株式会社みずほフィナンシャルグループが、香港の子会社の銀行(Chekiang First Bank Limited、略称CFB)を売却した。(みずほフィナンシャルグループホームページ、プレスリリース、2003年8月1日)
みずほフィナンシャルグループとは、どんな金融グループかというと、富士銀行、第一勧業銀行、日本興業銀行が合併してみずほ銀行になり、その資本関連の信託銀行、証券会社等が加わってみずほフィナンシャルグループを形成している。金融持株会社である。
みずほ銀行の頭取とみずほフィナンシャルグループの会長と、どちらが権力が強いか私は知らないが、富士銀、第一勧銀、興銀が主体の金融グループである。
このほかに、ここ数年の間に、UFJ銀行とか、りそな銀行という新しい銀行名が出てきて、東海銀行はどこに行ったのか、協和銀行はどの銀行になったのか覚えるのに一苦労する。では三井銀行は、住友銀行は、三菱銀行はどうなったのかと、いらぬことも考えざるを得ない。
銀行の再編による結果であろうが、合併して大きくなればよいというものではなかろうにと思うが。
ある市には、今迄2つあった都市銀行が都市銀行の合併で1つになり、そしてしばらくすると、それも経費削減という理由か知らないが閉店になってしまった。
結局、今迄都市銀行が2つあったのに、都市銀行が無くなってしまった市が生じるという経済現象が生じてしまった。
顧客への論理でなく、銀行自身の身勝手な論理が優先しているごとく映る。 利益の生じないところでは商売出来ないという資本原理で考えれば、それはいか仕方がないが。
それは、不動産鑑定で云えば、銀行の店舗進出はコストを積み上げた積算価格が適正な価格であると主張し、銀行店舗撤退には採算が合わないから撤退するのであるから、収益価格が適正だと主張しているごとくである。
いずれの価格も市場価格で適正だと、自分の都合で勝手に、同じ人が主張しているごとくである。
今まで銀行は何と言っていたか。
「銀行は公共的責務を負っている」と、さも公共機関の一部であるごとく、特別な民間企業であるごとく、そして特権意識をもっているごとく偉そうなことを、どこかの銀行の頭取が論じていた事を私は記憶している。
その発言は、間接金融体制であったからこそ云えたのであり、直接金融になっても果たして云えるかどうか。
みずほフィナンシャルグループが売却した香港の子会社の銀行の売却価格は、4,800百万香港ドル(737億円、1香港ドル15.36円で換算)である。
この売却した子会社の銀行CFBは、1950年に設立され690人の従業員を持つ。営業利益は256百万香港ドル(2002年12月期)である。
売却価格に対する営業利益の割合は、
256÷4800=0.0533
である。利回り5.3%である。
先にあおぞら銀行の売買価格を分析した時、利回りは5.1%であった。
そしてあおぞら銀行の市場価格は、利益率5%で還元した価格があてはまりそうと私は述べた。(当『鑑定コラム』の
「銀行の売買価格はどの様に求めるか」)
みずほフィナンシャルグループの銀行の売却価格の利回りは5.3%である。
2つの例で断定は出来ないが、銀行の売買価格は5%の利回りで形成されているのではないかと、なんだかぼんやりと大枠の輪郭が見えてきたような気がする。
銀行の売買に関する鑑定コラムの記事は、下記にあります。
鑑定コラム113)銀行の売買価格はどの様に求めるのか
鑑定コラム140)遂に都市銀行本店も身売り
鑑定コラム312)みちのく銀行モスクワ現地法人の売買価格
鑑定コラム583)三井住友FGが日興コーディアル証券を買収
鑑定コラム1243)「シティバンク日本の個人部門の価格はいくらか」」
フレーム表示されていない場合はこちらへ トップページ
田原都市鑑定の最新の鑑定コラムへはトップページへ 前のページへ