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日本の4大総合製紙メーカーの一つの大王製紙が、埼玉県行田市に自社用の物流センターの建設を発表した。(大王製紙HPプレスリリース 2004年4月30日)
大王製紙と言えば「エリエール」の製紙会社と思っていたら、同社のホームページに依れば、日本には総合製紙メーカーは4つしかないと言う。王子製紙、日本製紙、大王製紙、大昭和製紙の4社という。
大王製紙の売上高は国内3位、世界では20位にランクするという。
総合製紙メーカーとは、新聞、印刷・出版用紙、情報用紙、ダンボール原紙、家庭紙などあらゆる種類の紙の製造・販売をする製紙メーカーを云うらしい。
「エリエール」は家庭紙に属する様である。
その大王製紙の埼玉県行田市の物流倉庫の規模は、次のごとくである。
1.投資額 11億円
2.敷地面積 13,012.43平方メートル
3.建物構造 鉄骨造平家建
4.のべ床面積 約6,800平方メートル
5.完成予定時期 平成17年6月
6 保管製品 加工紙
7.保管能力 約13,000トン
投資額を土地建物の価格と見なすと、建物平方メートル当りの投資額は、
1,100,000,000円÷6,800平方メートル
≒162,000円
平方メートル当り162,000円である。
本鑑定コラムの157)
「大型倉庫の粗利回りは11%」
の記事で、世界最大の倉庫会社のプロロジスの物流倉庫の価格の一つは、平方メートル当り125,000円、一つは167,000円という記事を書いた。
建物の程度、立地による価格差は当然あるが、物流倉庫の価格というものが、データの集積に伴い、徐徐に見えてきつつある。
粗利回りはどれ程か。
株式会社生駒データサービスが発行している『不動産白書2003』p48の埼玉県倉庫配送センターの平均賃料は坪当たり4,260円(u当り1,290円)である。
この賃料を採用して、粗利回りを計算すると、
1290円×12=15,480円
15,480円÷162,000円≒0.096
9.6%の粗利回りである。これも倉庫利回りの一つのデータになるであろう。
引き続き物流倉庫のデータの蓄積に心がけたい。
大王製紙は植林チップを得るために、1989年チリに6万haの山林を取得した。
平成12年末では植林面積は2.8万haに達し、平成13年(2001年)には、その植林チップの一部が日本に初入荷したと言う。
2007年までには、チップ消費量の20%を自社植林で賄う計画であり、オーストラリアのタスマニア島でも植林事業を開始したという。
二酸化炭素の排出権という面で考えると、山林の二酸化炭素の吸収量をはっきりと分析したものは無いが、森林1ha当り3.4トン程度である。
チリの植林地は2.8万haと言うから、二酸化炭素の吸収量は、
3.4トン×2.8万ha=9.52万トン
である。
二酸化炭素排出権は、トン当たり1,000円程度がロンドンの取引相場と言われている。
二酸化炭素の排出権価格は、
1,000円×9.52万トン=95,200,000円
ということになる。
これだけの金額が、外国でなく、日本の山林の一部に投じられれば、荒廃した日本の山林は少しづつであるが、蘇ることになるのでは無かろうか。
日本の企業は、オーストラリアのユーカリの樹等を二酸化炭素排出権の対象として目を向けるのではなく、日本の山林の二酸化炭素排出権を見直しても良いでは無かろうか。
現在の目を覆うばかりの荒廃した日本の山林を救うのは、日本企業の経済力に頼る以外方法は無い。
二酸化炭素排出権と自然環境の保護への貢献度という2つを、企業の良い経営評価を投資の尺度にするSRI(鑑定コラム160
「SRI」参照)
はより強く重視して、日本企業の金を日本の山林・林地に環境保護投資する様に誘導する事を考えてくれないだろうか。
農林水産省の官僚・役人に期待しても無理である。日本の山林を現在の目を覆うばかりの荒廃した山林にしてしまった現状が、農林水産省の官僚・役人の力の無さの何よりの証拠であろう。まして日本の大企業を動かす力など全くない。
株式市場による経営評価に神経をとがらす企業経営者を動かすには、そこに影響力を持つSRIに頼るしか方法は無い。
日本企業の経済力が、日本の山林を救うには是非とも必要である。
なお倉庫に関する記事の鑑定コラムは、つぎのものがあります。
鑑定コラム157)
「大型倉庫の粗利回りは11%」
鑑定コラム164)
「物流会社の譲渡価格と投下資本利回り」
鑑定コラム188)
「大黒埠頭の道路」
鑑定コラム199)
「ナイガイの2つの倉庫の売却」
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