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1483)市川・千葉の貸ビルの階層別効用比を求める

1 はじめに

 階層別効用とは、建物の階層による価格あるいは賃料の違いのことをいう。

 1階と7階とでは、店舗もしくは事務所ビルの場合には、1階の賃料の方が高く、7階の賃料は安い。

 マンションの場合は1階のマンションよりか、7階のマンションの方が価格・賃料とも高いのが一般的である。何故その様な現象が生ずるのかといえば、用途、利便性、眺望、好み等が違うためである。これら要因による価格、賃料差を階層による効用という言葉で表現している。

 賃貸事例からどの様にして階層別効用比を求めるか。

 市川・千葉の賃貸事例を使用して、その求め方を説明する。
 使用する賃貸事例は募集中の事務所ビルの賃貸事例を使用する。

2 千葉市等の事務所賃料

 市川市、千葉市内で、2015年12月時において、同一ビルで複数階の入居者を募集している次の9件のビルの事例があった。


所在地 賃料坪当り円
       
@ 市川市真間1丁目 1階 13900
    3階 7000
       
A 市川市南八幡5丁目 4階 14100
    8階 14000
       
B 千葉市中央区弁天1丁目 1階 10800
    2階 8700
       
C 千葉市中央区栄町 1階 8700
    3階 6400
       
D 千葉市中央区新田町 2階 8700
    3階 8700
    5階 8700
       
E 千葉市中央区新宿2丁目 3階 6500
    7階 6500
       
F 千葉市中央区中央4丁目 2階 6700
    3階 6700
       
G 千葉市中央区中央3丁目 1階 13600
    2階 8500
       
H 千葉市中央区中央3丁目 3階 7600
    5階 7600
    8階 7600
    10階 7600


3 事務所ビルの階層別効用評点

上記9件のデータより、次のごとく、各階の効用評点を求める。1階の効用評点を100とする。

 イ,2階の評点

    データgB(以下「データ」の用語を省く)とgGは、次のごとくである。

           
                gB  1F   10,800円
                        2F       8,700円

gG  1F   13,600円 2F 8,500円

 1Fを100として、2Fの評点を求めると下記である。

           
                gB  1F     100
                        2F         80.6

gG  1F    100 2F 62.5

 gBとgGの平均値は、

                        1F        100
                        2F         71.55 ≒ 72

である。

 これより2Fの評点を72とする。

 ロ,3階の評点

 a,データgDとgFより、2Fと3Fの関係を分析する。

           
                gD  2F    8,700円
                        3F       8,700円

gF  2F    6,700円 3F 6,700円

 2Fの評点を100とすると、

           
                gD  2F     100
                        3F        100

gF  2F    100 3F 100
平均 2F 100 3F 100

である。

 b,ここで2Fの1Fに対する評点は、前記より72であった。

 1Fを100とすると、2Fは72であり、3Fも72となる。

 c,ここで、1Fと3Fのデータによって、3Fの評点を検討する。

           
                g@  1F   13,900円 (評点 100)
                        3F       7,000円  (評点 50.4)

gC  1F    8,700円 (評点 100) 3F 6,400円 (評点 73.6)

と、1Fを100とすると、3Fの評点は上記( )のごとく求められる。

 d,上記、求められた3Fの評点の平均を求める。

                        gDより    72
                        gFより    72
                        g@より    50.4
                        gCより    73.6
                    ─────────────                      
                          平均          67

 3Fの評点を67とする。

 ハ,4階以上の評点

 3階を100として、4階以上の階の評点を求める。

           
                gD  3F    8,700円 (評点 100)
                        5F       8,700円  (評点 100)

gE  3F    6,500円 (評点 100) 7F 6,500円 (評点 100)
gH  3F    7,600円 (評点 100) 5F 7,600円 (  〃  ) 8F 7,600円 (  〃  ) 10F 7,600円 (  〃  )

 4階〜10階の評点は100で、3階と同じである。
 1階を100とした場合、3階の評点は67である。

 ニ,まとめ

 上記より、次のごとく階層別効用評点が求められた。

                        1階     100
                        2階           72
                        3階           67
                        4〜10階       67

 (平成28年3月23日東京赤坂ホテルニューオータニの小さな部屋で行われた田原塾の講話テキストに加筆して)

  鑑定コラム1462)
「店舗の売上高に対する家賃割合の求め方」

  鑑定コラム1124)「利回り法賃料の講話」

  鑑定コラム1484「市川・千葉と新宿の事務所ビルの階層別効用比」

  鑑定コラム1548「新規賃料と経済価値に即応した適正な賃料」

  鑑定コラム1603「1階の店舗家賃は3階店舗家賃の1.3倍」

  鑑定コラム1804「上野4丁目御徒町駅徒歩2分程度の5階建店舗ビルの階層別効用割合」


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