2411) 店舗賃料の評価でスライド法に消費者物価指数を使うことは妥当か
前記鑑定コラム2410)で、事務所賃料の評価のスライド法において、消費者物価指数(家賃指数)を使用して継続賃料の一つであるスライド法の賃料を求めることの良し悪しについて述べた。
同コラムの説明グラフを見て、なお消費者物価指数(家賃指数)を使用して求めることをする不動産鑑定士がいるとは私には思えないが。そして自分の求めたそのスライド法は適正であると主張する不動産鑑定士がいるとも思えないが。
事務所賃料と消費者物価指数(家賃指数)の関係について述べたが、次に店舗賃料と消費者物価指数(家賃指数)の関係についても述べる。
店舗賃料の評価においても、事務所賃料の場合と同じく消費者物価指数(家賃指数)を使用して、継続賃料のスライド法賃料を求めている鑑定書を多く目にする。
事務所賃料の場合と全く同じで、店舗家賃と消費者物価指数(家賃指数)との間に相関関係があるのかについて全く無頓着で使用しているのでは無かろうか。
店舗賃料と消費者物価指数(家賃指数)の間に相関関係があるのか検討してみる。
店舗家賃の具体的賃料データを系統的に発表している企業はなかなか無い。
一般社団法人日本ショッピングセンター協会が、毎年会員の賃料・共益費を調査して『SC賃料・共益費』を発表している。
その発表数値の中の、中心地域物販賃料の賃料を採用する。
中心地域とは、大都市、中都市A・B・C、小都市A・Bの中心地域を云い、そこにあるショッピングセンターの物販店舗の平均賃料である。坪当り円である。
一覧表では、消費者物価指数との関係上、各年6月となっているが、日本ショッピングセンター協会が発表した各年の賃料である。
消費者物価指数は各年6月の指数を採用する。総務省統計局発表の東京23区の消費者物価指数の中の家賃指数とする。
データ一覧は、下記である。
年月 | 日本SC協会中心地域物販賃料 円/坪 | 東京23区消費者物価指数・家賃 2015年=100 |
2000年6月 | 29259 | 104.9 |
2001年6月 | 25857 | 104.9 |
2002年6月 | 25927 | 104.1 |
2003年6月 | 27253 | 103.6 |
2004年6月 | 27582 | 103 |
2005年6月 | 29100 | 103.2 |
2006年6月 | 30179 | 103.5 |
2007年6月 | 32281 | 103.5 |
2008年6月 | 33948 | 104.1 |
2009年6月 | 29308 | 103.3 |
2010年6月 | 31742 | 102.3 |
2011年6月 | 31805 | 102.2 |
2012年6月 | 30623 | 101.4 |
2013年6月 | 29872 | 100.9 |
2014年6月 | 30289 | 100.4 |
2015年6月 | 29460 | 99.8 |
2016年6月 | 37145 | 99.7 |
2017年6月 | 33413 | 99.3 |
2018年6月 | 38046 | 99.3 |
2019年6月 | 32402 | 99.9 |
2020年6月 | 33085 | 100 |
2021年6月 | 26426 | 100 |
2000年a 2021年b 変動率b/a 店舗賃料 29,259円 26,426円 0.903 家賃指数 104.9 100.0 0.953店舗賃料は▲9.3%下落しているのに、家賃指数は▲4.7%下落している。
最低a 最高b 高低倍率b/a 店舗賃料 25,857円 38,046円 1.471 家賃指数 99.3 104.9 1.056店舗家賃の変動巾は、低値に対して47.1%の巾がある。
33,948円 ────── = 1.312 25,857円31.2%値上がりしている。
104.1 ─────── = 0.992 104.9▲0.8%値下がりしている。