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2338) 東京オリンピック晴海選手村都有地売却訴訟住民側全面敗訴

 2021年12月23日午後3時、東京地裁103号法廷で、東京オリンピック晴海選手村都有地売却訴訟の判決が言い渡された。

 住民側の訴えは全部否定された。被告東京都の全面勝訴である。

 2021年12月23日 18時15分発のNHKウエブは、東京都勝訴の理由について、裁判長が次のごとく述べている事を伝える。

 「選手村としての使用を前提とした土地で、収益や処分に制限がある。こうした土地の価格調査として手法や内容に問題はなく、価格は適正だ」

 収益に制限があるから土地価格は著しく安くしても良いと云うのであれば、完成後のマンション分譲価格が現実にある事から、その分譲価格から建物価格、諸経費 選手村提供による費用を差し引いて土地価格を逆算して求めてみれば良い。u27,000円近くの土地価格になれば土地は適正価格で判決は正しいと云えるが、大幅に高い土地価格が求められたらどういうことになるか。

 そうした土地価格が逆算して求められたならば、裁判官の判断は間違っていることになり、役所・業者忖度判決で不当と云うことになろう。

 NHKは、敗訴した住民側の中野幸則原告団長の言葉を次のごとく伝える。

 「都が議会などにもはからず公示価格の10分の1以下の価格で売却したことの違法性を裁判所は認めず、極めて不当な判断だ。地方自治や不動産の鑑定制度、再開発事業制度の根幹を揺るがしかねない」

 公示価格で無く、基準地価格の間違いと思われるが、原告側は控訴を表明したようである。

 役所は悪いことをしないと裁判官は予断を持っているのが多いが、今回の判決も、その考えが根底にあるようだ。

 三権分立と云っても、現在の日本の三権分立の程度はまだまだ相当低レベルである。

 住民勝訴の判決を出して、左遷させられては裁判官もたまらないということか。

 行政権を振りかざす役所、官僚、役人は君子聖人であるかのようである。

 役所も悪いことをすると咎める事が出来るのは、最高裁判所の裁判官だけであるようだ。

 被告側の晴海選手村の土地の評価額が適正であると判断されては、基準地・公示地価格が何の為にあるのか分からなくなり、地価公示価格制度が不必要になり、かつ不動産鑑定制度及び世の中がおかしくなる。

 判決文を手に入れて、判決内容を検討してみよう。


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