○鑑定コラム
フレーム表示されていない場合はこちらへ
トップページ
田原都市鑑定の最新の鑑定コラムへはトップページへ
前のページへ
次のページへ
鑑定コラム全目次へ
日本の倉庫業に変革の波が押しよせている。
日本の物流倉庫が大きく変わろうとしている。
北米、欧州で物流施設を所有し、管理しているプロロジスという会社がある。
プロロジス社のホームページの会社紹介に依れば、米国本社はコロラド州オーロラにあり、「先進かつ高品質な物流施設の建設・運営と物流関連サービスを、世界各地の主要都市で提供」しているという。
自ら、「業界のグローバルリーダー」と言い、世界70地域で、1,737棟の物流施設を所有管理し、その総運営延床面積は約2,140万平方メートルの規模と紹介する。
そのプロロジス社が、「プロロジス･オペーレーティング･システム」という独自のビジネス･モデルを日本に持ち込み、日本の物流倉庫に大変革を引きおこしつつある。倉庫に対する従来の概念が打ち破られつつある。
大型倉庫施設による効率の良い管理、商品流通システムの導入である。
東京港周辺、成田空港周辺、大阪、愛知で物流施設を新設し、あるいは既存倉庫を買収し、プロロジス･オペーレーティング･システムによる新しい物流倉庫サービス業を提供し始めている。
最近、成田空港に近い千葉県芝山町に、「プロロジスパーク成田U」の物流施設の建設を発表した。（プロロジスＨＰプレスリリース、2004年4月5日）
規模内容は、
土地 34,000平方メートル
建物 RC造、S造2F
のべ床面積 28,096平方メートル
着工 2004年4月
竣工 2004年12月
である。
総事業費は35億円である。
建物平方メートル当りの事業費は、
3,500,000,000円÷28,096≒125,000円
である。
株式会社生駒データサービスシステム発行の『不動産白書2003』P52によれば、成田市を含む千葉県東北部の倉庫、配送センターの平均賃料は、平方メートル当り1,210円である。
この賃料を参考に、倉庫賃料を平方メートル当り1,200円とすると、年間賃料は、
1,200円×28,096平方メートル≒33,720,000円
3,372万円×12ヶ月＝40,464万円≒4.05億円
である。
ここで、
年間賃料収入÷倉庫土地･建物価格＝粗利回り
とする。
総事業費を倉庫土地･建物価格とみなすと、
4.05億円÷35億円≒0.116
粗利回りは11.6％である。
一方、プロロジス社は千葉県浦安の既存倉庫を2004年2月4日購入した。（同社ＨＰプレスリリース、2004年2月4日）
その物流施設を「プロロジスパーク浦安U」として、物流事業を行っている。
規模内容は、
土地 24,300平方メートル
建物 S造2F、S造5Fの2棟
のべ床面積 33,000平方メートル
である。
購入価格は55億円である。
建物平方メートル当りの価格は、
5,500,000,000円÷33,000≒167,000円
である。
前記生駒データサービスシステムの『不動産白書2003』P51の、浦安を含む千葉臨海の倉庫･配送センターの平均賃料は、平方メートル当り1,480円である。
この賃料を参考に、賃料を平方メートル当り1,500円とする。
年間賃料は、
1,500円×33,000＝49,500,000円
4,950万円×12＝59,400万円＝5.94億円
である。
粗利回りは、
5.94億円÷55億円＝0.108
10.8％である。
上記2つの分析から断定は出来ないが、物流倉庫の価格は、建物面積平方メートル当り12〜17万円である。
この価格には土地価格も含まれる。
土地価格がゼロ円と言うことはあり得ないことから、倉庫建物価格は、平方メートル当り12〜17万円より下位の価格単価と云うことに当然なる。
上記２つのデータの分析から得られた粗利回り11.6％と10.8％から、大型物流倉庫の粗利回りは、11％程度と分かった。
粗利回りの水準がわかれば、キャッシューフローの諸経費を知ることにより、物流倉庫の還元利回りを求めることが出来る。そして割引率もターミナルレートも、そこから推定出来ることになる。
なお倉庫に関する記事の鑑定コラムは、つぎのものがあります。
鑑定コラム164)
「物流会社の譲渡価格と投下資本利回り」
鑑定コラム170)
「大王製紙の物流センター建設」
鑑定コラム188)
「大黒埠頭の道路」
鑑定コラム199)
「ナイガイの２つの倉庫の売却」
鑑定コラム281)
「2005年用途別建物の建築工事費」
鑑定コラム422)
「イヌイ建物の物流倉庫の還元利回り6.5%か」
▲
フレーム表示されていない場合はこちらへ
トップページ
田原都市鑑定の最新の鑑定コラムへはトップページへ
前のページへ
後のページへ
鑑定コラム全目次へ