帝国ホテルの一室料金について、鑑定コラムの記事が、鑑定コラム1658)と今回の記事とが後先(あとさき)になってしまった。そのことについて読みにくいと思われた鑑定コラム訪問者にはお詫び致します。
鑑定コラム1658)は、2017年6月24日の田原塾で話した講話の内容であったが、その話の中で、帝国ホテルの客室料金と、南隣接地に設定してある地価公示価格(千代田5-23)の動きが酷似していることの話には、参加者の多くが驚いていたようである。
そのグラフを再度掲載すると、下記のグラフである。
私の1時間の講話の後は、その講話会議室は、5分後にはボーイさんによって各テーブルに乾杯のビールが運ばれ、2時間ほどの懇親会場に変わる。バイキング料理とアルコール飲み放題の懇親会である。
その懇親会の参加者の数人から、
「田原さんは、どうしてあのような事が分かるのですか。」
「ああした分析をどの様にして思いつくのですか。」
と云う質問を受けた。
帝国ホテルの一室の料金については、以前より帝国ホテルの決算書が発表される度に分析していた。
それは、日本の最高のホテルの一室料金はいくら位であろうかという興味があったため。
最近は、訪日客で賑わっていることから、どれ程の室料になっているのだろうかと思い今年も分析した。
そして、帝国ホテルの一室料金の過去のデータ値も溜まったことから、過去からの推移をグラフ化してみようと思った。
グラフ化してみたが、帝国ホテルの一室料金のみのグラフだけでは面白く無い事から、東京ビジネス5区の事務所賃料とホテル一室料金はどういう関係にあるのか見て見ようと思い、比較してみたのである。
両者には、タイムラグがあるが、同じ様な価格動向しているのが分かった。
では土地価格とはどうであろうかと考えた。
帝国ホテルの南隣は、三井不動産系のJリートの日本ビルファンド投資法人が持つ日比谷ビルである。
その土地が、地価公示地に設定されていることを思い出した。
その公示価格の推移と帝国ホテルの一室料金推移とをグラフ化してみた。
それが前掲のグラフである。
私も分析して余りの酷似に驚いた。
田原塾参加者の多くの人も、私同様に、グラフを見て驚いたのであろう。
帝国ホテル一室料金と地価公示価格の関係を分析した人は、今迄に誰もいなかったようである。
「こうした新しい話が聞けるから、田原塾は面白い。」
と云う人もいた。
新しい発見に遭遇すると、不動産鑑定は面白いと感じるようになる。
月一回、ホテルニューオータニの小さな会議室で、不動産鑑定評価の実務について1時間話し、その後懇親会という田原塾が開かれているが、その会で話すたびに、私は、塾開催を企画運営している幹事及び参加者に感謝している。
東京のど真ん中の著名な大ホテルの小さな会議室で、話が出来る機会を作ってくれた幹事に感謝する。そして私の話を聞くために参加して下さる参加者に感謝している。
平成29年6月24日に開かれた田原塾は、第57回目であった。8月と12月は休みの月であるが、かれこれ5年間続いていることになる。
日本に多くの不動産鑑定士がいるが、こうした機会を与えてもらっている不動産鑑定士は、私一人では無かろうかと、幹事及び参加者に更に感謝している。
それに応えるために、いつまで続くか分からないが、続く限りはオリジナルな内容のある話をしたい。
帝国ホテルが発表した平成29年3月期の決算によれば、平成28年4月〜平成29年3月の期間の東京本社の客室一室料金は、36,528円である。
数年前は帝国ホテルは、一室料金がいくらかは発表しなかった。客室稼働率は発表していた。
ここ数年になって、一室料金も発表するようになった。
私は、今迄客室稼働率と客室売上高より、一室料金を計算していたが、その計算をわざわざする必要は無くなった。
もっとも帝国ホテルが一室料金を発表した時、私は、私が今迄発表していた一室料金と同じ金額になるのかと私の計算式で計算したことがあった。同じ金額になってホッとしたことを思い出す。
この36,528円は、過去最高の一室料金と帝国ホテルは発表する。
帝国ホテル大阪の一室料金は、19,850円である。
平成29年の売上高及び部門別売上高については、鑑定コラム1658)に記したから省略する。
客室稼働率は、
東京本社 76.6% 大阪 82.5%