか、どこに判決の特色があるか、判断の普遍性、妥当性等の評論が述べられている。

 本判決評論については、当鑑定コラム1101)で述べた内容以上の物は無く、私に取って目新しい考え方が述べられているとは思われない。

 判決評論の結論として、下記のごとく述べる。

 「本判決は、判例法理の理解が必ずしも容易でなく異なる理解が生じ得る余地のあった」固定資産税価格審査決定の取消の訴えについて、「登録価格の決定の違法性の判断の枠組みを整理したものであり、実務上重要な意義を有するものと考えられる。」と結ぶ。

 車返団地事件の判決が、判決の紹介として法曹界において定評ある2つの法律雑誌に紹介されたことは、それだけ重要な判決であるということを示すものである。

 しかし、私にはその取りあげ方に疑問を持つ。

 判例時報、判例タイムズの当該判決に対する判決評論の文章が全く同じであることに甚だ疑問を持つのである。

 判例時報は縦書き、判例タイムズは横書きの違いがあるだけで、タイトル、判決評論の内容文章は全く同じである。

 同じ執筆者の文章では無いのかと思わざるを得ないものである。

 判例時報、判例タイムズを2誌を買ったのは、2誌に車返団地事件の判決がそれぞれ取りあげられていることを知り、それぞれの法律雑誌の編集方法、評論姿勢が異なるであろうから、その異なったものの見方による評論を知りたいために2誌を購入したのである。

 判決文が同じであるのは当然であるが、判決評論が2誌で全く同じであるとは思いもよらなかった。同じ判決評論であるならば、一つの雑誌を購入する必要性は無かった。

 判決評論を書くのは、大学の法学部の教授であろう。
 法律を研究している学者であろう。

 論文の二重投稿は厳禁されているのではないのか。

 論文の二重投稿が判明した場合は、論文掲載誌は、その行為に強く警告し、以後その執筆者の論文掲載を拒否するのがルールであろう。

 つまり二重投稿した人の学者生命は絶たれる可能性があるのである。

 本件の場合、判例時報、判例タイムズの発行会社は、どういう対応をするのであろうか。

 執筆者が同一人で無く、別人であったとすると、それは盗作と云うことになる。

 違う雑誌で、全く同じ文章の同じ内容の判決評論を読まされて、私は甚だ不愉快になった。その法律雑誌を机に叩きつけた。


  鑑定コラム1101)
「破棄差戻 春名鑑定士よくやった」

  鑑定コラム1092)「最高裁の傍聴へ」

  鑑定コラム1093)「最高裁の最初の階段は13段だった」

  鑑定コラム1164)「車返団地事件が『判例地方自治』に掲載された」


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