○鑑定コラム


フレーム表示されていない場合はこちらへ トップページ

田原都市鑑定の最新の鑑定コラムへはトップページへ

前のページへ
次のページへ
鑑定コラム全目次へ

2089)レナウンが倒産し民事再生手続に入った

 東京一部上場の衣料品メーカーのレナウンが、2020年5月15日に倒産し、民事再生法の適用手続に入った。

 レナウンは1902年(明治35年)創業のアパレルメーカー、販売会社である。主として百貨店、量販店でブランドの衣料品を販売していた。

 1990年12月期には年売上高約2317億6500万円(帝国データバンク発表記事による)を計上したが、その後業績は低迷し、2010年に中国繊維大手「山東如意科技集団有限公司」の傘下に入って再建を進めてきたが、経営難が続いていた。

 2019年12月期の変則10ヶ月決算では、レナウンのホームページによれば、連結売上高502億円であり、経常損失▲78億円となった。

 この大きな原因は、同ホームページによれば次の通りである。

 「親会社である山東如意科技集団有限公司の子会社である恒成国際発展有限公司に対する2019年12月期中に支払期日の到来する売掛金の回収が滞ったことにより、同期に貸倒引当金繰入額5,324 百万円を計上し、8,309 百万円の営業損失を計上することとなりました。

 また、かかる売掛金の回収遅滞にともない、同期中に入金されるはずであった同額が入金されないこととなったため、当社の2019年12月期の現金および現金同等物の期末残高は1,418 百万円(2019 年2 月期の同残高比△3,227 百万円)まで落ち込むこととなりました。」

 そして追い打ちをかけたのが、新型コロナウイルス感染症の蔓延による緊急事態宣言による非外出要請である。

 このことについて、同ホームページは、次のごとく述べる。

 「これに加え、2020年3月以降は、新型コロナウィルスの感染拡大により全国の百貨店・量販店等で営業自粛の動きが広がり、消費者の巣ごもり傾向および不要不急の外出控えによる購買行動の変化のため、当社の商品は著しい販売減少を来たすこととなりました。

 2020年4月7日には、政府より7都府県に緊急事態宣言が発令され、16 日にその対象地域が日本全国に拡大したことに伴い、百貨店・量販店・ショッピングモールがほぼ全店休業となり、当社は2020 年春夏物の商品につき、主力販売チャネルでの販売ができないこととなりました。」

 映画「太陽がいっぱい」で主演を演じたフランス映画界の人気俳優アラン・ドロンを起用したブランド品「ダーバン」の宣伝をテレビで多く見た。

 負債138億7900万円と帝国データバンクは伝える。

 民事再生法の適用であるから、レナウン会社所有の土地建物の不動産の価値を把握するために不動産鑑定が行われるであろうが、不動産鑑定士のどなたが資産の鑑定評価をされるのであろうか。

 最近は殆ど民事再生法がらみの鑑定評価を行っていない。ことごとく鑑定料の入札で負けて、やる気がなくなってしまった。

 民事再生法が出来て間もない頃に、秋田から九州までに散在する再生会社の資産評価を手探りで行い、その時、現行の不動産鑑定評価基準の不備、鑑定評価手法の未熟さを肌で感じ、これでは駄目だと思い、実務で悩み苦しんだ結果を書物に残そうと共著で『民事再生法と資産評価』(清文社)の書物を出版出来たことで満足している。
 
 レナウン再生の管財人弁護士は、永澤徹氏と発表されている。中堅どころの腕の良い管財人として頭角を現してきた弁護士である。どの様にしてレナウン再生を行うか。


  鑑定コラム2075)
「食料品製造工場の土地建物の価格分析例(その1)」

  鑑定コラム2081)「食料品製造工場の土地建物の価格分析例(その2)」

 (著書書評)
 『民事再生法と資産評価』

  鑑定コラム2091)「コロナウイルスの賃料への影響はまだ出ていない」

  鑑定コラム2092)「銀座の店舗賃料 2020年1月〜4月▲8.4%」

  鑑定コラム2095)「衝撃 京都のホテル客室稼働率5.8% 2020年4月」


フレーム表示されていない場合はこちらへ トップページ

前のページへ
次のページへ
鑑定コラム全目次へ