都心に10階、20階建の本社事務所ビルがどうして建つことが出来るのか。
本社ビルは、そこでは生産・販売を行っていない。直接には利益を産まない。
それにもかかわらず、企業の本社が都心で存在可能なのはどうしてなのか。
当『鑑定コラム』あるいはメルマガで、「知識企業の価格は売上高の18%」の記事を書いた。企業会計コンサルタント会社のKPMGが、朝日アンダーセンを買収した記事である。
そこで、知識・知能を売り物とする頭脳企業組織の価格は、売上高の18%であると分析した。
そして、売上高5000億円の企業が都心で持つ本社ビルの価格は、一棟138億円と例示証明した。
138億円のビルの本社費は120億円であると仮に考えた。当該企業売上高の2.4%の金額である。
その費用はどこから提供されるのか。
それは、各地に持つ各工場からの金銭の提供でまかなわれている。
各工場の売上利益の中の経営利益より捻出されるのである。
現実には本社経費分として、各製品の原価計算に折り込まれて本社経費が確保されているが。
理論的には経営利益の中に本社経費が含まれるのである。
経営利益とは、企業収益還元法において、企業利益を経営、労働、資本、不動産に配分する場合の、経営に配分される利益のことである。
経営利益は、当該工場の経営者の報酬料の範囲でよいとする考え方や、経営利益など不動産に化体していると見ることも出来、経営利益の配分など必要でないという考え方があることを私は知っている。
しかし、それら考え方からは、都心の本社ビルの存在の説明が出来なくなる。
東京にどうして10階、20階の本社ビルが数多く存在出来るのか。
その本社ビル可能理論は、企業収益還元法の経営利益の存在が無ければ、合理的説明がなされない。
この様に考えると、企業収益還元法の経営利益の存在とその把握は、非常に重要である。
(2003年8月4日の講演『工場収益からの工場土地・建物価格の求め方』から、要約加筆修正して)
上記引用した鑑定コラムについては、下記にあります。
鑑定コラム33)知識企業の価格は売上高の18%
鑑定コラム670)「都心に本社ビルがどうして建てることが出来るか」という講義
鑑定コラム1254)「桐蔭横浜大学は祝日でも講義がある」
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