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東京建物の平成29年12月期の決算書から、東京の23区1等商業地の土地還元利回りを推測する。
東京建物の平成29年12月期の決算書説明資料によれば、東京建物の貸ビルの所在区は、
都心3区 45.1%
渋谷区・新宿区 14.8%
都心5区を除く23区 16.4%
である。所有ビルは23区所在で75%を超える。
東京建物所有のビルの所在地は、東京の商業地の1等商業地にある。
その貸ビルの平均賃料は、下記である。単位坪当り円。括弧内は空室率。
2015年12月 29,410円(5.0%)
2016年12月 29,319円(3.7%)
2017年12月 29,624円(2.7%)
賃貸面積合計は743,551u(含む転貸面積)である。平均築年数は15年である。
鑑定コラム1785)で、東京建物の償却後総合還元利回りは、平成29年12月期で2.8%と分かった。
では、その時点の土地の還元利回りはどれ程か。分析してみる。
建物の価格は、平成29年12月期の有価証券報告書の所有各ビルの簿価(建物及び構築物)を合計すると191,584百万円である。
東京建物の平成29年12月期の期末時価は、1,071,146百万円であった。
土地価格は、
1,071,146百万円−191,584百万円=879,562百万円
である。
土地の還元利回りをXとする。
建物の還元利回りは、
X+償還基金率相当
とする。
建物の全経済的耐用年数を40年とする。決算書説明資料によれば賃貸建物の平均築年数は15年である。経済的残存耐用年数は、25年(40-15=25)である。 平均償却率は、
1/25=0.04
4.0%である。
この平均償却率を、償還基金率を求める利率に採用する。
利率4.0%、期間25年の償還基金率は、0.024である。
建物の還元利回りは、
X+0.024
である。
土地建物価格と、総合還元利回りとの間には、下記の関係がある。
土地価格×土地還元利回り+建物価格×建物還元利回り
───────────────────────── =総合還元利回り
土地価格+建物価格
土地価格は879,562百万円である。建物価格は191,584百万円である。
総合還元利回りは、2.8%である。
上記の価格と割合を算式に代入すれば、
879,562百万円×X+191,584百万円×(X+0.024)
───────────────────── = 0.028
879,562百万円 + 191,584百万円
である。
上記算式を解けば、
X= 0.024
2.4%である。
建物還元利回りは、
0.024+0.024=0.048
4.8%である。
まとめると下記である。
総合還元利回り 2.8%
土地還元利回り 2.4%
建物の還元利回り 4.8%
東京建物の決算書から、東京23区1等商業地の総合還元利回り、土地還元利回り、建物還元利回りが求められた。
以上の分析で、東京の1等商業地の還元利回りがどれ程か、おおよそ分かるのでは無かろうか。実際の具体的数値割合は、それぞれの建物の建っている土地の土地価格、建物価格、近隣の類似建物の賃料、標準的必要諸経費割合から求めるのであるが。
鑑定コラム1775)「住友不動産賃貸ビル還元利回り(償却後)2.5%」
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