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1707)継続賃料利回りの算式の証明

1.純利益の継続確保

 建物を貸している賃貸人は、周辺賃料が上がればそれと同じごとく賃料の値上げは欲する。周辺賃料が下がれば、当該建物の賃料の減額は止むを得ないと応じる。

 それに比し、土地価格が上昇したから賃料を上げるとか、地価が下落したから賃料を下げると云うことなど元々欲していない。

 賃貸人の欲しているのは、土地価格の上昇・下落に係わらず、従前賃料の純利益の確保を欲しているだけである。

 周辺賃料の下落、消費者物価の下落による賃料の下落による純利益の減少は、止むを得ないと受け入れる。

 周辺賃料の上昇、消費者物価の上昇による賃料の上昇による当該建物の賃料上昇は、拒む合理的理由はない。

 周辺賃料の上昇は、管理費の上昇が絡んでいれば、受け入れないとすれば、それは純収益の減少に繋がることから当該建物の賃料の値上げを行わざるを得ない。

 消費者物価の上昇も、ビル経営の経費の増加に繋がっており、純利益の確保には、当該建物の賃料の値上げを行わざるを得ない。

 こうした賃貸人の考えを知れば、土地価格が2倍になったから賃料は2倍になるとか、地価が半分に下落したから、賃料も半分になるという考え方は、間違っていると分かろう。

 とすると、地価変動を賃料に反映させない方法が必要である。

 地価が変動しても、従前純利益が確保される仕組みを考えなければならない。

 消費者物価変動は、賃料変動率の中に吸収されて入ると考え、下記のごとくの価格時点の継続賃料利回りを求める算式が生み出された。

 純利益という用語を、以下では「純賃料」に置き変える。

2.価格時点の継続賃料利回りの算式

 価格時点の継続賃料利回りの算式は、

                                         賃料変動率
  従前賃料合意時点の継続賃料利回り  ×─────────            
                                      当該不動産の変動率

である。その証明を下記で行う。

3.従前賃料合意時点の継続賃料利回り

 従前賃料合意時点の土地・建物価格等を、次のとおりとする。

      土地価格   100,000,000円
      建物価格    30,000,000円
        小計   130,000,000円
             純賃料     6,000,000円

 従前賃料合意時点の継続賃料利回りは、

                      6,000,000円
              ───────────────── = 0.04615        
               100,000,000円+30,000,000円

4.615%と求められる。

4.価格時点の継続賃料利回り

 上記不動産が、3年後の価格時点では、下記のごとく変化したとする。

      土地価格    70,000,000円
      建物価格    27,000,000円
        小計    97,000,000円
             純賃料     4,950,000円

 価格時点の継続賃料利回りは、

                      4,950,000円
              ───────────────── = 0.0510         
                70,000,000円+27,000,000円

5.10%と求められる。

 上記の純賃料変動を分析すると、3年後の価格時点の純賃料は、

                       4,950,000円
                     ──────── = 0.825                     
                       6,000,000円

の変動である。0.825は、従前賃料合意時点から価格時点までの純賃料変動率である。

 土地建物価格の変動率は、

                      97,000,000円 
                      ───────   = 0.74615                   
                      130,000,000円

の変動である。0.74615は、従前賃料合意時点から価格時点までの土地建物の変動率である。

 3年後の価格時点の継続賃料利回りの算式を書き替えると、

          4,950,000円        6,000,000円×0.825
         ───────  =─────────────              
       97,000,000円       130,000,000円×0.74615

6,000,000円 0.825 =───────  ×─────  130,000,000円 0.74615
  従前賃料合意時点 純賃料変動率 = ×───────   の継続賃料利回り 当該不動産の変動率

となる。

 純賃料変動率≒賃料変動率とすれば、上記算式は、

 価格時点の継続賃料利回り=

賃料変動率 従前賃料合意時点の継続賃料利回り ×─────────  当該不動産の変動率

である。

5.検証

 数字で仮設算式を確認する。

 価格時点の継続賃料利回りは、前記より0.0510と求められている。

 上記算式で価格時点の継続賃料利回りを求めると、

             従前賃料合意時点の継続賃料利回り   0.04615
       賃料変動率                            0.825
             当該不動産の変動率                    0.74615

この数値を上記算式に代入すれば、

                           0.825
                0.04615×─────                                 
                           0.74615

=0.0510

0.0510と求められる。

 当初命題の算式が、上記によって立証された。

6.論争

 上記命題算式が、今から12年前の2005年12月発行の拙著『賃料<地代・家賃>評価の実際』P241の文章名「スライド法と利回り法は同じ求め方である」に発表され、鑑定業界に大きな論争を引き起こした算式である。

 現在も依然として論争が続いている。

 論文発表当初は、異端扱いで、鑑定評価基準は両手法が異なっているから手法を明記しているのであって、それを同じ手法であると云って、国交省が決めた鑑定評価基準が間違っている如く主張するとは何事かと激しくバッシングを受けた。

 現在は私の考え方を受け入れる人が多くなりつつあり、どうやら論争に勝ちそうである。

   (2017年10月19日ホテルニューオータニの小さな部屋で開かれた田原塾の講話テキストに追記、加筆して)


  鑑定コラム234)
「スライド法と利回り法は同じ求め方である」(2005年9月15日発表)
 
  鑑定コラム1569)「Evaluation60号記念論文 鑑定基準改正の重要点」

  鑑定コラム1700)「田原塾60回 3人の幹事に感謝」


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