1.純利益の継続確保
建物を貸している賃貸人は、周辺賃料が上がればそれと同じごとく賃料の値上げは欲する。周辺賃料が下がれば、当該建物の賃料の減額は止むを得ないと応じる。
それに比し、土地価格が上昇したから賃料を上げるとか、地価が下落したから賃料を下げると云うことなど元々欲していない。
賃貸人の欲しているのは、土地価格の上昇・下落に係わらず、従前賃料の純利益の確保を欲しているだけである。
周辺賃料の下落、消費者物価の下落による賃料の下落による純利益の減少は、止むを得ないと受け入れる。
周辺賃料の上昇、消費者物価の上昇による賃料の上昇による当該建物の賃料上昇は、拒む合理的理由はない。
周辺賃料の上昇は、管理費の上昇が絡んでいれば、受け入れないとすれば、それは純収益の減少に繋がることから当該建物の賃料の値上げを行わざるを得ない。
消費者物価の上昇も、ビル経営の経費の増加に繋がっており、純利益の確保には、当該建物の賃料の値上げを行わざるを得ない。
こうした賃貸人の考えを知れば、土地価格が2倍になったから賃料は2倍になるとか、地価が半分に下落したから、賃料も半分になるという考え方は、間違っていると分かろう。
とすると、地価変動を賃料に反映させない方法が必要である。
地価が変動しても、従前純利益が確保される仕組みを考えなければならない。
消費者物価変動は、賃料変動率の中に吸収されて入ると考え、下記のごとくの価格時点の継続賃料利回りを求める算式が生み出された。
純利益という用語を、以下では「純賃料」に置き変える。
2.価格時点の継続賃料利回りの算式
価格時点の継続賃料利回りの算式は、
賃料変動率 従前賃料合意時点の継続賃料利回り ×───────── 当該不動産の変動率
土地価格 100,000,000円 建物価格 30,000,000円 小計 130,000,000円 純賃料 6,000,000円
6,000,000円 ───────────────── = 0.04615 100,000,000円+30,000,000円
土地価格 70,000,000円 建物価格 27,000,000円 小計 97,000,000円 純賃料 4,950,000円
4,950,000円 ───────────────── = 0.0510 70,000,000円+27,000,000円
4,950,000円 ──────── = 0.825 6,000,000円
97,000,000円 ─────── = 0.74615 130,000,000円
4,950,000円 6,000,000円×0.825 ─────── =───────────── 97,000,000円 130,000,000円×0.74615
6,000,000円 0.825 =─────── ×───── 130,000,000円 0.74615
従前賃料合意時点 純賃料変動率 = ×─────── の継続賃料利回り 当該不動産の変動率
価格時点の継続賃料利回り=
賃料変動率 従前賃料合意時点の継続賃料利回り ×───────── 当該不動産の変動率
従前賃料合意時点の継続賃料利回り 0.04615 賃料変動率 0.825 当該不動産の変動率 0.74615
0.825 0.04615×───── 0.74615
=0.0510