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1777)三菱地所の賃貸ビル還元利回り(償却後)は2.4%

 三菱地所が、平成30年3月期の決算を2018年5月14日に発表した。

 売上高は、1兆1940億円(平成29年3月期は1兆1254億円)である。

 営業利益は、2130億円(平成29年3月期は1924億円)である。

 売上高、営業利益共に増額である。

 来期の平成31年3月期の予想売上高は、1兆2900億円の予想と記す。

 三菱地所は、貸ビル事業だけでなく、9つの事業を行っている。

 その売上高を記すと、下記である。単位百万円。

        ビル事業         506,817 
        生活不動産事業      105,817
        住宅事業         410,598
        海外事業          86,923
        投資マネジメント事業    22,665
        設計監理事業        21,613
        ホテル事業         33,138
        不動産サービス事業     25,584
        その他事業         8,541
        調整額          ▲26,996  
          計          1,194,049

 ビル事業の空室率は、

    全国全用途        1.87%(平成29年3月期は2.93%)
        丸の内事務所      1.65%(平成29年3月期は2.42%)

である。

 全国全用途の平均賃料は、坪当り26,193円(平成29年3月期は25,842円)である。

 ビル事業も、建物賃貸、ビル運営管理委託、営繕請負、地域冷暖房事業に分かれている。

 その中のビル運営管理委託事業の収入と管理委託面積の数値が記してあった。下記である。

                   管理受託賃貸面積            営業収入 百万円

29年3月期 2,407,863u 21,916 30年3月期 2,505,792u 23,368

 営業収入は、ビルの運営委託管理費と解されることから、計算すると、下記である。

 平成29年3月期は、

                21,916,000,000円÷12  
             ────────────  = 759円/u                  
                  2,407,863u

である。

 平成30年3月期は、

                23,368,000,000円÷12  
             ────────────  = 777円/u                  
                  2,505,792u

である。

 ビル運営管理費は、月額u当り759円〜777円である。

 この数値は、不動産鑑定評価の収益還元法、或いは賃料評価の積算法の管理費の証拠データとして使えるのでは無かろうか。

 ビル運営管理費を上記759円〜777円のほぼ中央値の770円/uとする。

 三菱地所が運営管理するビルは、Aクラスのビルであろうと考えられる。

 Aクラスビルの賃料がu当り8,000円(坪当り26,500円)の場合、運営管理費は

       770÷8,000円=0.0962≒0.1

10%である。

 ビル運営管理費が月額u当り759円〜777円のデータ数値は、Aクラスビルの運営管理費を判断するに際しての良い証拠データになろう。

 三菱地所の賃貸不動産の還元利回りは、どれ程であろうか。

 決算書に、賃貸等不動産の資産時価と賃貸収入、賃貸費用が記してある。下記である。単位百万円。

                     平成29年3月期          平成30年3月期

期末時価     6,517,887 6,768,625 賃貸収入      436,705 439,592 賃貸費用      280,387 275,749     差額 156,318         163,843

 差額を純収益と考えれば、還元利回りは、下記である。

 平成29年3月期は、

                   156,318  
             ────────────  = 0.024                     
                    6,517,887

である。

 平成30年3月期は、

                   163,843  
             ────────────  = 0.024                     
                     6,768,625

である。

 注記として、「当該不動産に係わる費用(減価償却費、建物管理費用、租税公課等)については、賃貸費用に含まれております。」と記してある。

 このことから、上記還元利回りは、償却後還元利回りである。

 三菱地所の貸ビルの償却後還元利回りは、2.4%である。

****追記 2018年5月31日 三菱地所ビル賃貸ビル償却前還元利回り

 三菱地所のセグメント毎の賃貸ビル事業の減価償却費は下記である。単位は百万円。

                     平成29年3月期          平成30年3月期

   減価償却費 47,755       48,170

 償却前還元利回りを求める。

 平成29年3月期は、

               156,318 + 47,755  
            ────────────  = 0.031                      
                    6,517,887

である。

 平成30年3月期は、

              163,843 + 48,170  
            ────────────  = 0.031                      
                     6,768,625

である。

 まとめると、下記である。

                       平成29年3月期          平成30年3月期

   償却後還元利回り 2.4% 2.4% 償却前還元利回り 3.1% 3.1%


  鑑定コラム1775)
「住友不動産賃貸ビル還元利回り(償却後)2.5%」

  鑑定コラム1778)「丸ビルの賃料坪当り60,829円(30年3月)で、下がっている」

  鑑定コラム1784「野村不動産HDの賃貸ビル還元利回り(償却後)は3.2%」

  鑑定コラム1785)「東京建物の賃貸ビル還元利回り(償却後)は2.8%」

  鑑定コラム1786)「東京建物 23区1等商業地の土地還元利回りは2.4%」

  鑑定コラム1787)「不動産大手等5社の賃貸ビル総合還元利回り(償却後)は2.4%〜3.2%」


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