○鑑定コラム
フレーム表示されていない場合はこちらへ
トップページ
田原都市鑑定の最新の鑑定コラムへはトップページへ
前のページへ
次のページへ
鑑定コラム全目次へ
不動産情報会社のアットホーム株式会社が、毎月アットホームが集めた不動産市場の流通物件の統計データを1ヶ月遅れで発表している。
『不動産データ&トレンド通信』という情報である。
日本全国を9地域に分け、9地域の中古マンション、住宅土地、戸建住宅の流通した物件の平均流通価格を発表している。
東京地区は、23区と多摩地区に大分けし、23区は、次の6つの地域に分ける。
都心3区、城西3区、城南5区、城北5区、城東6区
平成28年10月の東京23区の6つの地域の住宅地の流通価格は、下記である。
都心3区 −
城西3区 u当り54.55万円
城南5区 u当り81.38万円
城北6区 u当り55.81万円
城東6区 u当り31.80万円
東京の住宅地の価格は、同じ東京にあっても、u当り31.80万円〜81.38万円と大きな価格差がある。
城南5区の住宅地の価格が最も高い。
城南5区とは、次の区をいう。
品川区、大田区、目黒区、渋谷区、世田谷区
東京の土地価格は、皇居を中心にして、時計回りつまり右回りに変動している。
この土地価格の右回り現象については、鑑定コラム308)「東京の地価は皇居を中心に時計回りに」(2006年10月22日発表)に述べている。
23区の住宅地の価格が、真っ先に動意を示すのは、世田谷、品川、太田の土地である。即ち城南5区の土地価格である。
都内住宅地価格がまず上昇し始めるのは、この城南地区の住宅地である。真っ先に下落するのも、城南地区の住宅地の土地価格である。
そうした東京の地価形成要因の知識を持って、城南地区の地価動向を見ていれば、東京の地価が現在どういう動きをしているのかは、ある程度わかる。
アットホームが発表している平成26年1月以降平成28年10月までの城南5区の住宅地の土地の流通価格と3ヶ月移動平均の価格は、後記一覧のとおりである。
その土地価格をグラフにしたのが、下記グラフである。
各月の流通価格は、乱高下が激しく傾向をつかみづらいが、3ヶ月移動平均価格のグラフにすれば、傾向が把握し易い。
3ヶ月移動平均で見ると、城南5区の住宅地価格は、平成26年8月のu当り62.86万円を底にして上昇している。
その後、若干の価格上下はあるが、平成28年8月のu当り83.16万円まで上昇する。
この2年間の地価上昇率は、
83.16
──── = 1.32
62.86
32%の上昇である。年率14.9%の上昇である。
2%とか5%の上昇率では無い。年率約15%の上昇である。
土地価格が上昇しているのは、都心の高度商業地の一部だけであるという意見を耳にするが、とんでもない。住宅地の価格も大幅に値上りしているのである。
これが黒田日銀の超超金融緩和によって、不動産業・不動産に金が流れたことによって引き起こされた動かぬ証拠現象である。
平成28年8月以降10月まで、3ヶ月移動平均価格は下落傾向に入った。
平成28年11月以降、再度上昇傾向になるかもしれないが、それは少ないのでは無いかと私は判断する。
それは、各月のデータで、
平成27年6月 u当り84.15円
平成28年7月 u当り84.57万円
と高値ピークを付けている。
今後3回目のピークを付ける勢いを、市場は持っているのか私は疑問視するからである。
流通取引市場には、3回目のピークを付けるエネルギー及び勢いは無いと私は判断する。
とすると、平成28年8月の3ヶ月平均のu当り83.16万円が土地価格のピークとなり、東京の住宅地価格は下落に向かうということになる。
但し、これはあくまでも私の予測であり、外れる場合もあることはご了承願いたい。
下記にアットホーム発表の城南5区住宅地の流通価格一覧を記す。
年月
|
城南地区 万円/u
|
3ヶ月平均 万円/u
|
平成26年1月
|
69.59
|
|
平成26年2月
|
70.28
|
|
平成26年3月
|
60.76
|
66.88
|
平成26年4月
|
63.84
|
64.96
|
平成26年5月
|
69.39
|
64.66
|
平成26年6月
|
60.84
|
64.69
|
平成26年7月
|
68.37
|
66.2
|
平成26年8月
|
59.36
|
62.86
|
平成26年9月
|
65.65
|
64.46
|
平成26年10月
|
64.63
|
63.21
|
平成26年11月
|
73.62
|
67.97
|
平成26年12月
|
77.8
|
72.02
|
平成27年1月
|
77.65
|
76.36
|
平成27年2月
|
68.44
|
74.63
|
平成27年3月
|
68.42
|
71.5
|
平成27年4月
|
81.3
|
72.72
|
平成27年5月
|
61.23
|
70.32
|
平成27年6月
|
84.15
|
75.56
|
平成27年7月
|
69.11
|
71.5
|
平成27年8月
|
72.62
|
75.29
|
平成27年9月
|
70.56
|
70.76
|
平成27年10月
|
67.93
|
70.37
|
平成27年11月
|
73.53
|
70.67
|
平成27年12月
|
80.38
|
73.95
|
平成28年1月
|
78.2
|
77.37
|
平成28年2月
|
76.07
|
78.22
|
平成28年3月
|
78.74
|
77.67
|
平成28年4月
|
78.5
|
77.77
|
平成28年5月
|
71.34
|
76.19
|
平成28年6月
|
80.62
|
76.82
|
平成28年7月
|
84.57
|
78.84
|
平成28年8月
|
84.28
|
83.16
|
平成28年9月
|
78.83
|
82.56
|
平成28年10月
|
81.38
|
81.5
|
鑑定コラム308)「東京の地価は皇居を中心に時計回りに」
鑑定コラム1584)「東京住宅地価平成28年8月ピークの検証」
鑑定コラム1591)「城南5区流通価格と地価公示価格との関係」
鑑定コラム1593)「都心住宅地価格が下落し始めた」
▲
フレーム表示されていない場合はこちらへ
トップページ
前のページへ
次のページへ
鑑定コラム全目次へ