○鑑定コラム


フレーム表示されていない場合はこちらへ トップページ

田原都市鑑定の最新の鑑定コラムへはトップページへ

前のページへ
次のページへ
鑑定コラム全目次へ

2404) 東京・帝国ホテルの客室料金過去最高で、赤字79億円(2022年3月期)

 帝国ホテルの2022年3月期の決算に伴う株主事業報告書を見た。

 それによれば、令和3年(2021年)4月1日〜令和4年(2022年)3月31日迄の帝国ホテルの売上高は、前年売上高(21,783百万円)よりかは良くなっているが、武漢発の新型コロナウイルス感染拡大と政府の度重なるお粗末な緊急事態宣言による煽りを受けた観光客減によって、28,317百万円しかならなかった。

 前年比+30%である。 損失は▲7,945百万円である。

 過去の売上高と経常利益・損失の推移は、下記である。

                          売上高              経常損益
   2019年3月期    57,973百万円           5,160百万円
   2020年3月期    54,041百万円           3,394百万円
   2021年3月期    21,783百万円         ▲7,972百万円
   2022年3月期    28,317百万円         ▲7,945百万円

 東京本社、大阪のホテルの売上高、客室稼働率、一室料金は、下記である。
                    売上高           稼働率         一室料金
   東京本社         3,582百万円        26.5%        43,902円
   大阪               525百万円        16.2%        23,376円

 東京本社、大阪の部門別の売上高は、下記である。単位百万円
                         東京本社                大阪
   宿泊部門          3,582                   525
      食堂               3,419                   707
      宴会               5,428                 1,938
      外販               2,871                    -
      賃貸事業           4,709                    -
      その他             2,898                 1,180
       総計              22,909                4,352
 (注) 部門別の金額を合計しても、売上高総計とは一致しない。

 上記部門別の売上高を見ると、東京本社、大阪共に主部門であるべき宿泊部門の全売上高に占める割合は小さい。

 宴会の売上高が宿泊部門の売上高を遙かに凌ぎ、大阪では宿泊部門の3.7倍、東京では1.52倍である。

 東京では、賃貸部門が宿泊部門の売上高を超えている。ビル賃貸事業が帝国ホテル経営を支えていると云っても良い。「非常時の賃貸ビル収入」というホテル事業の隠れた格言が実証されているようである。

 これらより見るとホテルの宿泊部門は惨々たる状態である。

 そうした中でありながら、東京の宿泊料金は、客室稼働率26.5%の状態で有りながら、1室43,902円と過去最高の金額である。

 ビジネスホテルの料金は、コロナウイルス感染拡大と共に、大幅に下落しているが、帝国ホテルの客室料金は、逆に過去最高の料金となった。

 ビジネスホテルの料金と帝国ホテルの料金のこの極端な違いは何なのか。

 この現象は、新型コロナウイルスの日本上陸以来、4都市のビジネスホテルの料金を毎月調べていたからこそ分かったことである。

 過去の帝国ホテル東京本社のホテルの1室料金を、下記に記す。
          平成21年3月期     32,600円
          平成22年3月期     28,400円
          平成23年3月期     25,700円
          平成24年3月期     26,300円
          平成25年3月期     28,487円
          平成26年3月期     28,405円
          平成27年3月期     30,658円
          平成28年3月期          34,357円
          平成29年3月期          36,528円
          平成30年3月期          35,804円
          平成31年3月期          36,045円
           2020年3月期          39,823円
           2021年3月期          43,486円
           2022年3月期          43,902円


  鑑定コラム1807)
「帝国ホテルの一室料金が下がった(30年3月期)」

  鑑定コラム1963)「東京・帝国ホテルの一室宿泊料金 36,045円(2019年3月期)」

  鑑定コラム2141)「東京・帝国ホテルの一室宿泊料金 過去最高39,823円(2020年3月期)」

  鑑定コラム2288)「東京・帝国ホテルの客室稼働率は14.9%(2021年3月期)」



フレーム表示されていない場合はこちらへ トップページ

前のページへ
次のページへ
鑑定コラム全目次へ